DeeMMax 1.5.0へのバージョンUP。マスターで使うならDeeMMaxとDeeMaxどちらを選ぶべき?

先日、「グイっと持ち上げるマキシマイザー、あのDeeMaxの双子の兄弟!? マスタリング専用の音圧爆上げプラグイン、DeeMMaxが誕生」という記事で紹介した赤いレバーの強そうなプラグイン、DeeMMax(ディー・エム・マックス)がさっそくアップデートし、Version 1.5.0になりました。機能的には変わってないものの、ピーク制御の改良により音質がさらに向上したのだとか……。

そのDeeMMax Version 1.5.0の登場に合わせ、開発・発売元のDotec-Audioでは、「平成最後の特別クーポン 2000円OFF!!」と題して12月23日~31日まで2,000円引きのセール販売を行っています。「Dotec-Audio製品、以前から気になっていた」という人はもちろん、「DeeMaxは持ってるけど、ほかのプラグインはまだ持ってない」という人にとっても今がチャンス!実は私個人的にもDeeMMax Version 1.5.0を一足早く入手し、思い切り活用させてもらったので、DeeMMaxで何ができるのか、DeeMax(ディー・マックス)と何が違うのか、できる限り簡単に初めての人でも分かるように紹介してみたいと思います。

DeeMax(左)とDeeMMax(右)、その違いを見ていこう

前回のDeeMMaxの記事について、「すごくよさそうだけど、内容がちょっと難しくて分かりにくかった……」という声もいただいていたので、1.5.0にバージョンアップしたこのタイミングで、改めてその使い方について見ていきます。

DeeMaxもDeeMMaxも、音圧を上げるソフトである点は共通。CubaseでもStudio OneでもLogic、Ablity、FL Studio、Digital Performerであっても、最終段となるマスタートラックにこれを入れて、レバーをグイっと持ち上げれば、もうそれで音圧をドカンと大きく上げることができます。音圧とは何であるのかについては割愛しますが、同じ音量で聴いていても音圧が大きければ、大きな音で聴こえるということですね。

サンプルとして、まずこの音を聴いてみてください。

これにDeeMMaxを通しても0dBでは音は変わらないけれど、レバーを上にグイっと持ち上げると音が大きくなっていきます。そして66.5のところまで持ってきたときの音がこちら。

明らかに大きな音で聴こえますよね。この66.5という表示部分をクリックすると12.0という表示に切り替えることができます(再度クリックすると戻る)。実はこちらがdB表示というものでして、12.0dB持ち上げた、ということを意味しているんです。dBについての詳細もここでは割愛しますが、12.0dB持ち上げたということは音圧が4倍に上がったということを表しているんですよ。


数字の部分をクリックするとパーセント表記(左)とdB表記(右)が相互に入れ替わる

DeeMMaxではパーセント表示では0.0~100.0、dB表示では0dB~18.0の範囲で動かすことができ0では音が変わらず、100.0%=18.0dBでは8倍の音圧まで持ち上げることができるのです。

さて、ここで比較したいのがDeeMaxです。DeeMaxはパーセント表示のみで、dB表示はありませんが、DeeMMaxと数字上の互換性があるので、それぞれ同じ数字にした場合、基本的に同じ音圧となります。やや極端にするためそれぞれ90%にしてみたので、聴き比べてみてください。


いかがですか?DeeMaxのほうが、よりガツンと来る音になっていると思いませんか?逆にDeeMMaxのほうは音の大きさだけ大きくなって、音の雰囲気は変わっていない……。実はこれがDeeMaxとDeeMMaxの最大の違いなんです。つまりDeeMaxは持ち上げていくとサチュレーション(音の飽和)を起こすところまでいき、音のキャラクタも変えていくのに対し、DeeMMaxはできる限り音のキャラクタを変えずに音圧を上げるエフェクトなのです。

そのサチュレーションを起こすのを、さらに加速させるのがDeeMaxのTURBOボタン。これをONにして、先ほどの90%の上でにしたのがこちら。

ここまでいくと、ちょっとやりすぎ、と感じるくらいですが、思い切りド派手な音にしたい場合には「アリ」ですよね。どちらを使うかは、どんな音にしたいかによって使い分けてもいいと思うし、場合によってはマスタートラックにDeeMax、DeeMMaxを両方入れて、2段階で掛けていくというのもいいと思いますよ。


黒いDeeMax(左)と赤いDeeMMax(右)を比較する

さて、ここで、改めてDeeMMaxを見ると、画面下には銀色の2つの調整パラメータがあるのに気づくと思います。これらもマスター段で音圧を上げるという点では大きな意味を持っているんです。


DeeMMaxの画面下のほうには銀色のパラメーターが2つある

まず左のSOFTNESSですが、これは音の雰囲気を崩さないDeeMMaxの特性をさらに高めるためのパラメータなんです。「音がクリアで気持ちいい」と感じるのは「ダイナミックレンジが広いから」=「大きい音と小さい音のメリハリがハッキリしている」ことが大きな要因としてあります。しかし音圧を上げていくと、その仕組み上ダイナミックレンジが狭まってしまいます。

そこで、そのダイナミックレンジをできる限り保持しようというのがSOFTNESSであり、これを100%にすれば、ダイナミックレンジはほとんど変わらないのです。ただし、そうなると、音圧も大きくは上げられないので、そこはトレードオフ。クラシックなどはSOFTNESSを上げるとより効果的なのでうまく調整してみてください。

一方、右のOUTPUTは、エフェクトを掛けた結果の音量レベルをどうするかを決めるためのものです。デフォルトでは-0.1dBとなっており、デジタル上の最大音量=0dBよりちょっとだけ小さく抑えるようになっています。音量オーバーにならないようにするためのセーフティー機能といえばいいですかね。通常は-0.1でいいと思いますが、試しにレバーを+18dBとフルスロットルにしつつ、0dBの場合、-6dBの場合、-12dBの場合で波形を見てみると結果が大きく違うのが分かりますよね。


OUTPUTが-0dBの場合


OUTPUTが-6.0dBの場合


OUTPUTが-12.0dBの場合

このようにデリケートに音を守りつつ、音圧を上げることができるDeeMMaxですが、ここにはもう一つ音にこだわる上で重要なスイッチが用意されています。マニュアルを読まないとなかなか気づきにくいスイッチなんですが、OUTPUTパラメータの右上にある銀色の小さなボタン=MONITORスイッチです。

これをONにすると、OUTPUTの表記がMONと切り替わり、レバーを上下しても音の大きさが変わらなくなります。「音の大きさが変わらなきゃ意味ないのでは?」と思うかもしれませんが、実はよく聴いてみると音質が微妙に変化していくのです。これはどういうことなのでしょうか?

OUTPUTの右上にある小さなボタンがMONITORスイッチ

人は音圧に敏感であり、音圧が上がるとインパクトが強くなる分、いい音になったような気がしてしまいます。そのため、音圧を上げる前と上げた後でどちらがいい音質なのかを聴き分けるのはなかなか難しいことです。そこで、聴感上の音量を一定に保ちつつ、音質的な変化だけを確認できるようにするのが、MONITORスイッチなんですね。

でかいレバーとSOFTNESSパラメータを使いながら、「このくらいでいいかな」と思ったところで、一度MONITORスイッチをONにして、音質面をよくチェックしてみてください。よく聴いてみると「ちょっと歪んじゃってるかも……」なんて気づくこともあるので、その場合はもう一度調整しなおしてみてくださいね。

この音質の面で今回のDeeMMax Version 1.5.0では従来の1.0.xよりもよくなっているんですよ。開発者のフランク重虎さんによると「全体のゲインリダクション量に応じて、倍音の合成量や圧縮条件を変えました。これによって音質を向上させることができました」とのこと。DeeMMaxの仕組みなどについては前回の記事「グイっと持ち上げるマキシマイザー、あのDeeMaxの双子の兄弟!? マスタリング専用の音圧爆上げプラグイン、DeeMMaxが誕生」で詳しく解説しているので、興味のある方はそちらをご覧ください。


「Harmony of birds feat.小岩井ことり」のマスタリングには、SOUND FORGE Pro 12上でDeeMMaxを活用した

ところで、このDeeMMax Version 1.5.0、一般にリリースされたのは本日12月23日ですが、すでに1か月前には、ほぼ完成に近いものになっており、それをこっそり入手していました。実際聴き比べてみても1.5.0がいいのがよく分かったので、12月30日リリース予定のわれわれDTMステーションCreativeの第2弾アルバム、「Harmony of birds feat.小岩井ことり」のマスタリングにもこれを使わせていただきました。

アルバム内容については「12月30日、初めてのコミケ参戦。DTMステーションCreativeの第2弾は『Harmony of birds feat. 小岩井ことり』」をご覧いただいたきのですが、多田彰文さんミックスの『ハレのち☆ことり♪』は32bit/96kHz、小岩井ことりさんミックスの『運命の輪を廻す者 XX』は32bit/192kHzで手元にやってきました。

どちらもそのままで十分OKというものだったけれど、2つを並べてみると、若干音の太さに差を感じたので、DeeFatを使って微妙に味付けするとともに、パラメトリックEQで調整。その上で聴感上の音圧が整うよう、DeeMMaxで音圧を上げたのです。その結果、できあがったアルバムの音をちょっとだけ披露しますね!

このアルバムは、12月30日のコミックマーケット95、東ネ07aでの頒布になるので、お時間ある方はぜひいらしてくださいね!

そして、冒頭でも紹介したとおり、DeeMax、DeeMMax、DeeFatを含め、Dotec-Audioのプラグインが12月31日までの期間、いずれも2,000円引きの大セールとなっています。DeeMMaxやDeeMaxの場合、通常でも5,000円と安いのに、さらに2,000円引きの3,000円で、両方買っても6,000円。この際、片っ端から全部買っちゃっても損はないと思いますよ!

【関連情報】
Dotec-Audioサイト
DeeMMax製品情報
DeeMax製品情報

Commentsこの記事についたコメント

2件のコメント
  • 西 英樹

    いつも藤本さんの情報わ、楽しみにしております。Dotec-audioの製品は、ability proでも使えますでしょうか?

    2018年12月24日 4:08 PM
    • 藤本 健

      西さん

      コメントありがとうございます。記事の3番目の画像をご覧いただくと分かる通り、ちゃんとAbility Proで動いてますよ!

      2018年12月24日 11:21 PM

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