• 制限時間90分!?リアルタイム編曲を実施するという前代未聞の音楽プログラム、“月蝕會議の作曲會議”

以前「これは音楽業界に入り込むチャンス!? プロの音楽クリエイター集団“月蝕會議”によるオンラインサロンに潜入してみた」という記事でも紹介したことのある、オンラインサロン「月蝕會議室」。これは、クリエイター集団である月蝕會議(げっしょくかいぎ)が運営しており、co-write(コライト)を中心に、ギルドメンバーと呼ばれるサロン会員と一緒に楽曲を完成させたり、オンライン・コミュニケーションシステムのDiscordを使って、密にコミュニケーションを取ったりしている、音楽の参加型サロン。日々面白いやり取りや企画が行われているのですが、先日「月蝕會議の作曲會議」という90分間で楽曲を作り上げていく、リアルタイム作曲ショーが開催されました。

月蝕會議の作曲會議は、オンライン配信番組として放送され、楽曲がどのようにアレンジされていくかの過程を体験でき、プロの作編曲家の集団がどういった考えでアレンジをしていくのかを、リアルに視聴できる内容となっていました。これからプロを目指している方、現在音楽制作している方にとっては勉強になる内容になっているのはもちろんのこと、音楽制作について分からない人にとっても、エンターテイメントショーとして面白い内容の配信イベントだったので、どんなことが行われていたのか、紹介してみましょう。

オンライン配信番組として放送された、月蝕會議の作曲會議


月蝕會議室は、プロのクリエイター集団である月蝕會議が運営しているオンラインサロン。入会は、ここから「月蝕會議室」(https://lounge.dmm.com/detail/2755/)することができ、入会後のやり取りはオンライン・コミュニケーションシステムのDiscordを中心に使って行われています。具体的に行われる内容は、大きく分けて以下の3つ

・定例會議
・制作會議
・掲示板

定例會議は、毎月1回行われる月蝕會議室の運営を決めるオンライン会議。ここでは、ギルドメンバーと月蝕會議のみんなが話合い、今後の方針や企画などを決めていっています。実際どんなことが行われているのか、以下の定例會議ダイジェスト動画を観ると分かると思います。

実際、その定例會議でオンラインサロンのテーマソングを作ろうという発案がサロン会員から上がり、作詞・作曲・編曲をサロン会員47名(当時)と月蝕會議とのco-writeで制作したことについては、前回の記事でも紹介しましたが、そこで完成した「眞夜中サロン」がキングレコードより配信曲としてリリースさています。この「眞夜中サロン」各種音楽配信サービスはこちらhttps://elr.lnk.to/mayonakaをご覧ください。そしてその「眞夜中サロン」のリリックビデオも会員がコンテから編集までをすべて行い、月蝕會議の公式YouTubeチャンネルで公開されています。

一方、制作會議では、定例會議で決めたテーマソングやジングル制作のレコーディングの様子をリアルタイムに見ることができます。co-writeが実際にどう行われているかを知ることができ、プロのクリエイターが、楽曲をどんな形で作り上げていくのかを見ることができます。

そして、掲示板では日夜ギルドメンバーと月蝕會議メンバーとが、コミュニケーションを取り合っています。この中でのやり取りはクローズドな情報なので、入ってみないとなにが行われているか分かりにくいですが、その分内容が濃かったり、インターネットで探しているだけでは得られない情報に触れることができます。

Discordを利用したオンラインサロン「月蝕會議室」でのやりとり

定例會議で大枠を決め、掲示板で詳細をすり合わせし、レコーディングなどを制作會議として配信したりギルドメンバーが体験できる内容になっているようです。そのほかにも、完成前のデモ音源が聴けたり、月蝕會議メンバーに質問したり、プロのレコーディングデータを入手できたり、横の繋がりができたり……、いろいろなことがあるのですが、実際に入ってみないと分からないことが多いのが事実。月額1,200円で入会することはできるので、まずは覗いてみるのもありだと思います。

会員参加型クリエイトサロン月蝕會議室、現在ギルドメンバー募集中

そんな月蝕會議室を運営している月蝕會議についてご存知の方も多いと思いますが、メンバーはエンドウ.さん、楠瀬タクヤさん、Billyさん、鳥男さん、岩田アッチュさん(現在、非常勤)、そして月蝕會議の歌唱担当キリンさんの6名。

プロの音楽クリエイター集団月蝕會議

各メンバーのそれぞれ個人としての実績、活動もすごいのですが、月蝕會議の活動も目覚ましく「月蝕會議のWORKS一覧」で閲覧することができます。また月蝕會議公式YouTubeにも月蝕WORKSのプレイリストがあるのでご注目をください。なお月蝕會議YouTubeチャンネル登録はこちらです。
その中からいくつかピックアップすると劇場版「美少女戦士セーラームーン Eternal」主題歌『月色Chainon』の編曲、ももいろクローバーZやヒプノシスマイクの作詞・作曲・編曲など……、あれも、これもと驚かされます。 そんな制作集団が、音楽制作のあれこれを公開しているのが、月蝕會議室。ここで、音楽業界の本質的なところ見せており、たとえば、印税の話だったり、配信についての知識、プロ同士のメッセージに見えるコミュニケーションの取り方、次々と溢れ出るアイデア、さまざまなマニアックな情報…などに触れる面白い場所であることは、間違いないと思います。

月蝕會議のWORKS一覧で、月蝕會議の活動を見れる

さて、そんな月蝕會議室の活動の一環として、「月蝕會議の作曲會議」が行われたわけですが、120分の配信の流れをダイジェスト的に紹介していきましょう。配信自体は、サロン会員でも一般の人でも見れる、プラットフォームで行われ、実際に楽曲を制作に掛けた時間は90分。その中で、作曲、編曲、作詞、歌入れまで完成させるという前代未聞なイベント。月蝕會議だからこそできる、達人ワザなわけですが、月蝕會議が普段行っているco-writeの様子を余すことなく配信され、音楽制作のことが分からない人でも楽しめるエンターテイメントショーでした。

制限時間90分。リアルタイム編曲を実施するという前代未聞の音楽プログラム月蝕會議の作曲會議

まずはメロディーを決めるところからスタート。実は事前に月蝕會議室の中で、メロディーのコンペを行っており、集まった20曲の中から、3曲を選んでいました。その意味では、今回のイベントでは作曲そのものは行っていないわけですが、その3曲のメロディーを流した上で配信を見ているユーザーのコメントをもと、今回のメロディーを決めたのです。

結果的に選ばれたのは3番目のメロディー。ここから編曲、作詞、歌入れなどをしていくわけですが、月蝕會議が自由に編曲するのではなく、しばりがあるのもゲーム的に面白いところ。さまざまなテーマが書かれた紙が入った箱から、キリンさんが1枚引くと……そこに書かれていたのは「アイドルソングっぽい曲」。これにしたがって、ここから作業へと入っていったのです。

一方で作詞のほうも編曲と並行して作業を進めていきます。ここにもしばりを設けており、Twitter「#月蝕會議の作曲會議」で、集めた歌詞ワードをもとに歌詞の単語を決めていく形にしていたのです。これも、単語が書かれた紙の入っている箱から、メンバーが1つずつ引いていき……。決まったワードは「レコンキスタ」「イリュージョン」「幾何学模様」「ムーンステーション」「誰もいない」の5ワード。かなり無理がありそうなゲームですよね。

これで、メロディー、編曲テーマ、歌詞ワードが決まったので、ここから90分での制作がスタートしました。まずは、テンポ決めとキー決めから。鳥男さんがCubaseを使い、メンバーで話合いながら、テンポを138に決定。そして、キーは、キリンさんに合わせて決めていきました。元のキーだと、「Aメロがアイドルっぽいにしては低いかも」とキリンさん。デモのメロディーに入っている、メロと一緒に歌いつつ、最高音も考慮しながら、残り83分でキーをDに決定。

テンポとキーが決まったところで、ここからは分業。作詞はエンドウ.さんが担当するということで、歌詞を書くために、別途用意された歌詞部屋に移動。決められたワードを織り交ぜながら作詞作業スタート。

メインステージでは、鳥男さん、Billyさん、楠瀬タクヤさんが話し合いながら、どんどん作業を進めていきます。RECボタンのショートカットキーが、いつもと違うというアクシデントがありつつも、Aメロとサビに4つ打ちのキックを打ち込んでいきます。「Bメロはビルドアップを入れようか」など話しつつ、K-POP系のアイドルソングという方向性に決定。続いてベースを打ち込み、コードに関してもピアノを使って、圧倒的スピード感で打ち込んでいきます。さらにBメロとサビの間に1小節足したり、と先のアレンジのイメージを3人で膨らませつつ、開始20分で基本となる部分はほぼ完成。その後、シンセやストリングス、サビにはループなど足していき、どんどん豪華になっていきます。

一方、歌詞部屋には、キリンさんも加勢する形でエンドウ.さんと作詞作業を進めていきます。サビの歌詞について「この曲は1文字1文字の間隔が空いているから、歌うときは、意識的に母音を入れるとよくなるよ」などの視聴者でもある、サロン会員からのアドバイスもありつつ、残り50分のところで、歌詞が完成。

メインステージに、キリンさんとエンドウ.さんが戻ってきたところで、サビに楠瀬タクヤさんがコンガを、Billyさんがギターをレコーディングしていきます。そこは、流石のプロワザで1発で決めていきます。

その後、制限時間の半分が過ぎたところで、ボーカルレコーディングがスタートします。マイクにほかの音が入らないように会場のモニターはミュートし、まずはボーカルのボリューム調整を始めます。さらにキリンさんへのモニターのバランスを調整したところで、Aメロからレコーディングを開始。試しに何度か歌うなかで、どこでシンコペーションするかなど、確認しつつ、8小節ごとに歌録りします。その様子は、普段レコーディングスタジオでの歌録りさながら。ここから学べるノウハウはすごく多いと思います。オケとの兼ね合いやボーカルへのディレクション、パンチインなど、どういう風にレコーディングを進めているかも、見れるのはすごいですよね。また残り30分のところで、通しで歌とギターを同時にレコーディングしていきます。

いいテイクを選んだところで、エンドウ.さんから「イントロを付けよう!」という提案。ここからは、装飾していく作業が、どんどん進められていきます。まずは、イントロは置いておいて、サビにハモリパートを付け行くことに。これは、歌うのではなくHarmony Engine Evoというリアルタイムでハーモニーを生成するプラグインを使って、DAW上で鳥男さんが、ハモリパートを作っていきます。どこにハモリを入れるかなど、話し合いながらサビのハモリパートは完成。

さらにBメロとサビの間に1小節設けたところに、セリフパートを入れたり、各トラックのボリューム調整、プラグインを使って音を加工したりしながら、残り15分のところでイントロの作成を開始。鳥男さんが、まずはサビのモチーフを元にピアノフレーズを作り、そこにBillyさんがギターフレーズを弾き、エンドウ.さんと話し合いながら、どんどん装飾を施していきます。

さらに、Aメロ前にエンドウ.さん、キリンさん、Billyさん、楠瀬タクヤさんで、「Hey!!」という掛け声を入れ、残り時間は後5分。その後、サビにも楠瀬タクヤさん考案のコーラスをみんなで入れていきます。

残り3分のところで、鳥男さんが最終調整を行っていきます。見ていて、ホントに間に合うのか?とハラハラさせつつ、そこはやはりプロ。時間ピッタリに作業終了です。

最後に今回の楽曲のビフォー/アフターを聴き比べて、月蝕會議メンバーの感想タイムへ。

i楠瀬タクヤさん
楽しんで作っているので、そういったことが作品をよくしていると思っています。まさに音楽という形でしたね。
これぞファーストテイクっ!
緊張しましたがとっても楽しめました♪ありがとうございました。
またやりたい!
キリンさん
iエンドウ.さん
「ムーンステーション」を引いたときは、もう絶対無理だと思ったのですが、まさか曲のキラーワードになるとは思いませんでした(笑)。
できた瞬間は、快感でしたね。みなさんありがとうございました。
billyさん
i鳥男さん
僕は、この3番目のメロディーだけは避けたいと思っていたんですよ(苦笑)。でも、思いもよらないところに着地するのが、co-writeの楽しみでもありますね。こういったのをもっと広げていきたいし、ぜひみなさんとco-writeしていきたいなと思います。

以上、「月蝕會議の作曲會議」をレポートしてみました。月蝕會議の公式からもこの作曲會議のダイジェスト映像が公開されたので、これを見ても雰囲気がそして実際に完成した楽曲がよくわかると思います。

実際、メロと簡単なオケだったところから、90分で本格的なK-POPの曲になって驚きました。超人的な仕事だと感じましたが、まさに月蝕會議というクリエイター集団だからこそ実現できたのだと思います。音楽制作の実態をよりリアルに楽しめる、楽しいイベントでした。これからも月蝕會議室では、こういった面白い試みを次々と企画していくとのことなので、興味のある方は、参加してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
月蝕會議室(DMMオンラインサロン)
月蝕會議 official website

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