CeVIO AI さとうささら、トークもソングも8月5日より、いよいよ発売開始

昨年11月に「AI歌声合成でさとうささらが人のように歌う!来年1~3月発売予定となったCeVIO AIを試してみた」という記事で予告したCeVIO AI(チェビオ・エーアイ)のさとうささら。諸々の事情で、発売がだいぶ遅れたようですが、2021年8月5日より、ついに発売が開始されました。これは2013年にリリースされたCeVIO Creative Studioに搭載されていたキャラクタである、さとうささらが、AI歌声合成、AI音声合成に対応した形で新たにリリースされるものです。

多くの人に親しまれてきた、さとうささらの声でありながら、より滑らかに、より自然に、より人間的に歌い、喋るシステムとなって登場したのです。先月、DTMステーションPlus!の番組内でも実演を交えながら詳しく紹介しましたが、改めてCeVIO AIとはどんなものなのか、さとうささらとはどんなキャラクタなのか、CeVIO Creative Studioと何が違って、何が同じなのかなど、番組で行ったデモも交えつつ、改めて紹介してみたいと思います。

8月5日に発売されたCeVIO AI さとうささら

すでにご存じの方が大半だとは思いますが、CeVIO AIについて知らない方も少なくないと思うので、まずは簡単にその概要を紹介してみたいと思います。

CeVIO AIは、テクノスピーチなど5社によるCeVIOプロジェクトが開発するソフトで、歌声合成(ソング機能)と音声合成(トーク機能)を併せ持つソフトです。エディタソフト自体は誰でも無料でダウンロードすることができますが、ソング機能を使うためにはソングエディタのライセンス、トーク機能を使うためにはトークエディタ用のライセンスが必要となります。

CeVIO AIのソングエディタ画面

またエディタだけでは、実際に歌わせたり、喋らせることはできません。別途ソングボイス、トークボイスをインストールする必要があり、それによってどんな声で歌わせるか、喋らせるかが変わってくるのです。

CeVIO AIのトークエディタ画面

これまでも結月ゆかり、小春六花、IA、ONE、弦巻マキ……といったソングボイス、トークボイスが発売になり、DTMステーションでも記事で紹介してきましたが、今回、さとうささらのソングボイスとトークボイスが発売になったのです。文章で紹介していても、なかなかピンと来ないかもしれません。まずは、DTMステーションPlus!の番組内で歌わせたシーンをご覧ください。

いかがですか?これは、いわゆるベタ打ちというもので、ピアノロール画面で音符と歌詞を入力しただけのもの。かなりリアルに歌っているのが分かるのではないでしょうか?

2021年7月6日に放送されたDTMステーションPlus!。左から藤本、川出さん、大浦さん、多田彰文さん

このDTMステーションPlus!の番組では、音声合成エンジンを開発するテクノスピーチの代表取締役である浦圭一郎さん、そしてCeVIO AIのエディタ開発担当の川出陽一さんに出演いただき、いろいろ解説していただいたのですが、その際、同じデータを以前からあるCeVIO Creative Studioの、さとうささらで歌わせてみたので、こちらもちょっと聴いてみてください。

どうですか?こう聴き比べてみると、声質は確かに同じ、さとうささらではあるけれどCeVIO Creative Studioと比較してCeVIO AIのほうが圧倒的に人間らしい歌い方になっているのが分かったと思います。

もちろん、ここでの歌声は、何も調整していないし、何のエフェクトも掛かっていないので、素っ気なく感じる方もいると思います。そこで、この番組内において、CeVIO AIの歌声データをWAVで書き出した後、Cubaseに読み込ませて伴奏と合わせるとともに、リバーブを掛けつつ、バランスを調整する……といった操作もしてみたので、こちらをご覧ください。

これを聴いてみると、オケに馴染んだ歌声になっているのが分かると思います。パッと聴いた感じでは、これがコンピュータによる歌声合成だとは思わないほどではないでしょうか?

番組内においても話題に出ていますが、CeVIO AIから歌声を書き出すと、48kHz/16bitのWAVデータとなります。そのため、DAWの環境によってはサンプリングレートコンバートなどが必要になるケースもありますが、誰でも簡単にこのクォリティーで歌わせることができるというのは、画期的なことだと思いませんか?

もちろん、CeVIO AIのソング機能は、単にベタ打ちするだけでなく、さまざまな調声機能が搭載されています。

タイミング調整画面

まず一つ目はタイミング調整です。ベタ打ちで音符入力をしたものだと、ちょっと長いとか短いという場合には、これで細かく調整できるし、頭をもう気持ち少し前にズラしたいとか後ろにズラしたい……といった調整も可能です。

ボリューム調整画面

もちろん声のボリュームの調整も可能。どのくらいの音量にするのかボリュームカーブを描いていくことが可能です。ただし、MIDIでのベロシティのように強さによって声質が変わるわけではないようですね。

ピッチ調整画面

そしてもう一つはピッチ調整です。ボーカルのピッチは1つの音符であってもかなり揺れており、揺れているからこそ、人間っぽさもでるわけですが、そこを必要に応じてピッチカーブを描いて調整していくことも可能です。単調にして機械音的なものにすることもできるし、イントネーションを変えることもできるわけです。

ビブラートの振幅調整画面

またビブラート調整機能も用意されています。このビブラートは、シンセサイザのLFOのような感じで利用することができ、ビブラートの振幅の調整と、ビブラートの周期の調整という2つのパラメーターが用意されています。

ビブラートの周期調整画面

こうしたパラメーターとはちょっと別に、画面右側に声質というパラメーターが用意されています。これを調整することにより、さとうささらの歌声がかなり違った声に変えることができるので、声のバリエーションを増やすとい観点では、かなり使えるパラメータですし、曲中でパラメーターを動かしていくこともできるので、歌い方を演出するという面でもいろいろ使えそうです。

ングボイスの声質調整パラメーター

と、ここまでCeVIO AI さとうささらのソング機能について見てきましたが、冒頭でも紹介した通り、それとはまったく別にトーク機能という、さとうささらが喋る音声合成機能も用意されています。実際どんな声で喋るのか、DTMステーションPlus!の番組内でもいろいろ試してみたので、以下をご覧ください。

普通に聴いて、人の声ともはや区別がつかないのではないでしょうか?同じ言葉を喋らせても、感情パラメーターの設定によって、雰囲気が大きく変わるところも、すごいところです。

実はこの感情パラメーター、キャラクタによって、そのパラメーターが違っているのも面白いところ。たとえばIAの場合、Bright、Normal、Strong、Darkとなっていて、小春六花の場合は嬉しい、普通、怒り、哀しみ、落ち着き、となっているのに対し、さとうささらでは元気、普通、怒り、哀しみとなっているんですね。

トークボイスの調整パラメーター

上のビデオにもある通り、各パラメーターのレベルを調整することができるとともに、怒りと哀しみの両方をMAXに設定するなど、調整内容によっても喋り方のニュアンスが大きく変わってきます。

怒りと哀しみの2つのパラメーターを上げたところ

また感情パラメーターのほかにも大きさ、速さ、高さ、声質、抑揚というパラメーターがあり、これらを変えることによっても、かなり雰囲気が変わってきますね。

以前からあるCeVIO Creative Studioにおける、さとうささらとは製品の位置づけが異なるので、ちょっと戸惑う方もいるかもしれません。そうCeVIO Creative Studioの場合、このソフトを購入すれば、さとうささらが標準で搭載されていて、歌うことも喋ることもできました。しかし、CeVIO AIの場合は、エディタとしてソング機能、ボイス機能それぞれのライセンスを購入してアクティベートしないと各機能を使うことができません。さらに、さとうささらのソングボイス、トークボイスもそれぞれ別売となっているので、歌って喋らせるためには、計4つのライセンスが必要となるのです。

ングエディタとトークエディタ、ソングボイスとトークボイスはそれぞれ別のライセンスとなっている

もちろん、すでにCeVIO AIのエディタを使っている方であれば、そのまま使うことが可能です。また、今回初めて購入する方のために

・CeVIO AI さとうささらトークスターター
・CeVIO AI さとうささらソングスターター

というエディターとボイスのセットも販売されていて、こちらのほうが割安となっています。しかも8月5日~12日の1週間に限り、発売記念セールとして20%オフのセールが展開されているので、見逃せないチャンスとなっています(ソングボイス、トークボイスの単体も20%オフのセール対象です)。

ちなみに、よく質問としていただく、「これを商業利用可能ですか?」という点について、番組内で川出さんがコメントしていましたが、個人で使う分にはYouTubeで収益化をするのもOKだし、M3やコミケなどでCD作品を頒布する…といった場合も、特に別途料金が発生するわけではないので、自由に使っていい、とのこと。ただし、法人の場合は、規定の料金があるので、ご相談ください、とのことでした。

個人利用においては収益化もOKと話す、川出さん(左)

以上、8月5日に発売されたCeVIO AI さとうささらについて紹介してみましたが、いかがだったでしょうか? ここ数年で急速に進化しているディープラーニングを使った歌声合成、音声合成の威力には驚くばかりですが、また強力な選択肢が登場した、ということのようです。

なお、CeVIO AI さとうささらの発売に向けて、公式でも動画がUPされているので、こちらもご覧になってみてください。

CeVIO AI さとうささら発売記念セール

8月5日~12日の7日間、ベクター、DLsiteにおいてCeVIO AI さとうささらの発売記念セールが行われます。対象製品は下記4種類で、いずれも20%オフとなります。

CeVIO AI さとうささらソングボイス 10,780円 8,620円(ベクター) 8,624円(DLsite)
CeVIO AI さとうささらトークボイス 8,778円 7,020円(ベクター) 7,022円(DLsite)
CeVIO AI さとうささらソングスターター 19,580円 15,660円(ベクター) 15,664円(DLsite)
CeVIO AI さとうささらトークスターター 17,160円 13,720円(ベクター) 13,728円(DLsite)

なお、CeVIO AI さとうささらはダウンロード販売のみで、パッケージ販売の予定はありません。

 

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