DAW=高価なソフトというイメージがありますが、多機能ながら定価14,800円という安価なソフト、Music Maker 3 Producer Editionが間もなく5月21日に、AHSより発売されます。
Music Maker 3 Producer Edition
このMusic Maker 3 Producer Editionのガイドブックの制作に携わっていた関係で、α版、β版と使ってきましたが、先日ようやく製品版を使ってみたので、そのインプレッションも含めて紹介してみましょう。
名称からも分かるとおりMusic Makerの3番目のバージョンとなるのですが、この3番というのは国内でバージョン番号であり、開発元であるドイツのMAGIXでは16番目に当たるMusic Maker 16 XXLという製品をベースに日本仕様にアレンジしたものとなっています。
機能のすべてを紹介しているとキリがないほどですが、Music Makerは以前のバージョンより、オーディオもMIDIも扱え、レコーディングからミキシング、マスタリングまでトータルにこなすことができるとともに、
エラスティック・ピッチ
というボーカルのピッチの補正、編集機能まで備えた、とにかく値段からは信じられないほど多彩な機能を持っているソフトとして定評があります。
ボーカルをMIDIのようにエディットできるエラスティックピッチ
5~10万円クラスのDAWと比較すると、多少編集機能に物足りなさがあることは事実ですが、機能という面では見劣りしないどころか、高級DAW以上のものがあります。そう当初からインスタントに30秒で誰でも作曲ができるソングメーカー機能を備えるともに、本格的なマスタリングエフェクトを搭載していたり、VST/VSTiプラグインを備えるほか、3500以上のループ素材があり、さらにはビデオ編集機能まで持つなど、まさに機能てんこ盛り。また前バージョンではReWireにも対応して、VOCALOID 2との連携もできるようになっていました。
その新バージョン、Music Maker 3 Producer Editionでは、さらに本格的なアンプシミュレータ、
VANDAL SE
を搭載しました。
これは各種アンプとキャビネットを組み合わせることが可能なシミュレータで、かつコンパクトエフェクタもいろいろ利用できるようになっています。こうしたアンプシミュレータは単体で売られていることが多いのですが、その単体価格よりも安いDAWの一機能として搭載されているのですから、コストパフォーマンスの高さがわかるでしょう。
また、これまでのバージョンで、物足りなさを感じていたミキサーが大きく強化され、各チャンネルごとに4バンドのパラメトリックEQが搭載されるようになりました。まあ従来より、エフェクトラックの中にグラフィックEQが用意されていたので、これを利用する手もあったのですが、やはりミキサーに組み込まれると、使い勝手は大きく向上します。
そのほかにも、プロっぽい仕様のエフェクトとして
essential FX
というものも追加されました。ここにはコーラス/フランジャー、フェイザー、ステレオ・ディレイが用意されており、幅広い用途で使えるようになっています。
すでに多機能があっただけに、パッと見た目には大きな変化はないのですが、実はエンジン部分が作り直されているというのが最大ともいえるポイントかもしれません。これによって、さらなる高音質化が図られているのです。
ただ、実はこれまで使っていたβ版では、そのエンジンの作り直しの影響で、動作が異常に重く、かなり問題がありました。英語版のOSでは、サクサク動くのに……と話をしていたのですが、最後の最後、ギリギリになって、問題が解決し、快適に使えるようになりました。日本語フォントの処理周りに問題があったのだとか……。Vistaよりも軽いWindows7上なら、より気持ちよく動作させることができるので、初心者にもお勧めです。
ちなみに、MAGIXはプロ用のDAWとして実績のあるSamplitude、Sequoiaのメーカーでもあり、Music Makerはここから機能を継承する形で開発されているのです。現在、SamplitudeやSequoiaを扱っているのはAHSではなくフックアップですが、今後そちらへのアップグレードパスができるかもしれないので、ぜひその点にも期待したいところです。
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