10月15日、秋葉原で毎年恒例のSONARイベント「
SONAR PREMIUM DAY 2011」が開催されました。今年はメジャーバージョンアップの発表はありませんでしたが、SONARシリーズに待望の新製品、「
SONAR X1 PRODUCTION SUITE」が発表となり、実物は私もここで初めて目にしました。
この
SONAR X1 PRODUCTION SUITEはこれまでの最上位モデル
SONAR X1 PRODUCERのさらに上に位置づけられるもので、単体発売されるほか、もちろんPRODUCERからのアップグレードも可能。アップグレードのための「
SONAR X1 PRODUCTION SUITE KIT 日本語版」は登録ユーザーを対象に10,290円で発売されることも発表されました。そこで、今回は、SONAR X1 PRODUCTION SUITEでどんな機能が強化されるのかをチェックしてみたいと思います。

10月15日に秋葉原で行われたSONAR PREMIUM DAY 2011
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今回のバージョンではさまざまな機能強化が図られていますが、やはり一番目立つのはPRODUCERでの目玉機能であったProChannelがさらに強力になったこと。PRODUCERユーザーなら、見ると「あれ?」と思うのではないでしょうか?
そうここには「PC4K S-Type Expander/Gate」というモジュールと「SATURATION KNOB」というモジュールが追加されています。

2つのモジュールが追加されたProChannel
これらはVSTではなく、ProChannel専用に追加されたモジュールで、その名のとおりエクスパンダー/ゲートとサチュレーション。チャンネルストリップとして活用することで、音作りの幅が大きく広がります。

折りたたみやスクロールも行えるようになった
これらが追加されたこともあり、大きいディスプレイでも縦幅が足りなくなりそうですが、見やすくするために、各モジュールを折りたためるようになったり、ProChannel単体で上下にスクロール可能になったのはUI的にとても扱いやすくなったところです。
このようにスクロール可能になったのはProChannelだけでなく、各チャンネルもコンソールビュー内でそれぞれ独立してスクロール可能になっています。

見た目も、機能も、サウンドも大幅強化されたZ3TA+ 2
一方、音源のほうは、あのZ3TA+(ゼータ)がZ3TA+ 2へとバージョンアップを果たしています。Z3TA+があるからSONARに乗り換えたという人も少なくないほどの強力でマニアックなシンセですが、また大幅に強化されているのです。
パッと見でも、「うわぁ、何だ!?」と思うほど、さらにマニアック感が増したUI。エンベロープがグラフィカルに設定できたり、フィルター部分がエグイほどにグリグリといじれるなど、触りだしたら面白すぎてとまらないほど。

Z3TA+ 2で作ったパターンはドラッグ&ドロップでトラックへ持っていくこともできる
しかも、ここにはシーケンス機能まで搭載されており、Z3TA+ 2にMIDIファイルを読み込んで鳴らすことが可能です。さらに、このシーケンスパターンをドラッグ&ドロップでトラックビューへと持っていくと、それをSONAR側で素材として利用できてしまうなど、一体感が増しているのも面白いところです。

内蔵のエフェクトのルーティングも自由自在
またZ3TA+ 2内部にもディストーション、モジュレーション、コンプ、ディレイ、リバーブ、EQと各種エフェクトが搭載されています。これらもVSTではなく、内蔵エフェクトという位置づけですが、自由度が高く、各パラメータの設定ができるのはもちろん、ルーティングをユーザーが自由に組み替えられるというのも面白い点です。
これまでZ3TA+は単体でも発売されていましたが、今回のZ3TA+ 2に関しては、今のところPRODUCTION SUITE、PRODUCTION SUITE KITのみでのバンドルということのようです。

複数のエフェクトを1まとめにして1つのエフェクトのように扱えるFX Chains 2.0
そのほかにも、さまざまな改良が加えられています。なかなか便利なのがFX Chains 2.0というもので、VSTプラグインをユーザーが自由に組み合わせて作った設定を1つのエフェクトのようにまとめることができるという機能。ルーティングはもちろんのこと、画面デザインを変更したり、割り当てるボタンやノブなども自由に設計することができるので、まさに自分だけのエフェクトを作り上げることができるのです。

FX Chains 2.0はデザインもボタンなどもカスタマイズ可能
また、SoundCloudに接続する機能が追加されたので、SONAR X1から直接SoundCloudへのアップロードが可能になりました。また、作ったMIDIシーケンスデータを譜面データのデファクトスタンダードであるMusicXMLでエクスポートできるようになったのもひとつのポイントです。

SoundCloud接続機能やMusicXMLエクスポート機能も装備
MusicXML経由で
Finaleなどの譜面ソフトへデータを引き継ぐことができるわけですが、個人的に興味があるのは、
名古屋工業大学の歌声合成システム「Sinsy」へデータを渡せるようになるのではないか、という点。まだ手元で実際に試したわけではないので分かりませんが、こんなあたりからも広がりが出てくるかもしれませんね。
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