iPad miniとAudioBox 44VSLで24bit/96kHzの4ch同時レコーディング環境を構築
私がこのAudioBox 44VSLを購入したのは昨年の8月。「AudioBox 44VSLを使えば、iPadでマルチチャンネル入力が可能になるらしい」という情報をTwitter上で知り、イチかバチかで購入してみたんです。ちなみに領収書を見ると29,800円で買っていましたね。
改めてAudioBox 44VSLについて紹介しておくと、これは基本的にWindows、Mac用に販売されている4IN/4OUTのオーディオインターフェイスで、最高で24bit/96kHzをサポートしているという機材です。フロントに4つのコンボジャックが搭載されており、XLR接続のマイクでも、ギターなどのフォンでも接続して入力することが可能です。また、ここには48Vのファンタム電源供給が可能であり、コンデンサマイクを接続して使うこともでき、PreSonus自慢のXMAXクラスAという高性能なマイプクリも搭載されています。
ハーフラックのコンパクトな機材ですが、USBバスパワーだけでは動作せず、ACアダプタの利用が必須。実はこのことがiPadで使える大きなポイントになっているのですが、これについては後で紹介します。
AudioBox 44VSLはiPad用に作られたデバイスではないので、偶然の産物という気がしなくもないのですが、結果的にiPadで使える数少ないデバイスとなっているのです。ただし、これをiPadと直接接続できるわけではありません。iPadと接続するためにはUSBデバイス接続用のアダプタが必要になります。そう、iPad 3rdまでの機材であればiPad Camera Connection Kit(以下CCK)、iPad miniおよびiPad 4thの場合はLightning – USBカメラアダプタです。
ところが、先日Twitterで解決方法を教えてもらったので試してみました。そう、AudioBox 44VSLのファームウェアをアップデートすれば使えるようになるんですね。ファームウェアをアップデートするためには、一度WindowsかMacに接続して、ドライバをインストールします。そこでファームウェアのアップデートを促されるので、それにしたがってアップデートした後、再度iPadとつなげばよかったんです!
実際に使ってみるとホントに快適。30pinのDOCKにCCKを介して接続する場合、どうしても接続が不安定でちょっと動かすと外れてしまうというリスクがあるのですが、Ligithningだとカッチリと接続されるため、そうした心配がないのです。
Auriaでの動作で24bit/96kHzで4ch同時入力が確認できたほか、MultiTrack DAWでも24bit/96kHzの4ch同時入力がしっかりとでき、非常に安定して使うことができました。ただし、いずれのアプリも入力はマルチ対応ですが出力は2chのステレオに限定されています。おそらくこれはiOSの仕様が2ch出力に限られていたためだと思いますが、iOS6になってマルチ出力対応になったので、近いうちにマルチ出力対応するのではないでしょうか……。
MultiTrack DAWでも4chパラでの同時レコーディングができた
24bit/96kHzの設定もしっかりできる。画面はMultiTrack DAW
また、AuriaとMultiTrack DAWはMIDI対応していませんが、CoreMIDI対応アプリならAudioBox 44VSLのMIDIインターフェイス機能も使えることを確認しました。
このようにAudioBox 44VSLはiPadと連携した強力なDTM環境を構築できるオーディオインターフェイスです。たとえば、自宅のPCのDAWでオケを作って、AuriaやMultiTrack DAWに転送しておき、iPadとAudioBox 44VSLを持って練習スタジオなどに行ってボーカルやギターなどをレコーディングしてくる。そして、再度自宅に持ち帰って、レコーディングしてきたトラックをDAWへ持っていくといった使い方は、なかなかスマートだと思うのですが、いかがでしょうか?
なお、AudioBox 44VSLの上位機種として18IN/18OUTのAudioBox 1818VSLという機材があります。こちらは私もテストしていませんが、Auriaの互換情報によると、間に電源供給可能なUSBハブを挟む必要があるけれど、動作するとのことです。機会があれば、私も試してみようと思っています。