実はいま、ドイツのフランクフルトに来ています。というのも、4月10から始まるmusikmesseを初めて取材しようとやってきたのですが、成田からフランクフルトに向かっている最中に、アメリカで開催されている放送機器展NAB2013で、AvidがPro Toolsの新バージョン、Pro Tools 11およびオーディオインターフェイスのFast Track SoloおよびFast Track Duoを発表しました。
Avidはmusikmesseでもブースを出すようなので、きっとメインとして展示されると思うのですが、これがどんなものなのか、DTMユーザーにとって魅力的なものなのか、発表資料などを元にちょっと考えてみたいと思います。
Pro Tools 11およびFast Trackシリーズが発表になった
のそれぞれ。このうちPro Tools HD 11は基本的に個人のDTMユーザーが使うものではなく、レコーディングスタジオなどで導入する業務用だと思うので、除外するとDTMの範疇に入るのは3製品ということになります。
一番注目すべきはPro Tools 11でしょう。ご存知のとおり、昔Pro Tools LEという名称でMboxにバンドルされていたものがPro Tools 9から単独発売されるようになり、ASIOやCoreAudioに対応した他社のオーディオインターフェイスでも動作するようになりました。これによりCubaseやSONAR、StudioOneなどと横並びに比較できるDAWとなったわけですが、このたび、Pro Tools 10からメジャーバージョンアップということで、Pro Tools 11になったわけです。
いまひとつピンと来ないのですが、要するに従来32bitアプリケーションだったものが、今回ついに64bitになるとともに、高速化したというのが最大の売りのようです。ハッキリ見ているのではないので、よく分かりませんが、画面のデザインなどはPro Tools 8で一新されたものを、そのまま継承しているようですね。
そして今回のPro Tools 11では古いアーキテクチャであるRTAS、TDMを捨て、完全にAAXのプラグイン環境に移行したようなのです。Avidのページを見ても、その辺のことがまったく触れられていませんでしたが、Pro Tools 10が出たときに、Avidではそのようにアナウンスしていたので、そうなのでしょう。だからこそ、これまでできていなかった64bit化が実現でき、高速化が実現できたのだと思います。
【追記】
先ほど、musikmesseの会場で確認をしたところ、やはりPro Tools 11はRTAS、TDMのサポートはなく、ラッパーなども存在しないとのことでした。ただし、Pro Tools 11を買うとPro Tools 10のライセンスもセットでついてきて、1台のマシンにPro Tools 11およびPro Tools 10と同居が可能とのこと。こうすることで、RTASなどのプラグインが使えるということでした。
まあ、そのうち、どこかがRTAS-AAXラッパーなどというものを出してきそうな気もするのですが、この辺は様子見ではないでしょうか?とはいえ、Pro Tools 10からのバージョンアップ価格は\31,080と、それほど高くはないし、ものすごく高速化するようなので、Pro Tools 9や10のスピードに不満があった人は乗り換えてみる価値はありそうですね。
一方、Fast Trackは、M-Audio(以前、M-AudioはAvidのブランドでしたが、現在はAvidからinMusic=Alesis、AKAI、Numarkの親会社に売却された)ブランドのオーディオインターフェイスでしたが、AvidブランドとなってFast Track SoloおよびDuoの2種類が発表されました。
入力はマイクイン、インストゥルメントインの1つずつと、ライン出力というシンプルな構成のFast Track Solo
いずれも24bit/48kHzで、Soloにはマイクプリアンプ1つとインストゥルメント入力1つを装備、Duoにはマイクプリアンプ/インストゥルメント入力を2つ、ライン入力2つを装備とのこと。Duoのほうが同時4ch入力できるのかはハッキリしませんが、マイク2つを接続するならDuoということのようですね。ただ、世の中24bit/96kHz、24bit/192kHz対応が当たり前となる中、スペック的に見劣りする点が気になるところではありますね。
Fast TrackシリーズにバンドルされるPro Tools 10ベースの簡易版、Pro Tools Express
なお、発売は、Pro Tools 11は2013年の第2四半期後半とのことなので6月ごろでしょうか?Fast Track Solo/Duoは4月12日発売とのことです。