これを接続することで、単にUAD-2+オーディオインターフェイスということに留まらず、プロが使っているレコーディングスタジオそのものがDTM環境に持ち込める、とのこと。NAMMでの発表と同時に、国内の店頭での発売も開始されたため、すでに使っているという人も少なくないようですが、ちょうどUNIVERSAL AUDIOのインターナショナル・セールスマネジャーであるユウイチロウ“ICHI”ナガイさんが来日されていたので、お話を伺ってみました。
の2ラインナップで、いずれも形状的にはまったく同じコンパクトな機材です。24bit/192kHzにまで対応しており、カタログを見ると2IN/6OUTと記載されていますが、実は10IN/6OUTとしても使えるというユニークな機材でもあります(この点については後述します)。
また現在、オーディオインターフェイスといえばUSB接続というのが一般的ではありますが、このapollo twinはUSB接続ではなくThunderbolt(AppleとIntelが共同開発した高速汎用データ伝送の規格)接続という、まだ珍しい方式。
apollo twinはThunderbolt接続となっている
とはいえ、Thunderboltの端子の装備は、すでにMacでは標準になっており、IntelのベアボーンPC、NUCなどにも搭載されてきています。USB 2.0と比較すると、転送スピードが圧倒的に速いため、高品位なデジタルオーディオを安定して送れるという面では、大きい意味を持っているんですよね。
また名称からも分かる通り、soloはUAD-2のDSPを1つ搭載したもの、duoは2つ搭載したものとなっています。ということは、apollo twinとは「Thunderboltオーディオインターフェイス+UAD-2」であるということなんだろう、と思ったら、ICHIさんからは「ちょっと違う!」という指摘をいただきました。
「これは単機能の組み合わせではなく、まさにプロの現場で使われているレコーディング環境のオールインワンシステムなんです。単にオーディオインターフェイスで入出力ができるとか、DSPでエフェクト処理ができるだけでなく、この中にはミキサーコンソールもあるし、マイクプリアンプ、スピーカーコントロール機能もあります。そしてマイクをつなげれば即、マイクプリを経由した音にすることができるし、ギターを接続すれば、自動でHi-Zモードでの入力に切り替えられ、ビンテージアンプで鳴らした音で演奏できるんです」(ICHIさん)
「ギタリストも、いきなりレコーディングをするわけではなく、なんとなく弾いているうちに、フレーズが浮かんで来たり、乗ってきていい演奏ができるでしょ。そこで、『これをこのまま録ろう!』と思ったところで、Pro ToolsでもCubaseでも、Logicでも好きなDAWを起動してレコーディングすればいいんですよ。とにかく、分かりやすく、直感的に使え、しかもプロのレコーディング環境で使われているのとまったく同じ、最高のサウンドで使えるのがapollo twinの最大の特徴です」とICHIさんはギターを弾きながら、実演してくれました。
DSPで往年のギターアンプをシミュレーションする
一方、マイクプリ部分で使われているのは「ユニゾン・プリアンプ・テクノロジー」というもの。これはオーディオインターフェイス内でハード的に(DSPで)マイクプリとマイクの相互作用をエミュレーションし、クラシック・アナログ・プリアンプの挙動を実現しているのです。ターゲットとしているモデルのマイクプリに合わせてApolloのマイクプリのインピーダンス、ゲインのヘッドルーム、挙動までもをデジタルコントロールできるという前代未聞の機能。
スタジオにある高級コンプレッサーやEQは、今までUAD-2を始めとしたエミューションプラグインがリリースされてきているんですが、マイクプリだけはアナログアンプそのものなだけにデジタルでどうにかなるものでないとされてきました。けれどもこの新技術によってapolloのマイクプリが何十万円もするビンテージのマイクプリアンプの早替わりしてしまうというものなんです。実際に610-B TUBE マイクアンププラグインを入れてみると、オーディオインターフェイス内蔵のマイクプリとは思えないアナログサウンドに変化します。これはDTMユーザーにとって強力な機能なのではないでしょうか。使ってみると、アナログのマイクプリを触っている感じで簡単に操作できてしまうのも面白いところです。
こうした操作をICHIさんは、ものすごく簡単そうに使っているのですが、何かちょっと騙されているような気もします。だって、DSP搭載のオーディオインターフェイス、オーディオインターフェイス内蔵ミキサーって、難解で使いにくいものが多いのに、いとも簡単に操作しているんですから……。
というわけで、お試しレコーディング。ここではPro Tools 11を使ってデモしてくれましたが、確かに今演奏していたセッティングのままの状態でPro Toolsを起動でき、そのままトラックへレコーディングできてしまうのですから、これまでの常識が覆されたような感じがします。
上位機種であるapolloとの違いは、入出力やDSPの数だけであり、性能、音質自体はまったく同じ
「一般的に下位機種になると入出力数といったスペックが落ちると同時に、部品も変えて音質が落ちたりするものですが、apolloに関しては、入出力数、DSPの数が違う以外、性能はまったく同じで、音質的にも違いはありません。マルチでレコーディングするのではなく、DTM環境でボーカルだけとかギターだけを1つずつレコーディングしていくというニーズにはピッタリだと思います」ということですから、嬉しいところです。
もう一つ気になるのがUAD-2の部分。UAD-2で実現するエフェクトは、まさにプロの現場で使われているものですが、業務用だけに、それなりの値段がしてしまいます。いくらapollo twinが安いといっても、このプラグインを買っていくとかなりの金額になってしまいます。
のそれぞれ。もちろん、数多くあるUAD-2のプラグインを追加で購入することで、音のバリエーションをいくらでも増やしていくことはできるのですが、まず、これだけのエフェクトが揃っているなら、かなりのことができそうですよね。
【関連サイト】
apollo tiwn製品情報
UNIVERSAL AUDIO製品情報(フックアップ)
UNIVERSAL AUDIO本社サイト(日本語)
UAD-2(フックアップ)
【価格チェック】
Amazon ⇒ apollo twin solo
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