自動でオリジナルなビートを生成してくれる、Liquid Rhythm

音楽制作やトラックメイキングをする上で非常に重要な役目をするリズムトラック。打ち込んで作っていくのもいいけれど、センスがないと難しい面もあるし、単純になりがちです。またループ素材を利用するとカッコいいものも多いけれど、ちょっと修正したいと思っても手の施しようがありません。

そんな中、オリジナルのリズムトラックを初心者でも簡単に作れ、しかも斬新でカッコいいパターンを次々と生成できてしまう画期的なツールが誕生しました。カナダのWaveDNAという会社が開発したLiquid Rhythmというのがそれ。国内でも10月上旬から発売されることが発表されたのですが、どんなものなのか紹介してみましょう。

リズム作成専用のソフトウェア、Liquid Rhythm

まずは、そのLiquid Rhythmをちょっと触ってみたので、その雰囲気をご覧ください。

どうですか?従来のドラムマシンとか、リズムボックス、シーケンサとはずいぶん違ったソフトであることがわかると思います。

一見、Ableton Liveのような感じのユーザーインターフェイスになっていますが、別にこれはDAWというわけではなく、完全にドラム専用のソフト。上記のビデオでは、DubStepを選択すると、ズラリとトラックが並んだわけですが、そのトラックはキック、スネア、ハイハット、タム、シンバル……とドラムのパーツになっているんですね。

がメイン右側のBarForm Listにリズム候補が並ぶ
そして、なんといっても不思議な感じなのが、右側のBarForm Listというところにそのトラックにマッチしそうなリズムの候補が選択肢として表示され、それを選ぶだけでリズムができあがってしまうという点です。このことからも想像できるように、従来のドラムマシンのように、自分で打ち込んでいくというよりも、カラフルなユーザーインターフェイスにおいて、パラメータを選択していくだけで、ビートを作り出すことができるリズム生成ソフトなわけですね。

普通のドラムトラック制作では、キックを4つ打ちで入れて、ハイハットを16分で刻んで……なんて入力していくわけですが、Liquid Rhythmでは、お勧めにしたがって選んでいくと、ある意味偶然の産物としてリズムが出来上がるから面白いんですよね。

トラックに張り付けられたリージョン。あまり見慣れない表示になっているが……

私もまだこのソフトの構造をしっかり理解できたわけではないのですが、トラック上に張り付けられたリージョン(?)には、いくつかの情報が表示されています。一番ハッキリしているのは、上段の紫の部分で、これが実際のノートというは拍ですね。また一番下に並んでいる水色とかピンク色の帯部分は、Liquid Rhythmの核心部ともいえる、リズムの構造を表すところ。これがどういう構造になっているかによって、実際のビートが決まってくるようなんです。


必要があれば、ベロシティーの調整も簡単にできる 

紫の拍の上に縦長の棒がありますが、これはベロシティ、つまり音の強さを表すところであり、これはマウスで上下させることによって、変化させることも可能。また、その拍をマウスで選択して移動させれば、手動でリズムを変更することも可能です。


画面右下のBeatForm Sequencer。標準では一番上のパターンが選択されている 

とはいえ、もっと手っ取り早く、バリエーションを作成していく方法があります。それが画面右下にあるBeatForm Sequencerというものを利用するものです。デフォルトでは一番上の行が選択されていますが、これに下の行と混ぜていくことで、リズムをより複雑なものへと変化させていくことができるのです。

適当に別のパターンを選ぶと、かなり違ったリズムに変わる

このバリエーション作成自体もランダム要素を加え、自分では普通作らないようなリズムにすることも可能です。そのための「Suprise Me!」というボタンが用意されており、これをクリックすると、自動的にBarFormもBeatFormも選択され、再度クリックすれば、別のリズムが作り出されるから、気に入るまで何度もクリックしてみるという作り方もあります。


Suprise Me!ボタンをクリックすると、リズム展開にランダム要素が加わり、思いがけないビートになるかも 

この「Surprise Me!」でランダムに選択するパラメータとしてBarForm、BeatFormだけでなく、Collaborate、Velocityなどを組み合わせることもでき、さらに面白いビートと出会える可能性も出てくるのです。

では、このようにして生成したビートはどう利用すればいいのでしょうか?ここにはいろいろな利用法が用意されているので、いくつかを紹介してみましょう。

Liquid Rhythmのパターン自体は内部的にMIDIで構築しているので、スタンダードMIDIファイルで書き出して、これをほかのDAWで使うという方法が一つ。ただ、MIDIファイルだとLiquid Rhythmでの音色情報はなく、あくまでもタイミングや音の強さの情報だけになってしまうので、音色自体も受け渡したいところ。そんな場合は、オーディオとして書き出してしまえばいいのです。

ACIDファイルやAppleLoopsとして書き出しも可能
WAVファイルかAIFFファイルを選択することができ、WAVファイルならACIDデータとして、AIFFならAppleLoopsとして書き出され、ここにテンポ情報やキー情報なども埋め込まれるので、ほかのDAWで使う素材として即、利用することができます。

しかし、極め付けは、これがスタンドアロンソフトとしてだけでなく、VSTやAUのプラグインとして動作するという点です。つまりAbleton LiveとかBITWIGのプラグイン音源として入れれば、各DAWと有機的につながり、完全に同期して動作するから、作った音がそのままDAW上で利用できてしまうわけです。

BITWIGのプラグインとしてLiquid Rhythmを動かしてみた。それぞれは完全に同期した形で動作する

もちろん、既存の曲をDAWに読み込んだ上に、リズムトラックだけLiquid Rhythmを用いて重ねていくといったこともできてしまうから、音楽制作の経験がまったくない人でも、楽器がまったく弾けない人でも、すぐにトラックメイキングの面白さを体験でき、しかも完全にオリジナルのリズムを扱うことができるという点で、非常に魅力的なソフトだと思います。

なお、このLiquid Rhythmは、国内ではディリゲントから10月上旬に14,800円(税抜き)で発売され、すでに日本語字幕入りのチュートリアルビデオなども公開されているので、これらを見ると、より詳しいことがわかると思いますよ!
【価格チェック】
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【関連情報】
Liquid Rhythmニュースリリース
Liquid Rhythm製品情報(ディリゲント)