3種類の歌声ライブラリーで登場したVOCALOID4版の結月ゆかり
ボカロPの集団であるボカロマケッツが企画・プロデュースし、AHSが開発、販売を行うVOCALOID、結月ゆかり。最初に登場したVOCALOID3版の結月ゆかりの開発秘話は以前も何度か記事にしたことがありましたが、その進化版であるVOCALOID4版の結月ゆかりが3月18日に発売されています。
それぞれがどんな歌声なのか、DTMステーションPlus!でもデモを使って歌わせてみたので、まずは以下のビデオをご覧ください。
いずれに、明らかに結月ゆかりの歌声であるけれど、ニュアンスがハッキリと異なる点がよく分かりますよね。これをどう使い分けるのかというのもポイントではありますが、VOCALOID4が面白いのは、単に使い分けるだけでなく、異なる歌声間をモーフィングできるという点です。つまり「凛で歌っている声を、徐々に穏に変化させていく」といったことが可能なんですよね。これが、VOCALOID4の新機能であるクロスシンセシスであり、DTMステーションPlus!の中でも、それを実践してみました。
クロスシンセシスを使うことで、2種類の凛から穏へなど、異なるライブラリ間をスムーズにモーフィングできる
もちろん、このように変化させるだけでなく、その途中の歌声で固定してしまうというのも手。つまり「凛から穏に3割程度近づけた歌声が好き!」というのなら、そこでパラメータを決めてしまうと、自分だけのVOCALOIDが作れるわけですよね。
さらに、VOCALOID4ではグロウルが歌えるようになっています。グロウルとは「がなり声」とか「うなり声」、「だみ声」などと呼ばれる歌い方ですが、純・穏・凛ともに、グロウルのパラメータをあげることで自然に歌ってくれるので、いろいろと使えますよ。もちろん、クロシスンセシスを含め、その他のパラメータと組み合わせて使うことも可能です。
なお、この純、穏、凜ともに、exVOICEというものが付属しているのも、この製品の一つのポイントです。これはVOCALOID3の結月ゆかりにもバンドルされていた、追加音声WAVライブラリ。ブレスや「アー」、「ハー」といったものから、「ありがとう」、「こんにちは」といった挨拶、さらには「ちぇっ」、「バカ!」といったものまで、100種類近いWAVデータが収録されているので、VOCALOID Editor上、さらにはDAW上に貼り付けて使うといったこともできるので、かなり使えますよ。
さて、ここでちょっと試してみたのが、このVOCALOID4の結月ゆかりをクリプトン開発のPiapro Studioで使えるのか?という実験。以前「Piapro Studioでクリプトン製以外のVOCALOIDを使ってみよう!」という記事において、VOCALOID3版の結月ゆかりをPiapro Studioで使えることを紹介しましたが、それがVOCALOID4でも有効なのかというテストです。
先に結論からいうと、クロスシンセシスもグロウルも含め、VOCALOID4版の結月ゆかりの機能がすべてPiapro Studioで使えてしまいます。もちろん、「VOCALOID4 Editorのほうが好き」、「Cubaseユーザーなので、ボカキューのほうがいい」という人も多いとは思いますが、Cubase以外のDAWでプラグインとして動き、ユーザーインターフェイスも非常によくできているので、使ってみる価値は非常に大きいと思うんですよね。ただし、これを使えるようにするためにはいくつかの条件、手順があるので、順を追って紹介してきましょう。
巡音ルカ V4Xが入っているとV4モードとして起動し、画面左上に「Piapro Studio for V4X」という表示になる
まずは、巡音ルカV4Xを持っていることが前提となります。「初音ミクV3を持っているんだけど、それではダメなの?」といった声も聞こえてきそうですよね。そう確かにPiapro Studioは初音ミクV3でも、KAITO V3でも、クリプトン製のVOCALOID3製品にバンドルされており、最新版のVer2.0へ無償でアップデート可能です。ただし、Piapro Studio 2.0にはV3モードとV4モードというものがあり、VOCALOID4版の結月ゆかりを使うにはV4モードで起動させる必要があります。そのV4モードで起動する条件として、巡音ルカV4XとVOCALOID4がインストールされている必要があるため、これが必須なんですね。

シンガーの選択肢として純・穏・凛が現れるがカギがかかっていて使えないのでカギをクリックすると…
ここで、カギのところをクリックすると、「アクセスキーがありません」という表示が現れるので、「アクセスキーを申請する」をクリックします。すると、ブラウザが起動するとともに、クリプトンが運営するSONICWIREの「アクセスキー for VOCALOID歌声ライブラリの申請」ページへ接続されます。すでに、クリプトン製品のユーザー登録などをしていれば、SONIACWIREのアカウントを持っていると思いますが、もし持っていない場合は、ここでアカウント登録をした上でログインしてください。
あとは、使用許諾契約の内容を読んだ上で「同意して次に進む」をクリック。するとアクセスキーという長いコードが表示されるので、これをコピーします。
その後、Piapro Studioに戻ると、「アクセスキーの適用」という画面が現れるので、ここでアクセスキーをペーストした上で「アクセスキーを適用する」ボタンをクリックすると完了です。「純」、「穏」、「凛」のそれぞれで同様の作業が必要なのかと思ったら、1つ作業を行うだけで、3つとも利用できるようになりましたよ。
この画面をご覧いただいてお気づきの方もいると思いますが、実は巡音ルカも結月ゆかりもVOCALOID4のアクティベーションをかける前の状態でも、アクセスキーを入手して登録できているんですよね。とりあえず試してみたいというときも安心して使えそうです。
AHSのサイトにある「VOCALOIDおまけのページ」へアクセスして、アイコンをダウンロード
ただ、この赤のシルエット画面で操作するのは、ちょっと寂しい気もします。ここに当てはめられるアイコンはないものなのだろうか……と思ったら、Piapro Studioでの使用を意識した上でAHSがしっかりアイコンを用意してくれていました。「VOCALOIDおまけのページ」というところにアクセスすると、AHS製の各種アイコンが一式ダウンロードできるようになっています。
Piapro Studioでアイコン部分を右クリックし「歌手アイコンを追加」を選択し、このダウンロードした結月ゆかりの各アイコンを割り当てれば。作業完了。あとは、Piapro Studio上でクロスシンセシスやグロウル、ビブラートなどを含め、自在に入力、編集していくことができますよ。
もっとも、結月ゆかり自体がE.V.E.C.には対応していないので、E.V.E.C.を使うことはできませんが、VOCALOID4 Editorでできること、VOCALOID Editor for CubaseでできることはJobプラグインを除き、一通りなんでもできますよ。
っと、ここまでPiapro Studioの活用術的なことを紹介しましたが、VOCALOID4版の結月ゆかりは「純」、「穏」、「凜」ともに、VOCALOIDのシステムとは別に結構強力なツールがバンドルされているので、これらについても紹介しておきましょう。
結月ゆかりに付属するDAW、Music Maker Silver
まずは以前の記事「結月ゆかり買うとDAW(Music Maker Silver)がGETできるぞ!」でも紹介した、Music Maker Silver。これからDTMを始めたいという人で、DAWなどを持っていない人は、まずはここから入ってみてもいいと思いますよ。オマケのソフトとはいえ、これでレコーディングもできればエフェクトも使えて、それなりのことはできちゃいますからね。
ミュージックビデオを簡単に作ることができるソフト「キャラミん Studio」
さらに誰でも簡単にミュージックビデオを作ることができるソフト「キャラミん Studio」も付属します。これは定価7,180円のソフトですが、それが機能制限なしに90日間使えるというものなので、とりあえず結月ゆかりに歌わせる曲を作り、これでインスタントにビデオ化するといったこともできますよ。
そして、ビデオ編集ソフトウェア「Video Easy SE」も付属しています。これはビデオファイルを読み込んで簡単に映像編集を行うことができる便利なソフトです。Video Easy4 HDという製品の機能限定版という位置づけですが、こちらは使用期限なく使うことができ、これでもそこそこの動画編集までできてしまうので、結構便利ですよ。
オマケソフトがかなり使える、というのも、AHSのソフト共通のうれしいポイントなのですが、これらを目当てに買ってみるというのも悪くないと思いますよ。
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結月ゆかり製品情報