LANで接続するオーディオインターフェイス、DiGiGridを試してみた
シンガーソングライターのはるのまいさんをゲストにお迎えしての番組でしたが、この日の放送内容は、YouTubeでもアーカイブされているので、ご覧いただくと、そのときの雰囲気も分かると思います。実は私自身もDiGiGrid Desktopシリーズに触れたのはその日が初めてでした。
ほとんど予備知識なしでの番組、ブッツケ本番だったので、驚きの連続でしたが、その後、改めて製品を借りることができたので、自宅のDTM環境でいろいろと試してみました。
このDiGiGridというのは、前述の通りUSBやThunderboltで接続するのではなく、LANで接続するオーディオインターフェイスとなっています。そのLANの端子は、特別なハードを使うのではなく、PCに標準搭載されているLANの端子でOK。MacでもWindowsでも使えるのですが、条件としてGigabit Etherの端子であること、となっています。
この英語表記からもなんとなく分かると思いますが、簡単に紹介すると[D]が4in/6outのオーディオインターフェイス、[M]はギター用・マイク用の独立した2系統の入力とヘッドホン出力を持ったオーディオインターフェイス、[Q]はいわゆるQボックスであり、ヘッドホン出力のみを目的としたDAC、そして[S]は電源供給機能を装備したスイッチングHUBとなっています。
ここではまず最初にDiGiGrid[D]にACアダプタを接続して電源を入れるとともに、LANケーブルでPCと接続。続いてPCを起動すると、SoundGrid Studioというソフトが自動起動するとともにデバイスのスキャンニングが行われます。そして、しばらくすると、左側の青いところに、[D]が認識されているとともに、中央の緑のところにはPCが認識されています。
もうこれで、PCからは、DiGiGrid[D]がオーディオインターフェイスとして見えているんですね。もちろん、LAN接続しているだけなので、PC起動後にDiGiGrid[D]と接続しても、LANケーブルを抜き出ししても(DAW利用中は厳禁ですが)大丈夫ですよ。試しにCubaseを起動してみると、確かにASIOドライバとして認識されているのが分かります。
前述の通り[D]は4in/6outのオーディオインターフェイスなのですが、マイク入力が2系統と、ライン入力がモノラル2系統となっており、ライン入力のほうはINSTボタンをONにすることでギターやベースなどのHi-Z機器と直接接続することが可能になっています。また、マイク入力のほうは、DiGiCo自慢のプロ仕様のマイクプリアンプが搭載されているわけです。
実際にレコーディング、再生をテストしてみたところ、とっても快適。ニコニコ生放送のDTMステーションPlus!でスタジオテストした際も、はるのさん、多田さんから「まったくレイテンシーを感じない」と話していましたが、手元で試してみても、本当にレイテンシーを感じません。で、SoundGrid Studioの表示を見ると、「80SAMPLES 0.8MS」となっているんですよ。
ASIO側のバッファサイズは32sampleに設定しても、安定して動作してくれる
一方で、アナログでの入出力を通すことで、理論的にも必ずレイテンシーは発生します。これはバッファサイズによっても変わってきますが、96kHzにおいて最小32sampleに設定することが可能で、この状態で非常に安定して動作してくれます。
※追記(2016.9.22)
読者の方から、レイテンシーに関して、使ってみての感想を求められたので補足しておきます。当初、AV Watchの連載で使っているレイテンシー実測ソフトでテストしようとしたのですが、うまく機能しなかったのでこれには触れませんでした。一方、マイク入力にエフェクトをかけてモニターバックしても、ほとんどダイレクトモニタリングのような感じでした。また、ソフトシンセをMIDIキーボードで弾いても、まったく違和感なく、レイテンシーは感じないレベルでした。
さて、ここで次に試してみたのは接続機材の追加です。そう、DiGiGridはLAN接続のデバイスなので、PCと1:1接続だけでなく、LANと同様にHUBを介して自由に追加していくことができるのです。そのHUBも普通に販売されているGigabit対応のHUBでOKとのことでしたが、ここで使ったのはDiGiGrid[S]。そう、これはPower over Ethernetといって電源も一緒に送れるHUBなので、[S]に電源供給さえすれば、そこから先の接続にACアダプタが必要なくなって便利なんですよ。
電源供給機能付きのスイッチングHUBであるDiGiGrid[S]
ところが、DiGiGridの場合、PCからは1つのデバイスとして見えるんです。そう、先ほどのSoundGrid StudioでAUTO CONFIGと書かれたところにある「START」ボタンをクリックすることで、接続されている機材を再度見つけて、システムを再構築するんです。これによって、このネットワーク全体が1つのデバイスとして認識されるのです。
パッチング機能によって自由にパッチを切り替えたルーティングが可能
さて、ここで気になるのは、このように3つのデバイスを接続した際、どの入出力ポートがどれを意味しているかです。これについては、SoundGrid StudioのPATCHという画面において自由にルーティングできるようになっているのです。
この画面からも想像できる通り、このSoundGrid Networkにおいては、この3台に限らず、さらに機材を追加していくことも可能です。プラグインを動かせるCPUを内蔵したDiGiGrid IOSなども、同じSoundGrid Network上で共存することができ、1つのシステムとして捉えることが可能ですよ。
さらにユニークなのは、複数のPCをこのSoundGrid Networkに参加させることが可能であること。今回は1台のPCだけの接続にしましたが、Windowsマシンが接続されているところに、MacもLAN接続すると、ルーティング次第で1つのDiGIGridハードウェアを2台のPCから使うことも可能になります。
このDiGiGrid[M]も[D]も[Q]も大きさ形は同じで、いずれもLANで接続する
DSP機能も搭載した業務用のDiGiGrid IOSは実売価格298,000円。これとも混在させることが可能
【関連情報】
DiGiGrid日本語サイト
DiGiGrid Desktopシリーズ製品情報
DTMステーションPlus! DiGiGrid Desktop特集ダイジェスト版
【価格チェック】
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