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自宅に1500万円のモニタースピーカー!? 音楽プロデューサーがPMCを必要とする理由

自宅のモニター環境をどう作るかは、すべてのDTMユーザーにとっての重要なテーマですよね。とくにモニタースピーカーに何を選ぶかは最大のポイント。そんな中、1500万円もするモニタースピーカーを導入して活用している方がいます。現在作詞家としてSPIN、音楽プロデューサーとしてSilky Voice名義で数多くのアーティストの制作に関わる株式会社Tokyo Tunes代表取締役の井上純さん。

 

都内の自宅の1階をスタジオにし、その一番奥にそびえ立つように構えているのが1500万円するイギリスPMCのモニタースピーカー、PMC BB5 XBD-A。世界最高峰と言われるこのモニターを井上さんが導入したのは「PMCでしか出せない音域があるから」なんだとか。ほかにも以前「JBLの新型モニター、LSR305は魔法のスピーカー!?」という記事で紹介し、私自身も事務所で使っているLSR305とそっくりなモニタースピーカー、LSR708iも置かれていました。先日、その井上さんのスタジオを見学させていただくとともに、どうしてここまで高価なモニタースピーカーを導入したのかなど、お話を伺ってみました。


1500万円のスピーカー、PMC BB5 XBD-Aがある自宅スタジオで、音楽プロデューサーの井上純さんにお話しを伺った


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--井上さんは、もともとジャニーズ事務所で嵐やKAT-TUNなどのアイドル・グループの音楽制作に携わってこられたんですよね?

井上:バークリー音楽大学卒業後、ドラムを叩いていたのですが、それではなかなか生活も大変で、ジャニーズ事務所に拾ってもらい、10年ほどディレクター、プロデューサーとして携わってきました。ここでは自分の音楽的趣味ではなく、ヒットするためにはどうすればいいか、マジョリティーに支持されるためには何をしたらいいかを徹底的に追求してきました。とてもやりがいのある面白い仕事でしたね。


数々の機材が設置されている井上さんの自宅内のスタジオ。奥に大きなスピーカー、PMCとその左にJBLのLSR708iが並んでいる

 

--でも、どうしてジャニーズ事務所を辞めてしまったんですか?

井上:プロデューサーとして仕事をしていると、かならず著作権が絡む契約の問題にぶつかるんですよ。そうした場合、弁護士に相談するわけですが、弁護士でもすぐに回答が得られるわけではなく時間もかかります。やはり制作の最前線で、即答したい、アーティストのために法律のことをしっかり身に付けたいと思うようになったんです。会社にいながらロースクールへ通うのは許されなかったので、4年前に退社して、3年間慶應大学のロースクールに通い、1年前に卒業したところです。でも、長い間苦楽を共にしたメンバーと離れるのはとても辛かったです。


デスク中央ではPro Toolsが動いていた 

 

--音楽プロデューサーがロースクールって、ちょっとビックリです。で、これから司法試験を受けて弁護士に!?
井上:いやいや、僕の目的は弁護士になることではなく、法律の知識を得ること。そして、エンターテインメントにおいて、どこにどんな専門の弁護士がいて、誰に頼めばいいかが分かればそれでよかったんです。そこまでは達成できたので、いったん終了です。今は音楽プロデュースの仕事に専念していますよ。

 

--やっぱり本業は音楽プロデューサーなんですね!その仕事のために、このスタジオを作られたんですね。

井上:ロースクールを卒業するタイミングで家を建てることを計画していたのですが、当初はPro Toolsをいじれる作業部屋を1つ作ろう、という程度に考えていたんですよ。スタジオから持ち帰ったデータの確認をする程度の……。ところが、いろいろと検討したり、相談しているうちに話がどんどん大きくなり、こんなスタジオになってしまいました(笑)。


曲のアイディアづくりから契約書作成までが音楽プロデューサーの仕事だと話す井上さん 

 

--音楽プロデューサーって言葉ではよく聞くものの、イマイチどんな仕事内容なのか掴めません。たとえば井上さんの場合、今、どんな仕事をしているのですか?
井上:今やっているのはとても範囲の広いプロデュースです。普通はレコード会社から依頼がくるのですが、今回はアーティスト本人から「CDを出したい」と依頼されました。まずは音楽の志向をつかむために本人が作ったAppleMusicのプレイリストを5つくらいもらって分析。その方はアメリカの曲が多かったのですが、日本のマーケットに落とし込んだらどうなるかを考え、その曲が手持ちであればそれを使うし、なければコンペで募集したり、個人的に頼んだりもする。その曲を本人に聴いてもらってよければ、これで決まる。プロデューサーとしては、曲が決まった時点で8割の仕事が終了ですね。あとはアレンジを行い、必要に応じてストリングスを生で入れたりギターを入れたり……。僕がいなくてよければスタッフに頼んで作業を進めていき、一歩引いて全体像を見ます。そしてボーカル録りに入るわけですが、そこは極力自分でやるようにしています。いかに歌にソウルを残していくかが重要。そこができていないと、いくら上手い歌でも売れないものになってしまうんです。そこからラフミックスして、プレゼンテーション。そしてトラックダウンして、2MIXにしたときに原盤ができるので、そこまでですね。個人的に一番楽しいのはそのトラックダウン作業です。一方、契約書まで監修し、アーティストにとって一番いい条件で相手先と契約するというのもこれからのプロデューサーの重要な任務だと考えています。
--法律の知識をしっかり持った井上さんだからこそできるお仕事でもあるわけですね。で、そのレコーディングやトラックダウンをこの部屋で行うわけですか?

井上:楽器のレコーディングはエンジニアと一緒に外で行いますが、ボーカルレコーディングとトラックダウンはここでやります。とくにボーカルにおいて心の琴線に触れる周波数が出ているかどうかをモニタリングしたり、リズムとベースと歌のバランスがよく配置されているのかを、じっくりと確認しています。


そびえたつように構える、PMCのスピーカー、 BB5 XBD-A

 

--そのモニタリングにPMCのこの大きいスピーカーを使うわけですね。でも、住宅の1階ですから、爆音を鳴らすわけではないですよね!?

井上:そうですね。決して爆音を出す目的のものではなく、PMCでしか出せない音域をモニタリングするという意味で、重要な役割を担っています。もっともこのPMCのスピーカー、いつかは手元に置いて聴いてみたいと憧れていたんですよ。スティーヴィー・ワンダー、プリンス、ブライアン・メイ……名だたるミュージシャンがこれを使っているというので、彼らがどんな音を聴いているのか、自分が聴いている音と違うのか、興味もあったんですよ。外車を買うより、まずこのスピーカーだろう、って(笑)。

PMCのスピーカーを駆動するためのアンプもかなりの大きさ

--PMCのスピーカーの音自体はこれまでも聴かれてはいたんですよね?
井上:はい、いろんなスタジオに入っているので、聴いてはいるのですが、部屋がL字型だったり、配置がおかしかったり……とPMCの良さを存分に発揮できるスタジオをほとんどみたことがなかったんです。だから、いつかは自分でバランスのいい部屋に設置して聴いてみたいな、と。これを置くことを決めてから、PMCが鳴りきる大きさを計算し、部屋の設計もゼロから見直しました。音って、どうしても視覚に引っ張られてしまう面があるので、左右対称でないとバランスが悪く感じられる面もあります。そのため、スタジオをシンメトリにすることにもこだわりました。

 

--実際にスタジオが完成し、このPMCを置いてみてどうですか?
井上:高い周波数帯域から、本当に低いところまで、しっかりと音がでますね。「気合が入った音」なんて表現をする人もいるし、海外だと「ソウルがある」なんて言い方をしますが、歌・リズム・ベースのフォーカスが合った音を出すことができるんですね。そして、このフォーカスがピッタリと合わせられると、心臓や肺より下、胃袋の上の辺りがゾワゾワするような音が鳴ってきて、鳥肌が立つんですよ。フォーカスだけだと点だけど、PMCは密度もあるので、厚みがあるんですよね。ほかのモニタースピーカーと比較したときの明らかな違いが超低音と、超高音。ナチュラルな30Hz以下は、やはりPMCじゃないとちゃんと鳴らない。そこを確認しておくことで、音源をライブでラージスピーカーで鳴らした際の音がまったく違ってきます。ほかのスピーカーでは、勘を信じてEQ操作するしかないですからね。


超低域はもちろん、超高域においても大きな力を発揮するというPMCのスピーカー。右はJBLのLSR708i

--この大きいスピーカーにおいて高域でも違いが出るんですか?
井上:本来高い音は小さいスピーカーでも出るはずなのですが、10kHzさらには100kHzといった高域での表現力が圧倒的に違うんです。歌の成分のうち、シルキーボイスといわれる「シーーー」という音の聴こえ方が違ってくる。そのスーパーハイが、今のヒットサウンドにおいて非常に重要な意味を持っているんです。ディエッサーをかけた音だけを取り出してモニターしたりするのですが、そこが出ているかどうかが大切。昔のアナログテープなら2、3回再生すれば消えちゃう音、それがデジタルなら何回再生しても消えないので、そこを丁寧に磨いていく作業が今の音作りで重要なところだと思います。その超高音域を確実に、勘で探さなくても簡単にモニターできるのがPMCなんですよ。

 

--なるほど、井上さんのSilky Voiceというのは、そこから来ているんですね。ところで、ここのスタジオにはPMCだけでなく、JBLのモニタースピーカーもありますよね。これはどういう位置づけなのですか?

井上:やはり音をいろいろな面で確認していく上で、ニアフィールドも必要です。当初は10Mを置いていたのですが、やはり10Mだと最近のヒットを作るにはローが足りないため、PMCと行ったり来たりしながら音を聴き比べにくかったんです。KRKやGENELECなど他社のも含めていろいろと比較した結果、このJBLのLSR708iがよかったんですよ。これは位相が素晴らしくハッキリとして、センターがしっかりとしている。音に密度があるという面でも、LSR708iはいいモニターですね。


JBLのニアフィールドモニター、LSR708iも井上さんの音作りの上で重要な役割を担っているという

--井上さんの音作りの上で、LSR708iも大きな意義を持っているわけですね?
井上:普通の使い方なら、LSR708iがあれば十分過ぎる実力を持っていると思いますよ。比較したほかのモニターと比較しても、解像度が高く、細かい音まで確実にチェックすることができますね。その点で、今の仕事においても欠くことのできない存在です。また、リスニングポイントが広いというのもLSR708iの大きな特徴ですね。一般的にニアフィールドって、決まった位置で聴かないと音像がブレてしまうのですが、これは多少席を離れてもピンがボケないのは、すごくいいところですね。僕にとってはどちらも重要なスピーカー。そのため、LSR708iとPMCの音量レベルをピッタリ揃え、スピーカーセレクターを使って切り替えても、違和感なく行ったり来たりできるんですよ。


スピーカーセレクターでPMCからLSR708などへ音切れなくスムーズに切り替えることができる

--スピーカーセレクターって、切り替え時にブチブチと途切れる印象があったのですが、本当にスムーズに切り替わるものなんですね。私もLSR305というこれの小さいサイズのを使っていますがとっても気に入っています。
井上:LSR305がアクティブの5インチスピーカーなのに対し、LSR708iはパッシブの8インチ。音の鳴り方に違いはありますが、どちらも音像が見えやすいですよね。LSR708iは専用のアンプがセットとなっており、トータルするとこれも100万円近くになってしまいましたが、いわゆるDTM環境ならLSR305あたりが手ごろだし、よさそうですよね。ここではほかにもラジカセ的なモノでもモニターするし、もちろんトラックダウンしたら、すぐにiPhoneの純正ヘッドホンでも確認していますよ。おそらく、これで聴く人がもっとも多いでしょうからね。PMCで間違いない音を作りつつ、その他のモニター環境でもしっかりとチェックしていく。そんな音作りを心掛けています。


藤本が普段、事務所で使っているJBLのアクティブスピーカー、LSR305

--今日はお忙しい中、お時間をいただき、ありがとうございました。

 

【関連情報】
Silky Voice

 

株式会社Tokyo Tunes

 

 

【製品情報】
PMC製品情報
LSR705i、LSR708i製品情報
JBL LSR305/LSR308製品情報

 

【価格チェック】
◎Amazon ⇒ JBL LSR305 (5インチ・ペア) 

◎サウンドハウス ⇒ JBL LSR305 (5インチ)

◎サウンドハウス ⇒ JBL LSR308 (8インチ)



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