完成した製品のほとんどはNAMM SHOWに行ってしまい、国内には1台限りしかないとのことでしたが、担当者に無理を言って1晩だけお借りして試してみました。その結果、発表資料に書かれているiOSデバイスやAndroidで使えるのはもちろんのこと、スタンドアロンでも、PCとの接続でも使えるミキサーであり、かつオーディオインターフェイスでもあることが分かったので、まずは速報版としてレポートしてみたいと思います。
写真を見てもわかるとおり、GO:MIXERは手のひらサイズの正方形型デバイス。一辺が95mmで、重さ100gなので、ホントにポケットに入れて持ち歩けるコンパクトな機材です。
でもこれって何をするものなの?ってすぐにピンと来ないかもしれませんよね。そう、こんな形ではありますが、GO:MIXERはその名のとおりミキサーで、アナログ8ch、さらにUSB接続によるデジタル2chの計10chの入力を装備し、出力は2chという製品なんです。
そう、これはMade for iPhone/iPadのアップル認証の取れた製品であり(おそらくRoland初の対応製品ですよね)、かつAndroidでも使えるというわけです。まあ、iPhoneなどで使えるオーディオデバイスというのは、いまや珍しくはないし、実際ミキサーとして使える製品も存在はしていますが、ここまでコンパクトで気軽に持ち歩けるものってなかったと思います。
【追記】2017.1.22
コンシューマ用製品としてはGO:MIXERが初のMade for iPhone/iPad対応でしたが、業務用としては既にV-Mixer M-200iなどが存在していたようです。
でも、こんな小さなミキサーで何が接続できるんだ?という疑問を感じるかもしれませんが、この図のとおり、結構いろいろなものが接続できるんです。
ダイナミックマイクとの接続端子、およびギター/ベースとの接続端子も用意されている
ステレオミニでのライン入力も2つ用意されており、片方はセンターキャンセル機能も装備されている
また面白いのはこのUSBを通じてiOS側に録音することもできるという点です。この場合、iOSからの出力は含まれず、GO:MIXERの端子に接続された8ch分のアナログ入力のみが対象(つまりループバックはしない)となるのですが、ギターでもマイクでも外部機器でも接続して、iPhoneにそのまま取り込めてしまうのは便利ですね。つまり、ミキサーとはいっていますが、事実上のオーディオインターフェイスです。
8chの入力はパラで録音できるのではなく、ミックスされた2chでの入力とはなります。実際にGarageBand、FL STUDIO Mobile、Cubasis、Auria Proで使ってみたところ、再生、録音ともに問題なく使うことができました。
※2017.4.15追記
記事を書いた時点では、ループバックしないで録音される仕様でしたが、その後、製品化する時点で、ループバックで録音される形に仕様変更がされていました。そのため、DAWなどで利用すると、別のトラックの音が入ってしまいます。Rolandによると、このループバックをオフにする手段はないとのことです。
このオーディオインターフェイスとして機能するという意味ではAndroidでも使えるというのも大きなポイントだと思います。そもそもAndroid用のオーディオインターフェイス自体が少ないですし、ましてやミキサーとして正式にAndroid対応しているものなんてほとんど存在しないですからね。
AndroidタブレットであるNexus 10とも接続して使うことができた。画面はFL STUDIO Mobile
ここでは、Nexus10を付属のOTGケーブルで接続してみたところバッチリ動作してくれました。こちらもFL STUDIO Mobileで試してみたところ録音、再生とも問題ありません。また先日取り上げた、KORGのKaossilator for Androidもほとんどレイテンシーを感じない状況で使うことができました。
一方、年末にKaossilator for Android用に購入した最新のNexus 6Pを接続しようと思ったら、こちらはダメでした。まあ、ダメというより、ケーブルが合わなかったんですね。そうGO:MIXERに付属しているのがmicroUSBのOTGケーブルであるのに対し、Nexus 6PはUSB TypeC端子なんでつながらないんです。おそらくUSB TypeCのOTGケーブルがあれば、問題なく使えると思うのですが、これについては、改めて試してレポートしてみようと思っています。
と、ここまでRolandの仕様に則った使い方を紹介してみましたが、仕様外の使い方もちょっとだけ試してみました。まずはこのMicroUSBの端子にスマートフォン用の充電ケーブルを使ってACアダプタとつないでみたのです。細かな検証まではできていませんが、ざっと使ってみたところ、ホストマシンとなるiPhoneやiPad、Androidがなくてもミキサーとしては機能してくれるようですよ。
またMacおよびWindowsと接続してみたところ、こちらもUSBオーディオデバイスとして認識してくれます。ただドライバがないので、DAWとの連携という面では、多少工夫がいるような感じではありました。
が、1晩だけの試用ということで細かな検証まではできずに時間切れ。近いうちにこの辺も含めて詳しくレポートする予定ですのでお楽しみに。
同じくNAMM SHOW 2017で発表されたエントリーユーザー用のキーボード、GO:KEYS
そういえば、今回のNAMMのタイミングでRolandは初心者用のキーボードとしてGO:KEYS、GO:PIANOという製品を出しており、名前の頭にGO:MIXERと同様に「GO:」とついています。シリーズとして何か関連性がありそうですが、Rolandの担当者に聞いたところ、「リリースのタイミングが同じだったので、揃えただけで、特別な関係、深い意味があるわけではありません」とのことでした(笑)。
【4月21日追記】
発売された製品版では、この記事を書いたときに使ったプロトタイプから仕様が変わり、USB出力がUSB側へループバックしてしまうため、DTM用途ではほとんど使えなくなっています。Rolandに確認しましたが、設定変更はできないとのことなので、ご注意ください。
【価格チェック】
◎Amazon ⇒ GO:MIXER
◎サウンドハウス ⇒ GO:MIXER
【関連情報】
Roland GO:MIXER製品情報
Roland NAMM SHOW情報