TwitterやFacebook上では「ついに、競合は人工知能になるのか!」なんていう作曲家の発言も数多くあり、DTMユーザーの間でも関心は高いようです。チェックしてみると、このAmper Music、現時点においてベータ版という扱いのクラウド上のサービスであり、登録したユーザーであれば誰でも無料で使うことができるようです。またこのシステムで作曲された曲は誰でも自由に使うことができようなのです。そこで、どのような手順を踏めば作曲できるのか、実際どんな曲ができるのかを試してみたので、紹介してみましょう。
人工知能という言葉が正しいかどうかはともかく、コンピュータが自動的に音楽を作成するソフトというのは、何もこのAmper Musicが初というわけではありません。かなり古くからさまざまな手法があり、それに対応した製品も多数生まれてきています。
私自身が見てきたもので、これまでに最高の性能、音楽性だなと感じたのは、以前に何度かDTMステーションでも取り上げてきたカシオのChordana Composer(コーダナコンポーザー)です。ここで詳細は語りませんが、「思い浮かんだ鼻歌を一瞬で曲に仕上げるChordana Composerがスゴイ!」といった記事をご覧いただければと思います。
どうですか?「こんなにしっかりした曲を作れるのか!」「これがフリー素材として使えるなら超便利かも!」といった風に思う方がいる一方で、「これ作曲っていうの?」「そもそもメロディーもないじゃん」なんて感じる方も多いのではないでしょうか?私個人的な見方としては後者ですね。カシオのChordana Composerのほうが100倍スゴイだろう……、と。
メールアドレスとパスワード、名前を入力すればアカウントを無料で作れ、自動作曲ができる
とはいえ、メールアドレスを登録してアカウントを作れば、Amper Musicを誰でも無料で使えるということだったので、さっそく試してみました。
まずログインすると「Create New Project」というのがあるので、これをクリックすると、Simpleバージョンで作業するか、Proバージョンで作業するかを聞いてくるので、まずはSimpleバージョンから試してみましょう。
最初はチュートリアルバージョンということで、操作を示すためのヘルプメッセージがいっぱい出てくるのですが、かなりしつこい感じで、操作の邪魔にもなるので、すぐにスキップしてオフにしちゃったほうがいいですよ。
さらにムード=雰囲気を1つ指定する
すると、今度はさらにどんな雰囲気の曲がいいかと聞いてくるので、これらの中から1つを選択します。フリーワードで検索できるようにはなっていますが、そもそも選択肢が10個程度しかないので、現時点において、このフリーワード検索は無意味といってもいいですね。
完成した曲を再生すると、先ほどのSound Cloudで聴いたような曲が流れる
人工知能側が数秒考えるだけで指定した時間の曲をすぐに生成してくれて、再生ボタンを押せばもう聴くことが可能です。そしてこの曲は、自分のアカウント内に保存されるだけでなく、MP3やWAVでもダウンロード可能となっており、著作権フリーなので、それをユーザーはどのように使ってもOKだというのです。
まあ、操作は単純でいくつかパラメータを設定するだけで曲ができるのに嬉しさを感じる非DTMユーザーはいるとは思いますが、こんなのACIDでもGarageBandでも、Live、CubaseやAbilityでもループシーケンス機能を使えば誰でも簡単にできますよね。これはループシーケンサの手順操作の自動化であって、人工知能とはいえないんじゃないでしょうか……。
無料で公開されているシステムに文句を言うのも筋違いだとは思うけど、個人的には人工知能とは全くいえない、期待外れなサービスだな、と思った次第です。とはいえ、今後、音楽制作に人工知能が入ってくるのは、もうほぼ間違いない時代です。これから、どんなシステムが出てくるのか、しっかり見ていこうと思っています。
【他ソフト購入】
◎App Store ⇒ Chordana Composer
◎Amazon ⇒ Music Maker MX2 Producer Edition