ちょうど確定申告締め切り直前のタイミングだったので「時間が合えば行きますね!」と中途半端な返事をしていたのです。が、葉山ということで「もしかして……」と思っていたことがズバリだったこと、そして確定申告も無事に終わって、ちょっぴり時間的余裕もできたので、3月11日に半分ピクニック気分で見学に行ってきました。このJBG音楽院のスタジオ授業がどんな内容なのか、まったく知らないままに参加してみたら、想像していた以上に楽しかったので、レポートしてみたいと思います。
以前インタビューした際に「海の見える気持ちいいスタジオなんで、ぜひ遊びに来てください」と言われていたので、荒木先生にメッセージで「もしかして、ichiroさんのスタジオ?」と聞いたら、その通りでビックリした次第。世間は狭いわけですよ…。これは何かの縁だろうと思い、頑張って確定申告の作業を終わらせて、行ってきたわけです。
「DRUM TREEを含め、PREMIER SOUND FACTORYシリーズとして、さまざまな音源を出していますが、その原点は90年代後半に、AKAIのサンプラーを使ってRhodesのタッチノイズまで収録した音源を自分用に作ったことでした。すごくよくできたので、当時ヤフオクに出したら、すごく高く評価してもらい、それなりの数が売れたんですが、それを買ってくれた一人が、荒木さんなんですよ。それ以来の付き合いで、PREMIER SOUND FACTORYには荒木さんに弾いてもらった音源もあるんですよ!そうした中、先日、荒木さんのJBG音楽院の授業でここを使いたいというお話をいただいたんですよ。都内にもたくさんのスタジオがある中、こんなところまで来ていただいて嬉しい限りです」とichiroさん。そんな深い仲だったとは、驚きました。
見ると、ホントにスタジオから窓越しに海が広がる、スタジオだったんですね。最初にichiroさんが、「日本のミックスと、海外のミックスの違いを聴いてみましょう」と、某日本の楽曲と、ハービーハンコックの曲を、この大きなスピーカーで鳴らします。どっちもいい曲なんですが、低音の響き方には大きな違いがあり、「海外のミックスってスゴイ!」と感激。「今日は、こんな海外の音を目指してレコーディングしていきましょう!」とichiroさんが挨拶をします。
とはいえ、自分で歌えない人や弾けない人は、どうしたらいいんでしょう?「そのために、今日はゲストのシンガーを呼んでいるんですよ」と荒木先生。そう、午前中のゲストとして歌ってくれたのが、ベテランボーカリストであるSierra(シエラ)さん。
Sierraさんは、この日の先頭バッターとなる生徒、山本さんのオリジナル曲を歌い、それをレコーディングしていくという運び。山本さん自身、普段はLogicを使っており、Logicで楽曲をほぼ完成させています。ただ、スタジオにあるのはPro Toolsなので、Logicのプロジェクトからドラム、ベース、シンセ、メロディーラインなど、いくつかのトラックにラフミックスしたものをそれぞれWAVで書き出し、ここに持ち込んでいます。それをichiroさんのスタジオのPro Toolsに読み込ませた上で、セッティングしていきます。
ichiroさんの指示の元、明日華さんがレコーディングの準備を進めていく
その間に、山本さんはSierraさんに譜面を渡しながら、ボーカルパートについてブース内で打ち合わせ。初対面のプロのシンガーSierraさんに、だいぶ緊張しながらも、丁寧に説明すると、Sierraさんからも「ここはどう歌うといいですか?」、「この発音は?」などと質問が上がりつつ、練習が始まります。
山本さんが作ってきたオリジナルの譜面をもとにボーカルに関する打ち合わせ
コントロールルーム側でPro Toolsの操作をするのは、アシスタントエンジニアである須藤明日華さん。見惚れるほどに手際よく、Pro Toolsを操作しながらトークバックマイクでSierraさんとやりとりをしてレコーディングを進めていきます。しばらく練習して、曲のコツを掴んだら、テンポよく進んでいきます。1曲通してレコーディングし、再生してみると山本さんからは「完璧です。スゴイです!」と感激の声が上がります。それでも、再度同じメロディーをレコーディングした後、ダブルで再生してみると、さらにいい感じに聴こえてくるんですね。
では、その山本さんの曲のレコーディングしている間、ほかの4人は何をしているのかというと、じっくりと見学している人もいれば、次に備えての準備でアタフタしている人など、それぞれ。そんな中、今回は自分で歌うという森田さんに少し話を聞いてみました。
「実は、その前に2年ほど、別のトラックメーカーさんについて個人レッスンを受けたこともありました。でも、結局DAWの操作を教えてくれるばかりで、肝心の音楽の知識はまったく身につかなかったんです。すごい高いお金を払ったんですけどね(涙)。そうした中、ネット検索でここを知り、荒木先生の曲を聴いて、カッコイイなって。また次に習うなら、同級生のいる学校形式がいいって思ったんですよ。ここにいる西川君と同じタイミングで入ったんですが、彼は今も高校生。そんな人たちと一緒に学べるのは楽しいですよ」(森田さん)。
もともとシンガーということは、ほかのスタジオもいろいろ見てきているはずなので、ichiroさんのスタジオについても森田さんに聞いてみました。「実は、別の授業でも来たり、このレコーディングも先週に続いて2回目となるので、今回で3回目なんですよ。最初に歌って驚いたんですが、ここの音響、今まで見てきたのと全然違うんです。普通だと『この音が聴こえないから大きくしてください』、『リバーブをもう少し下げて…』とか注文しながら30分しても、思う音にならないんですが、ここだとすべて聴きたい音がモニターできて、即歌えるんですよ。だからとっても気持ちいいですね。窓から海が見えちゃうところも素敵です」
休憩時間中、海岸まで降りることができるのも、ちょっと楽しいところ
ちょっと参加して思ったのは、この授業においてichiroさんや明日華さんは、レコーディングの作業を行っていくエンジニアであって先生として教えているのではないのが、ちょっともったいないな、ということ。まあ、アレンジなどを習うDTM2とうカリキュラムの一環なので仕方のないところですし、生徒のみなさんもそこまでの余裕はなさそうではあったのですが、せっかくのすごい環境なので、エンジニアのテクニックも習ってみたところです。
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