Rolandは「このコンプレッサ内蔵という点は、他社のオーディオインターフェイスにない非常に大きなアドバンテージ」と主張していますが、確かに使ってみるととても便利で、「これはかなり使える!」という印象でした。でも「コンプ内蔵のオーディオインターフェイスなんて、他社もいろいろ出しているのでは?」と思う方も多いですよね。このRubix 24、Rubix 44の何が優れているのか、他社製品とどこが違うのか、レポートしてみたいと思います。
Rolandのコンプ内蔵オーディオインターフェイス、Rubix 24(上)、Rubix 44(下)を使ってみた
まずオーディオインターフェイスとしての基本的なスペックから見ていくと、Rubixシリーズはいずれも24bit/192kHz対応のオーディオインターフェイスで、入出力などの違いは以下のようになっています。
入出力 | マイクプリ | 内蔵コンプ | 電源 | |
Rubix 22 | 2in/2out | 2 | なし | USBバスパワー |
Rubix 24 | 2in/4out | 2 | 1 | USBバスパワー |
Rubix 44 | 4in/4out | 4 | 2 | ACアダプター |
このオーディオ入出力に加えMIDIの入出力も1系統搭載されており、いずれも堅牢なメタルボディーとなっています。写真で見比べると分かる通り、入出力数の関係もあって、サイズ的にはRubix 22、24、44の順に横幅が長くなっていきます。
上からRubix 22、Rubix 24、Rubix 44
Hi-Zをオンにすればギターと直結可能。上のLEDインジケーターで入力状況も確認できる
+48Vのファンタム電源供給も可能なので、コンデンサマイクも接続できる
LEDインジケーターが上からも見えるので、後ろ側から見ていても、状況がチェックできる
さて、ここまではRubix 22も同じなのですが、Rubix 24およびRubix 44の大きな違いは、ここにコンプレッサが搭載されている、ということです。DTM初心者だと「コンプってどう使っていいか分からない」という人もいると思うので、コンプレッサの基本的な考え方とRubixでの使い方について簡単に紹介してみましょう。
コンプレッサとは、音量を抑える機能です。たとえばマイクでボーカルのレコーディングをしている際、声を張り上げすぎると、普通ならレベルオーバーになってしまい、音が割れて入力失敗となってしまいます。でもコンプレッサをオンにしておくと、「ある一定レベル」を超えると、音量を抑えてくれるために、そうした事故を防ぐことができるのです。
スイッチをオンにすれば、すぐにコンプレッサが効くようになり、上のツマミでスレッショルドを調整する
こうしたコンプレッサを搭載したオーディオインターフェイスというのは、確かに他社製品にもありますが、それはいずれもPC上のコントロール画面を用いて、オン/オフの設定や、各パラメータの調整ができるようになっています。Roland製品でも、前モデルであるQUAD-CAPTUREは、コントロール画面で調整するコンプレッサを搭載しており、これが一般的なオーディオインターフェイス内蔵のコンプレッサです。
すでに生産終了になっているが2008年発売のUA-25EXにはツマミで操作できるコンプレッサが搭載されていた
Roland担当者によると「これまで、当社でもいろいろと模索してきましたが、ユーザーのみなさんからは本体でコンプの調整したい、というご意見を多くいただきました。そこでUA-25EXで採用した方式を復活させるとともに、性能をブラッシュアップした上でRubix 24、Rubix 44に搭載しました」とのこと。
実際に使ってみても感じましたが、レコーディング時に、いちいち画面を開いて、マウスで調整するよりも、本体のボタンでスイッチを入れて、ツマミで調整できるほうが、圧倒的に使い勝手いいんですよね。
コンプレッサが効き出すとLEDが赤く点灯する
この1つのツマミだけで調整できるのが、簡単で便利に使えるポイントでもあるのですが、一般的なコンプレッサではスレッショルドのほかに、音をどんな比率で抑えていくのかを決めるレシオ、さらにはスレッショルド値を超えたらどのくらいの時間でコンプレッサを効かせるかを設定するアタック、スレッショルド値を下回ったら、どのくらいの時間で効かせなくするかを設定するリリースといったパラメータがあります。
Rubix 24のリアパネル。コンプレッサのモードがCOMP 1、COMP 2、LIMITで切り替え可能
これらのパラメータについては、細かく設定はできないものの、リアにはCOMP 1、COMP 2、LIMITという3段階スイッチが用意されており、これで設定を変えることができるようになっています。このうちCOMP1は長めのアタック/リリースでレシオは約2:1です。アタックタイムが長いとアタックのニュアンスが残るため、ギターやベースなど楽器にお勧めのコンプです。一方COMP2は、レシオは約2:1で同じですが短めのアタック/リリースになっています。こちらは破裂音などを効果的に抑制できるため、ボーカルにお勧めのコンプになっています。
さらにLIMITというのは、絶対にクリップさせないように頭を押さえ込むハードコンプであり、これはマイク入力よりもラインでシンセサイザ音などを入力する際にいいですね。それぞれの設定によってレシオだけでなく、アタックやリリースもいい具合に調整してくれるので、普通はこれで十分過ぎるほどに使えると思います。
Rubix 44では2つのコンプレッサのモードを別々に設定できる
ところで、Rubix 24、Rubix 44ともに出力は1/2chおよび3/4chとステレオ×2系統あるわけですが、ヘッドホンにどちらを出すかをリアのスイッチで決められるようになっています。ダイレクトモニタリングでの信号は1/2chに出力されるようになっているので、これを生かすか殺すかなども含め、いろいろな使い方ができそうですよね。
Rubix 44のブロックダイアグラム
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