モニターシステムに最高峰のシステム、RME ADI-2 DACを使ってみる
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4月27日に国内で発売が開始されたばかりのRME ADI-2 DAC
WindowsでもMacでも安定して動作してくれるADI-2 DAC
そのRMEのいろいろある機材の中で、再生に特化するとともに、最高品質の音を出せるように設計したものが、ADI-2 DACなのです。昨年RMEが出した2IN/2OUTのオーディオインターフェイス、ADI-2 Proというのを出していますが、その入力部を省くとともに、再生機能をさらにブラッシュアップしたものです。実際、普段使っているオーディオインターフェイスからこちらに切り替えてみると、それまで気づかなかったリップノイズに気づいたり、いい感じだと思っていたプラグインのリバーブがオケに馴染んでいないのに気づくなど、明らかに高精細・高解像度だ、と感じられるサウンドが得られるのです。
その背景にはStedyClock FSというRME独自のクロック技術によりフェムト秒単位での高く精度と低ジッターを実現できていること、さらには旭化成エレクトロニクスのAK4490という高品位なDACチップが使われていることがあるようです。
ちなみに、DACチップとか、製品名であるADI-2 DACの“DAC”とはD/A Converterの略であり、オーディオインターフェイスの再生機能部分を表す用語です。「デジタルをアナログに変換する装置」であり、一般に“ダック”と呼んでいます。反対に録音機能部分がA/D Converterで、ADC(こちらエーディーシーと呼ぶようです)といいます。
352.8MHzのサンプリングレートの素材を再生してみたところ、確かにそのように表示された
フロントには標準サイズのヘッドホン出力と、ステレオミニのヘッドホン出力の2つが用意されているのですが、これは単にコネクタサイズの違いというわけではないんです。標準サイズのほうはExtreme Power出力となっていて、ハイ・インピーダンス・ヘッドホンであっても余裕をもってドライブできるパワーを持っているのです。一方、ステレオミニのほうは、IEMと書かれていますが、これはIn Ear Monitorの略。つまり、いま利用者も多いインイヤーモニター・イヤホンに最適化されているんですね。
リアにはバランスのXLR出力とアンバランスのRCA出力がある
しっかりした4つの脚があるのは、ほかのオーディオインターフェイスではあまり見かけない!?
標準でこのようなリモコンが付属している
このリモコンでは、電源のオン/オフ、ボリュームの調整のほか、入力の切り替え、4つあるプリセットの呼び出しができるようになっています。
USBのほか、S/PDIFのコアキシャル、オプティカルからのアナログ変換も可能になっている
そうリアパネルを見ると分かるとおり、入力はUSBだけでなく、コアキシャルのS/PDIF、オプティカルのS/PDIFも用意されており、PCと接続せずにS/PDIFのDACとしても利用することができるんですね。
エンコーダー・ノブで簡易的なBass・Treble調整ができる
こうした操作はリモコンだけでなく、本体で行うことも可能だし、本体のメイン・ノブ、そして、液晶の右側にある2つのエンコーダー・ノブの3つ(いずれもプッシュ操作も可能)を用いることで、さらに多くの機能を引き出すことが可能になります。
5バンドのパラメトリックEQで細かく調整も可能
その機能、少し具体的に紹介してみましょう。まずは簡易EQ機能としてエンコーダー・ノブを使うことで、ベース、トレブルの調整が可能です。さらにより高精度なEQとして768 kHz対応の高品質5バンド・パラメトリックEQも搭載されています。各バンドごとにゲイン、周波数、Qの設定ができ、その結果をプリセットとして保存することも可能になっています。
ラウドネスの設定画面
さらに、ラウドネス機能というものが搭載されているのも面白いところ。ラウドネスは、周波数と音量によって変化する人間の聴覚感度を補正する機能で、ADI-2 DACに搭載されるラウドネスは、ボリュームを下げるにつれ補正されるベースとトレブルの最大ゲイン値を設定可能になっています。また各ゲインが最大に達するボリューム値も設定でき、ユーザーの聴覚や好みに合わせて適切な設定を行うことが可能です。
ヘッドホンを使いながらスピーカーで聴いているような音にしてくれるクロスフィード機能
また、モニター用機材と考えたときに、非常によくできているのがクロスフィード・エミュレーション機能です。これはヘッドホンで聴きながらも、標準的なスピーカーのセットアップに近い音像でモニタリングできるというものです。5段階での調整が可能で、スピーカーで出力と同様の自然なアンビエンス感を得ることができます。
ディスプレイを暗くできたり、しばらく触らないと完全OFFにするAutoDarkモードもある
いずれにせよ、最大のポイントは、このADI-2 DACの音質。価格的にポンと購入というわけにはいかないかもしれませんが、実際試してみても、なるほど、と思える高品質なものでした。Genelecのモニタースピーカーなんかがあれば、よさそうですが、ペアで5万円程度で購入可能なYAMAHAのMSP 5 STUDIOで使っても十分、その良さを感じられました。またSONYのMDR-CD900STで使っていても十分効果が感じられます。モニター環境をもう少し向上させたいと思っている方は、一度検討してみてはいかがですか?
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