• あのキクタニが高機能オーディオインターフェイス、Newmal Xを開発、3バンドEQと16種のエフェクトを搭載し、スマホでも利用可

ポップガードやマイクスタンド、譜面台、ギタースタンド、ペグ……、手ごろな価格で便利な機材を数多く販売しているキクタニミュージック。楽器、DTMを扱っている方なら、何らかのキクタニ製品を持っている人は多いと思います。同社は愛知県に本社がある創業1928年という老舗メーカーであり、そのポップガードをはじめとする自社製品を数多く扱っている一方、TANNOY、tc electronic、TC HELICONなどの海外製品を取り扱う商社でもあります。

そのキクタニが自社ブランドとしては初という初心者向けDTM機器を9月23日発売しました。DSP内蔵のUSBオーディオインターフェイス、Newmal X(ニューマルエックス)という製品です。実売想定価格が13,800円(税込)というこのNewmal XはDTM用としてはもちろん配信用にも活用できる機材。最大の特徴は3バンドのEQと16種類のエフェクトを内蔵しており、エフェクトの掛け録りもできるし、モニターだけにエフェクトを戻すということが簡単にできること。また日本語表記のトッププレートが付属していて、それを載せることで、DTMや機材に関する知識がない人でも分かりやすく使えるという配慮がされています。実際どんなものなのか試してみたので紹介してみましょう。

キクタニミュージックが発売した、エフェクト内蔵の低価格オーディオインターフェイス、Newmal X

キクタニがオーディオインターフェイスを発表する、という情報を聞き、営業部次長の岩井一真さんに話を伺ったところ「当社としては、これまでワイヤレス機器などは作っていますが、オーディオインターフェイスは今回が初めて。オーディオインターフェイスメーカーとしては後発ですが、エフェクトを搭載するなど、他社製品とは差別化した格好です。本当に初めてのDTMユーザーや、オーディオインターフェイスなどに詳しくない配信ユーザーのために、日本語のトッププレートを付属するという試みをしてみました」とのこと。

キクタニミュージック 営業次長の岩井一真さん

代理店として海外製品を輸入販売しているのではなく、KIKUTANIブランド製品なんですね。岩井さんの話によると、海外メーカーとの共同開発をしたそうですが、これまでの数多くあるオーディオインターフェイスとは、ちょっと違った機材に仕上がっています。

日本語のトッププレートが付属しているので、これを被せることで分かりやすくなる

頑丈なアルミ製で、お弁当箱サイズのNewmal Xは仕様的には2IN/2OUTとなっていますが、端子を見ると非常に多くの入出力を備えています。フロント、リアと順に見ていきましょう。

Newamal Xのフロントパネル

フロント左にあるのはGUITAR INPUTとある通りギター入力。ここにギターを接続するとINPUT 1として入力されます。その隣にあるコンボジャックはマイク入力でこれもINPUT 1。つまり、このどちらか接続されているほうが優先される仕組みです。さらにその右はINPUT 2のマイク端子です。どちらのマイク入力も+48Vのファンタム電源を搭載しているのでコンデンサマイクも利用可能。その際は+48Vファンタム電源ボタンをオンにします。

そしてフロントの右側にある2つがヘッドホン端子。それぞれ独立してボリュームが搭載されているのでプレイヤーとエンジニアなど、2人で一緒にモニターすることが可能になっています。

独立して音量調整できるヘッドホン端子が2つ用意されている

リアを見てみると、一番左はACアダプタに接続する電源端子で、その隣がUSB端子となっています。このNewmal XはWindowsやMacと接続した場合、ACアダプタなしでUSBからの電源供給だけで駆動するケースがありましたが、基本的にはACアダプタを利用する仕様となっています。これによりiPhoneやiPad、Androidとも接続可能であり、スマホなどバスパワー供給電力が弱い場合はACアダプタと接続することで使えるようになります。またWindowsやMacと接続した場合でも+48Vのファンタム電源を使う場合にはACアダプタ接続が必須のようです。

Newmal Xのリアパネル

その右にあるLINE OUTとしてRとLがありますが、これがメイン出力。これはマスターボリュームで音量をコントロールする形です。さらにその右にあるのは3.5mmのミニジャックでのステレオ出力。外部機器と接続するような場合に利用可能で、先ほどのLINE OUTとは別の機器に接続できるので、便利に使えます。

一番右にある2つのRCAピンジャックはステレオでのライン入力です。シンセサイザの出力やCDプレイヤーなどオーディオ機器からの音をレコーディングするのに利用します。フロントのギター入力やマイク入力に接続しない場合、ここからの入力が有効になるという仕組みです。

このようにたくさんの入出力があるので、ほとんどの機器と接続することができるのがNewmal Xの特徴。ただし2IN/2OUT仕様のオーディオインターフェイスなので、入力はいずれかの2chとなり、出力はどれも同じ信号が出るようになっています。

さて、改めてトップパネルを見ると、ずいぶんたくさんのボタンやノブが搭載されています。これを見ると、特に初めてのユーザーだと難しく感じてしまうかもしれませんが、日本語トッププレートを被せるとだいぶ分かりやすくなると思います。

トッププレートを取り付けると、こんな感じで日本語表記になる

具体的に見ていくと、まず左側にあるHF、MF、LFはイコライザとなっており、入力音を調整していきます。これだけでもかなり積極的な音作り、音の調整が可能ですね。ギターに対してもマイクに対しても、ライン入力に対しても有効です。

下に並んでいるのは入力ゲイン=入力レベル調整および、メイン出力とヘッドホンの出力のレベル調整なので、使ってみればすぐにわかるはずです。

一番目立つ右にある大きいノブがエフェクトノブです。トッププレートにも記載されていますが、以下の16種類のエフェクトがNewmal X本体内に搭載されているのです。

1.リバーブ&ディレイ
2.スモールホールリバーブ
3.ラージホールリバーブ
4.スモールルームリバーブ
5.ラージルームリバーブ
6.スモールプレートリバーブ
7.ラージプレートリバーブ
8.スプリングリバーブ
9.マルチタップディレイ
10.アナログディレイ
11.コーラス+リバーブ
12.ステレオコーラス
13.フェイザー
14.ゲートリバーブ
15.フランジャー+リバーブ
16.ボーカルエコー

使い方はいたって簡単。この大きいノブを回して、その番号を選ぶだけ。16種類のエフェクトそれぞれにパラメーターが2つずつ用意されており、それが左側にあるPARAMETER 1、PARAMETER 2。適当に動かしていい感じに調整すればOKです。

大きなノブがエフェクトを選ぶためのもの

そのエフェクトの利用方法が大きく2種類あり、それを決めるのが左側にあるボタンです。OUTPUT SELECT(モニターセレクト)のDIRECT OUT+DSP(入力信号+エフェクト)をオンにすると、エフェクトのかかった音がヘッドホンから聴こえるようになります。この際、PCを介さず直接Newmal X内部でエフェクトがかかるので、音に遅れがないのが重要なポイントです。その隣の、DIRECT OUT(ダイレクトアウト)をオンにした場合は、エフェクトなしで入力された音がそのままモニターされます。

DIRECT OUT+DSPをオンにするとダイレクトモニターにエフェクトがかかって聴こえる

一方でSOURCE SELECT(ソースセレクト)のMIC WITH DSP(入力信号+エフェクト)がオフの状態だと、モニターにエフェクトがかかっていたとしても、DAWなどソフトウェア側に入るのはエフェクトがかかっていない音。OBSなどの配信ソフトを使っている場合も、同様ですね。ここで、これをオンにすると、エフェクトがかかった音が届く形になります。プラグインなどを使わずに簡単にエフェクトが利用できるという点では、配信などにおいて非常に便利に使えます。

その隣にあるMIXING DSP(入力信号+ループバック)を選ぶと入力音にループバックがミックスされた形でDAWにレコーディングしたり、配信ソフトに送り出すことが可能になります。この辺はやはりDTM用途というよりも配信用途で非常に便利に使えそうですね。

MIC WITH DSPをオフにするとDAWには生音が録音され、オンにするとエフェクトが掛かった音が録音される

そして最後に残ったのがVOICE OVER(ループバック音量自動調整)というボタンです。これはループバックをうまく活用するためのものなのですが、たとえばループバックでBGMを流しながらマイクからしゃべったとしましょう。するとしゃべっているときだけBGMの音量が下がり、しゃべりが聴き取りやすくなるのです。これは完全に配信のための機能ですが、自然にBGMを下げてくれるのでとっても便利ですよ。

VOICE-OVERをオンにすると、喋っているときに、ループバックの音が小さくなる

さて、このNewmal Xの各機能についてざっと見てきましたが、とにかくEQで簡単に音の調整ができて、エフェクトを手軽に使えるというのが特徴です。すべてNewmal X内で処理してくれるからレイテンシーを一切気にしなくてもいいのは嬉しいところです。

ちなみに多くのオーディオインターフェイスはDAWやプラグインなどを付属させていますが、Newamal Xは高機能ながらも価格を抑える意図もあるようで、付属ソフトはなし。Studio One 5 PrimeなどフリーのDAWもいろいろあるので、それらと組み合わせて使うのもよさそうですね。

一方でDAWで使う場合、少し注意点があるのでここも触れておきましょう。まずMacで使う場合はいたって簡単で、USB接続すればドライバなしで認識されます。Intel Macはもちろん、M1 Macでも問題なく使うことができ、Cubase、Studio One、Logic、FL Studio、Ableton Live,Bigwig Studio……とどれでもすぐに使えるので戸惑うことはないと思います。もちろん、OBSなど配信ソフトでもそのまま利用可能です。

Interl MacもM1 Macも、簡単にDAWで使うことができる

それに対し、Windowsもドライバなしで認識され、OBSなどの配信ソフトで即使うことはできるのですが、DAWの場合は、そのままでは使えません。キクタニからドライバが提供されていないため、ASIO4ALLが必要であり、予めインストールしておく必要があるのです。試してみたところ、最新のベータ版であるASIO4ALL 2.15βはうまく使うことができなかったので、ASIO4ALL 2.14を使うようにしましょう。
WindowsでDAWを使う場合、ASIO4AL v2.14をインストールしておく必要がある

このようにNewmal XはUSBクラスコンプライアントという仕様になっているから、ドライバ不要で使えたわけですが、だからこそWindows、Macに限らず、iPhone/iPad、Androidでも利用できます。この場合、iPhoneやiPadならLightning-USBアダプタが、AndroidならOTGケーブルが必要ですが、前述のとおりACアダプタで電源供給するから電力不足の心配もなく使えるわけですね。もちろん、この場合もWindows/Macで利用する際と同様にエフェクトやEQが利用可能で、エフェクトの掛け録りも、モニターだけにエフェクトを掛けることもできますよ。

iPhone 12 ProをNewmal Xに接続し、Cubasis 3で使うことができた

試しにiPhoneのDAWであるCubasis 3で使ってみたところ、快適に利用することができ、リバーブを掛けた状態でモニターしつつ、生音だけをレコーディングするということも簡単に実現することができました。

なお、Newmal Xは、その仕様上2IN/2OUTでフォーマット的には16bit/44.1kHzもしくは16bit/48kHzとなっています。そのためハイレゾでのレコーディングなどはできませんが、配信用途であれば、これで十分すぎるスペックだと思います。DAWによる本格的なレコーディングとなると、ちょっと物足りない面もあるかもしれませんが、この辺は用途に応じて使い分けてみるのがよさそうですね。

Newmal Xのパッケージ

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