AI音声のCoeFontが、ゆっくり実況プレイ動画編集ソフトで使えるようになった!

AI技術の進化で、ここ1、2年で急激な性能向上を実現している音声合成の世界。まさに機械が読んでいるのか、人間が読んでいるのか区別がつかないレベルになってきているわけですが、ここにきて、また面白い活用例が登場してきました。いわゆる「ゆっくり実況動画」を作成するフリーウェア「ゆっくりMovieMaker4」で、AI音声合成で人気のCoeFontが利用できるようになり、ゆっくりMovieMakerの利用範囲が一気に広がる形になったのです。

CoeFontは声をフォントのように利用できるようにしたサービスで、誰でも自分の声をCoeFontにできるとともに、ユーザーは公開されているCoeFontを使って喋らせることができる、というもの。今回このCoeFontとゆっくりMovieMakerがシステム的に連携したことにより、まさに人のような声で、誰でも無料で、簡単にテロップ・音声入りの解説動画を作ることができるようになったのです。具体的に使えるのは、誰でも無料で商用利用も可能な女性ボイスのアリアルとミリアルの各種CoeFont。アリアルは通常版のほかに、先日CoeFontサイトでも公開された喜怒哀楽の4種類の感情表現も可能になっています。実際、どんなものなのか、紹介するとともに、CoeFontの開発者である早川尚吾さんにインタビューできたので、今回のゆっくりMovieMakerとの連携の背景などをうかがってみました。

ゆっくり実況動画編集ソフト、ゆっくりMovieMaker4でCoeFontのアリアル、ミリアルが無料で利用できるようになった

CoeFontは昨年4月、彗星のように誕生したサービス。リリース直後にインタビューした記事「19歳・東工大2年生が社長。音声合成界に衝撃を与えたCoeFont STUDIOが目指すこれからの世界」、またその後の新サービスでのインタビュー記事「500円で自分の声を深層学習させ、自在に音声合成を可能に。19歳大学生社長が開発したCoeFont CLOUDの破壊力」でも紹介してきたので、すでに利用した方も多いと思います。

多くの人の声をフォントのように使えるようにしたい、という早川さんの考えの元、誰でも500円~1,500円で自分の声をCoeFontにできるサービスを展開した結果、今では膨大な数のCoeFontがラインナップされています。有名人の公式CoeFontとしては声優の森川智之さん、気象予報士の尾崎朋美さんや森田正光さん、ジャーナリストの田原総一郎さん、プロフィギアスケーターの鈴木明子さん……などが並んでいます。

さまざまなCoeFontが利用できるようになっている

また、私自身もサービスがスタートしてすぐに500円でCoeFontを作ってみたのですが(興味のある方はこちらのリンクへ)、自分で聴いても、まさに自分の声であり、まったく読んだことのないセリフやニュースが聴こえてくることには正直驚きました。

そのCoeFontが今回、ゆっくりMovieMakerで利用できるようになったのです。ゆっくりMoiveMakerは、饅頭遣いさんが開発した、ゆっくり実況動画を簡単に作ることができる動画編集支援ソフト。魔理沙、霊夢という、ネットでよく聞く棒読みトークが利用できることで広く使われていったわけですが、それらとは対極ともいえる、人間っぽいアリアル、ミリアルの声が使えるようになったことで、用途は大きく広がりそうです。

動画や静止画を配置するとともに、セリフを入れていくだけで、動画を作ることができる、ゆっくりMovieMaker4

使い方はいたって簡単。ゆっくりMoiveMaker4はavi、mp4、wmv、movなどの動画ファイルはもちろん、bmp、jpg、png、gifなどの画像ファイルを並べ、そこにテキストを入力すれば、テロップ付きで喋らせる動画を作成していくことができます。

キャラクターとしてアリアルかミリアルを選択、必要に応じて、感情を通常以外の喜怒哀楽に設定も可能

その際のボイスのキャラクターとしてアリアル、ミリアルを選べばいいだけ。この際、アリアルを選んだ場合は、感情として通常のほか、喜怒哀楽が選択できるようになっており、これによって、声の雰囲気も変わってきます。ちなみに、その喜怒哀楽、以下のビデオを見るとその違いがよくわかると思います。

ゆっくりMovieMaker4では、アリアルの喜怒哀楽を選ぶだけでなく、読み上げ速度やピッチなども調整できるようになっているので、触れば誰でもすぐに使えると思います。また必要に応じて、その設定結果を一つの新しいキャラクタとして保存することができるのも便利な点です。

感情やピッチ、読み上げ速度などを指定した上で、新規キャラクタとして保存することもできる

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、このゆっくりMoiveMaker4では、A.I.VOICEやCeVIO AI、VOICEVOXを連携させて使うことも可能ではあったのですが、連携させるにはソフトの購入やインストールする必要となるほか、設定画面から新規キャラクター設定としてCeVIO AIなどの設定が必要となるため、初めての人だと戸惑う面もありそうです。VOICEVOXであれば無料で入手可能ですが、パスの設定など、コンピュータ知識も求められるので、PCに詳しくないと動作させるのも難しそうです。それに対し、CoeFontであれば、すぐに使うことができるのが大きなメリット。

誰でも無料で使えるので、まずは試してみてはいかがでしょうか?

 

株式会社CoeFont 代表 早川尚吾さんインタビュー 

--今回CoeFontがゆっくりMoiveMaker(以下YMM)で使えるようになりましたが、そうなった経緯などを教えてください。
早川:CoeFontは、多くの方に使っていただけるようになり、さまざまなところで活用されています。とくにアリアル、ミリアルは商用でも無料で使えることもあり、広く使われています。そうした中、当社の社員でYMMが大好きという者がおり、ここにCoeFontが搭載できないかと言い出したのです。YMMは誰でも簡単に動画制作ができて、非常に便利なソフトだけど、さすがに魔理沙や霊夢の声の動画だと、ビジネス用途には使いにくいですよね。アリアルやミリアルなら、機械音声かどうかもわからないレベルで、たとえば社内研修動画などにもそのまま活用ができそうです。1月後半に、饅頭遣いさんに連絡を取ってみたところ、すぐにOKをいただき、実装もすぐにしていただきました。結果として、今回このように公開できるようになったのです。

--実際試してみても、ホントに軽く、キレイな声の動画が作成できます。
早川:CoeFontは、自分のパソコンのCPUを使って合成するのではなく、サーバーで合成しているので、非力なPCでもスマホでも手軽に喋らせることができるのが大きな特徴です。Google Documentがサーバーで動作していて、PCが得意じゃない人でも、ここにあるフォントで議事録やレポートが書けるのと同じ感覚で、CoeFontを使って喋らせることができれば、という思いです。そういう意味で、YMMは動画版Google Documentのように利用できるのではないかと思っています。YMMをキッカケに多くの方にCoeFontを使っていただければ、と。

--昨年、CoeFontを記事で取り上げたのが5月と8月でしたが、その後のトピックスなどがあれば教えてください。
早川:TBSのnews23で特集されたので、ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、気管腫瘍によるガンで、声帯を摘出することになった方のCoeFontを、摘出前に作成していただいたことがありました。声を失った後も、CoeFontによって自分の声で会話ができると大変喜んでいただきました。こうしたことで社会貢献ができると思い、声帯摘出される方にはCoeFontを無料で提供するようにしたのです。ところが、声帯摘出以外にも、声が出なくなる病気がいろいろあることを、その後に知りました。たとえば舌のガンであったり、ALSなど、年間2万人近くが、声を失っているとのこと。そこで、こうした声がなくなる方のためにも無料で提供するようにしています。具体的にはライトプランという月額500円のサービスを無償提供するとともに、自分の声であれば無制限に利用できるようにしています。

--それは、ものすごく大きな社会貢献だし、昔ではありえなかった、社会を変える画期的なサービスですね。ほかにも何か動きはありましたか?
早川:そうですね、いろいろなトピックスがありましたが、小学館との協働してCoeFontを使ったオーディオブックを作成しました。その第1弾として声優の森川智之さんのCoeFontで作成したオーディオブック『なぜ”ブブカ”はスポーツでもビジネスでも成功し続けるのか』(著者 セルゲイ・ブブカ)を作成しており、その試聴版を、特設ページにて期間限定で無料で一部を公開しています。

またプレジデント社からもオーディオブックをリリースしているほか、まだ公開されていませんが、いくつかの出版社でも準備中です。また、最近面白かったのは田原総一郎さんが、「朝まで生テレビ!」を一生やり続けるために、とCoeFontを作成してくださいました。「これで、一生やる」、「声が出なくなってもできる」とおっしゃっていました(笑)。

--そういえば、今年初めに、CoeFont FES2022というのをやっていましたよね?
早川:はい、CoeFont FES2022はCoeFontに感情表現が実装されたことを記念して開催したもので、感情を込めたCoeFontを作成し、その出来を競い合う、というものです。1月6日~31日まで実施したのですが、その期間は無料でCoeFontの作成ができたこともあり、2,000を越えるCoeFontが作成され、そのうち約600件のエントリーがありました。いま、まさに選定をしている真っ最中で、まもなく審査結果を発表する予定です。そして、今回YMMでCoeFontが使えるようになったので、より多くの方にお使いいただけるのでは、と期待しているところです。

--今後、YMM上のCoeFontを使って、どんな作品が生まれてくるのか楽しみなところですが、CoeFontとしては今後どんな展開を考えているのですか?
早川:先日、凸版印刷が展開するスピーディで高品質な動画コミュニケーションサービス、movringでCoeFontを利用できるようにしたのですが、これを使うことでチラシやカタログを容易に動画にしていくことが可能になります。またオーディオブックもさらに加速できればと考えていますし、放送局などからもお声がけいただいているので、それぞれの業界に特化した機能を盛り込んでいければと考えています。一方、今後は多言語化にも取り組んでいく予定で、技術的なメドは立っているのですが、どのように展開すると面白いのか、どうやってリリースするといいのかなどを思案しているところです。もちろん、声を失った方々がいっぱいいらっしゃるので、もっとこういうサービスがあるのだ、ということを広めていきたいですね。すでに使っていらっしゃる方からは、「家族が今までと変わらない生活を送れているので、とっても助かります」といったお手紙もいただいており、実際に役立っているんだな、と実感しているところです。今後も多方面に展開していければと思っています。

--これからのCoeFontの動きにも期待しています。ありがとうございました。

【関連情報】
CoeFontサイト
ゆっくりMovieMaker4サイト

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