• 現代の最高峰ガジェットシンセ、teenage engineering OP-1 fieldの多機能性とその実力

8月10日、teenage engineeringOP-1の新モデル、OP-1 fieldが国内でも発売されました。スウェーデン・ストックホルムのメーカーteenage engineeringが2011年にOP-1を発売してから今年で11年目。ファームウェアをアップデートし続けた結果、11年前のものからかなり進化してきましたが、さすがにこれ以上大幅な進化は難しいところまで来ました。そこに今回、パッと見はそっくりながら、内部的なハードウェアを刷新し、超パワフルで、多機能なマシンになるとともに、より高級感のある仕上がりになったOP-1 fieldが誕生したのです。

14種類の音源エンジンを持つととも、8種類のエフェクトを装備。高精細なハードガラス製フラッシュディスプレイを搭載したことで、ディスプレイの視認性も圧倒的に向上。また内蔵スピーカーは高音質で低音もしっかり響くパワフルなものになっています。さらにUSB Type-Cポートを介してPCとMIDIとオーディオのやりとりが可能となっているだけでなく、Bluetooth MIDIにも対応するなど、思いつく機能は何でも搭載されている、まさにスーパーマシンとなっているのです。ただし、価格のほうも、あまり可愛くない金額になっており、従来のOP-1が148,500円(税込み)なのが、OP-1 fieldでは286,000円と最新のM2プロセッサ搭載のMacBook Proだって余裕で買えちゃうお値段。それでも世界中で人気で品薄状態とのことですが、実際どんな機材なのか試してみたので、紹介してみましょう。

OP-1誕生から11年になる2022年、非常に高性能に進化したOP-1 fieldが誕生した

OP-1はコンパクトなボディーに、シンセサイザー、リズムマシン、サンプラー、4トラックのレコーダーなどの機能が詰まったとにかく楽しい楽器です。これ1台で数多くのシンセサイザーに変身してくれて、さまざまなサウンドを鳴らせるし、ボタン一つで即演奏可能なドラムマシンやシーケンサにもなってくれます。そして、そのシンセやドラム音をまるでテープレコーダーに録るように、レコーディングができ、これ1台で曲を作っていくことができるというマシン。

従来のOP-1(上)と新機種のOP-1 field(下)、パッと見はそっくりだが、中身は大きく変わっている

そのOP-1と新モデルであるOP-1 fieldを並べてみても、一見、何が違うのかわからないくらいですが、よく見ると、かなり上質な仕上がりになっているとともに、ディスプレイはまったく違う高品位なものになっています。そして、その中身は完全に刷新されて100以上の新機能を搭載。かなり強力なマシンへと生まれ変わっているのです。主な進化点をピックアップしてみると

・4つの新しい録音テープスタイル
・新しいリバーブエフェクト
・新しいシンセエンジン
・ステレオでのエディット
・32bit/96kHzの音質
・新しいスピーカーシステム

などなど。

まず外観から見ていくと、サイズは288(横)x102(縦)x29(高)で、620gで、ベゼルの厚さは9mm(前モデルは14mm)というコンパクトなもの。右サイドに電源スイッチ、充電やPCとの接続のためのUSB Type-C端子、そして3.5mmのヘッドホン出力、外部入力と並んでいます。またそのすぐ上にはLEDによる音量レベルメーター、内蔵マイクがありますね。

OP-1 fieldの右側面には電源スイッチ、USB Type-Cポート、ヘッドホン/ライン出力、ライン入力が並んでいる

この電源を入れると起動するのですが、前モデルのOP-1だと30秒近くかかったのに対し、OP-1 fieldは4秒ほどで起動するサクサクさがとってもいいですね。ちなみに、中にはリチウムイオン電池が入っているのですが、満充電で24時間駆動してくれるというのも、すごいところです。

本体左側にはスピーカーがあります。これはパッシブラジエーターを搭載したことで前モデルより低域がパワフルに出るようになるとともに、断然高音質になっています。ただし、スピーカーは1つだけなのでモノラル。今回すべてのエンジンがステレオ化されているので、それを味わうにはヘッドホン/ライン出力を使う必要があります。

パッシブラジエーター搭載で非常にパワフルになった内蔵スピーカー

このOP-1 fieldを使う上で、まず基本となるのは4つのモードボタン。シンセモード、ドラムモード、テープモード、ミキサーモードと切り替えて使えるようになっているので、それぞれ簡単に紹介していきます。

左からシンセ、ドラム、テープ、ミキサーの各モードのボタンとなっている

シンセモードは、その名の通り、OP-1 fieldをシンセサイザにするためのモードで、数々のシンセサイザに変身させて使うことができます。

今回完全に新たに搭載された新音源、DIMENSION

たとえば、今回まったく新たに加わったDIMENSIONを選択すると、ディスプレイには独特な画面が表示されます。左側で波形をモーフィングし、画面右側ではフィルタのカットオフ周波数とレゾナンスの調整を行い、中央にはそれで生成されるサウンドをリサージュー的な立体波形で表示してくれます。特殊な位相を生み出す仕組みとなっているため、広がりがあり、幻想的なステレオサウンドを作り出してくれます。

波形がキレイに表示されるようになったSAMPLER

SAMPLERはその名の通りサンプラーで、精細なディスプレイにはしっかりと波形が表示されます。数多くの汎用性の高いプリセットサウンドが用意されていますが、もちろん自分でサンプリングしていくことも可能となっています。

鍵盤を弾くと、ドットのイチが動いていくDIGITAL。ノブを回すと、そのパラメーターが画面に表示される

DIGITALという音源は、画面にカラフルなドットが表示され、それらが線でつながれています。ここで、OP-1 fieldが持つ4つのノブを使うとその色に対応したノブが動くとともに、画面には、何のパラメーターを動かしているのかが表示されるというのも分かりやすくて便利なところ。同じ音源は従来のOP-1にもあったのですが、断然分かりやすいUIになっています。この音源に限らず、OP-1 fieldのすべてのUIにおいて、ディスプレイ上の色がノブの色とマッチする操作性になっているので、かなり使いやすいですね。

4つのオペレーターで構成されているFM音源

ほかにもファイズシンセであるPHASE、FMシンセ、DNA、DR WAVE、DSYNTH、VOLTAGE……と全13種類のシンセエンジンを切り替えて使えるようになっており、それぞれに多くのプリセットサウンドが用意されています。

エンベロープなど各パラメータを使って自在に音作りができるVOLTAGE

ここでシーケンサボタンを押すとシーケンサがオンになり、シンセサイザを鳴らすことができるようになっています。デフォルトではFINGERというシーケンサが起動し、指で鍵盤を選ぶと1つめのパターンが演奏され、さらにもう1つの鍵盤で別パターンを選ぶと、それが被さるように2つのシーケンサが同時に動いてくれます。

2つのシーケンサを同時に動かすことができるFINGER

もちろん自分でパターンを組んでいくこともできるし、ほかにもさまざまなユニークなシーケンサが用意されているのもOP-1 fieldの楽しいところです。

同じFINGERのドラムでのUI

続いてドラムモードを見てみると、ここにも2種類のドラムエンジンが用意されています。基本はDRUMというサンプリング音源となっていますが、もうひとつDBOXというシンセサイザでドラム音を構成するものもあり、それぞれに数多くのプリセットが用意されています。

シンセエンジンでドラム音を構成するDBOX

鍵盤をたたくと、各ドラムを鳴らせる一方、やはりシーケンサを使うことで、すぐにドラムパターンを鳴らしていくことも可能になっています。

続いて紹介するのがテープモードです。これはOP-1 fieldの心臓部ともいえるところであり、仮想の4トラックのステレオテープを使ってレコーディングしていくことが可能となっています。ユニークなのは4種類の録音フォーマットが用意されていること。具体的には

・ステレオ4トラック
・ヴィンテージ4トラック
・PORTA
・MiniDisc

のそれぞれ。ちょうど手元にTASCAMの大昔のPortaStudio 244があったので、並べて撮影してみましたが、これと同様カセットテープに録音するような形になるので、ヒスノイズ多めのLo-Fiサウンドになるのがユニークなところです。

TASCAMのPortaStudio 244とOP-1 field

ループレコーディングも可能なので、ルーパー的な使い方も可能。それぞれ4トラックで録音できる上、そのプロジェクトをそれぞれ最大8つまで保存していくことが可能となっています。

4トラックのMTRとして自在にレコーディングしていくことができる

そしてもう一つあるのがミキサーモードです。これは、テープモードで録ったトラックをミックスしていくところ。4つのVUメーターが表示されるので、このメーターの触れ具合と音のバランスをチェックしながら、ノブで音量やPANなどを調整していくわけです。

4つのVUメーターが並ぶミキサー画面

このミキサーモードにはEQも搭載されているので、ここで各トラックのEQ調整もできるし、マスターエフェクト画面にすると、マスターの音圧調整も可能になっています。

さらに最終段にはマスターアウト画面も用意されているので、このメーターを見つつ、必要に応じてドライブをかけるなどもしながら音を作り上げ行くわけなのです。

ミキサー機能に搭載されている音圧調整のためのエフェクトPUNCH

なお、このミキサーモードで見た音圧調整のPUNCHというエフェクト以外にもOP-1 fieldには8種類のエフェクトが搭載されています。DELAYやSPRINGステレオ空間を広げていくNTROといった比較的分かりやすいエフェクトのほかにも、CWO、MOTHERなど、独特なエフェクトがいろいろ用意されているのも面白いところで、これらが各シンセ、ドラム音源で利用できるようになっています。

牛のUIとなっているCWOエフェクト

ところで、これをUSB経由でPCと接続するとどうなるのか?ちょっと試してみました。これ基本的にはMIDIポートとして認識するようで、OP-1 fieldをDAWの入力デバイスとしても使えるし、反対にDAWからOP-1 fieldをコントロールすることも可能です。

USBでPCと接続するとMIDIの入出力ポートが見え、これでコントロールできる

一方で、オーディオインターフェイスとしても見えるのですが、いまのところteenage engineeringからASIOドライバなどの提供はないので、あくまでもUSBクラスコンプライアントなオーディオインターフェイスとして使うのみですが、Macであれば問題なく使えるし、Windowsでも厳密なレイテンシーさえ気にしなければ問題なく使うことができました。

USBオーディオとして入出力が可能

つまりOP-1 fieldでの出力を劣化なしにこれでデジタル的にレコーディングできるのです。一方で、DAWからのオーディオ出力は何のためにあるのか?別に、DAWの音をOP-1 fieldのスピーカーで鳴らそうというわけではないようです。先ほどちょっと触れたサンプラーにおいて入力ソースを4種類から選べるようになっているのです。

PCからのオーディオはサンプラーなどでの入力として利用できる

デフォルトは内蔵マイクなのですが、それ以外に、3.5mmの外部入力、それにこのUSBオーディオと、FMラジオとなっているんですね。そのサンプリングに利用できるというわけです。ちなみに、FMラジオも内蔵されて、ヘッドホンを接続するとそのケーブルがアンテナ代わりになってラジオを聴くこともできますよ。

Bluetooth MIDIにも対応しており、各BLE-MIDI機器と接続可能

そのほかにもBluetooth MIDIが搭載されているので、たとえばKORGのmicroKEY Airをつないで演奏するとか、INSTACHORDをつないで演奏するなど、外部から演奏できるのも便利な点ですね。

INSTACHORDとも接続して使うことができた

と、ざっとOP-1 fieldについて紹介してみましたが、触っていると面白すぎて、すぐに時間がたってしまうのが困るところ。おそらく、ここで紹介した機能は、OP-1 fieldの持つ機能のほんの触り部分であって、もっともっと数多くの機能が用意されています。ずっと使っていてもバッテリーがほとんど減らないのもすごいところだと感心しましたが、ぜひ一度、店頭などで試してみてはいかがですか?きっとOP-1 fieldの沼にハマっていくと思います。

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OP-1 field製品情報

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