サブスク化で大荒れのWaves Audio、永続ライセンスのバンドル製品や単体プラグイン、WUPを復活へ大きく軌道修正

2日前にWaves Audio(以下Waves)がサブスクへ一本化することを発表し、世の中は大騒ぎになりました。「Waves」や「サブスク」がTwitterのトレンド入りするまでに騒ぎは広まり、「DTMの世界って、そこまでいっぱいユーザーいたんだっけ?」と妙な感心をしてしまったほどですが、その衝撃は非常に大きなものでした。SNSなどを見る限り、その大半は拒否反応を示したものでしたが、その威力は日本国内のみならず、海外も。というより、海外での荒れ具合のほうが激しく、日本のユーザーの反応なんてカワイイもの、と思えるほどでした。

そうしたユーザーの動きをWaves本社側もある程度予測していたとは思うのですが、恐らくその予測を遥かに上回る反撃があり、動揺した……ということなのでしょうか、日本時間の3月30日0時(現地時間では3月29日)、Wavesが従来製品の販売を再開することを発表しました。またそれと同時にWaves Update Plan(以下WUP)の販売も再開する模様です。もちろん、WUPの復活に伴い、セカンドライセンスのほうも従来通り使えるようになります。もっとも、一昨日発表したサブスクのプランであるWaves Crative Accessのほうを無くすわけではないので、ユーザーにとっては選択肢が増えた形となるようです。3月30日0:30の時点、これを発表したのはWaves本国側で、メディア・インテグレーションが運営する日本のWavesサイトでのアナウンスはありません。間もなく発表されるものと思われますが、今後状況が揺れ動く可能性もあるので、現時点での情報を元に状況を整理してみたいと思います。

※2023.3.30 20:00追記
日本のWavesサイトでも同様のコメントが発表されています。
https://wavesjapan.jp/articles/news-waves-20230330

イスラエルのWaves Audioが従来の永続ライセンスの販売を復活させることを発表した


すでに多くの方が情報を目にされていたと思いますが、3月27日「WavesがすべてのサービスをサブスクリプションのWaves Creative Accessに一本化を発表。Wavesユーザーはどう対応すべきなのか!?」という記事で紹介した通り、イスラエルのメーカー、Waves Audioが、従来の製品、サービスをすべて中止し、Waves Creative Accessというサブスクに一本化することを発表しました。

これに対し、業務でWavesプラグインを数多く使っているプロユーザーからは、「仕方ない」、「トータルで見れば悪くないかも」といった声が上がっていたものの、多くの一般ユーザーからは戸惑いの声、怒りの声などが数多く上がっていました。やはりサブスクに対して嫌悪感を持っている人は多いので、こうした反応は当然だったと思います。もっとも勘違いによる発言も多かったのは少し気になったところではありましたが…。

Wavesはプラグインメーカーとして業界最大手の1つであり、30年を超える歴史の中で、220種類以上のプラグインを開発し、多くのユーザーから高い評価を受け、これを使った膨大な音楽作品が生まれてきたことを考えれば、その影響力は絶大です。そこが、これまでのサービスを全面ストップして、サブスクに切り替えるとなれば、ユーザーからの反発は避けられないところでしょう。やはりWavesはユーザーを甘く見すぎていたのではないでしょうか?その反発の大きさに動揺して、「既存製品、サービスの廃止」という発表を撤回した形となったようです。

WavesのCTO兼共同創設者であるミールシャシュア氏が、以下のような文面の発表を行いました(Deeplでの翻訳です)
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Waves CTO兼共同創設者Meir Shashouaからの手紙 – 2023年3月29日:

親愛なるWavesコミュニティの皆様、

ここ数日、多くのお客様から、プラグインの永続ライセンスを廃止し、プラグイン専用のサブスクリプションモデルに移行するという私たちの決定について、懸念を表明していただきました。このたびは、多くのお客様にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。私たちは、私たちの動きが突然であり、破壊的であり、お客様のニーズ、希望、および好みを十分に考慮しなかったことを理解しています。このたびは、ご心配をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。

みなさまのご心配を謹んでお聞きした上で、新しいサブスクリプションと並行して、プラグインの永続ライセンスモデルを復活させることをお伝えしたいと思います。これまでと同様に、プラグインを永続ライセンスとして入手することができるようになります。

さらに、すでに永続ライセンスをお持ちの方は、Waves Update Planでプラグインをアップデートし、2つ目のライセンスを受け取ることができます-これも以前と同様です。このオプションも、サブスクリプションプログラムと並行して、また独立して利用できるようになります。

私たちは現在、できるだけ早く永続ライセンスを再びご利用いただけるよう、全力を注いでいます。それまでは、このウェブページで最新情報を随時お知らせしていきますので、ぜひご覧ください。

私たちは、ユーザーの皆様のために全力を尽くしていることをご理解いただきたいと思います。私たちは皆様のご意見に耳を傾けましたし、これからも耳を傾け続けます。Wavesは、あなたと同じようにユーザーとクリエイターでいっぱいの会社であり、私たちは皆、あなたと同じように製品に対して情熱を持っています。このことを念頭に置きながら、私たちはお客様に対して正しい方法を模索し、信頼を取り戻せるよう努力します。

今後ともよろしくお願いいたします、

 

改めて読み解くと販売が再開されることになる対象商品は

・Waves シングルプラグイン各種(永続ライセンス)
・Waves バンドル製品各種(永続ライセンス)
・Waves Update Plan(WUP)

の3点となりそうです。おそらくほぼ従来通りの状況に戻ると言ってもいいと思います。サブスク化に対する突然の発表の3日後に、復活宣言を出しているので、まだ状況が揺れ動く可能性は大きそうですが、既存ユーザーにとって朗報であることは間違いないでしょう。

このWUPの復活によって、セカンドライセンスも復活します。セカンドライセンスとは、その名の通り2つ目のライセンスのことであり、WUPユーザーであれば、2台のマシンでWavesプラグインを使えるというもの。サブスクであるWaves Creative Accessはあくまでもシングルライセンスであるため、この違いも大きそうです。

まだ、その復活がいつからになるのかなどわからない点もいろいろ。詳細についてはまた情報が入り次第、追記していきたいと思います。

【関連情報】
Waves Audio本国サイトでの発表情報(英語)
Waves Audio日本サイトでの発表情報
Waves Creative Access日本語ページ

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