Prophet5、CS-80などプラグインがテンコ盛り。AIステム分離機能も装備する秘密兵器、Mixcraft 10.5

ACOUSTICA社が開発しているMixcraftというDAWが4月30日までセールを実施中です。Mixcraftは上位版Mixcraft Pro Studioと下位版Mixcraft Recording Studioの2ラインナップ展開をしており、Mixcraft Pro Studioが通常30,240円(税込)のところ、17,969円(税込)。Mixcraft Recording Studioが通常15,040円(税込)のところ、8,909円で発売中です。このMixcraftは、2004年から発売されていて、今年20周年を迎えたWindows用のソフトウェア。動作も軽く、DAWに必要な要素は網羅している上に、安価なので初心者用DAWとして使うのにもピッタリ。

なのですが、実はCubaseやStudio One、Ability、Live……といったDAWを持っている人にとっても超お得なパッケージなんです。というのも、ここには膨大な音源やエフェクト、ループやサンプル素材がバンドルされており、これをほかのDAWで使用可能だからです。しかも最新のMixcraft 10.5 Pro Studioには、AIを活用したステム分離ツールも搭載しているので、メインで使っているDAWにはない機能だけをMixcraftで使うといったこともできます。Windows限定にはなりますが、プラグイン集として、AIステム分離ソフトとしても活用できてしまうMixcraftについて紹介していきましょう。

数々のプラグインを搭載し、AIステム分離機能も搭載しているMixcraft Pro Studio

20年の歴史を誇るDAW、Mixcraft

Acoustica社が開発したWindows向けのDAW Mixcraftは、2004年に誕生した歴史あるソフト。DTMを始めたいと考えている人や、楽器を全く弾いたことがないが音楽制作に挑戦したいという人でも、このソフトウェアは使いやすく設計されています。ほかのDAWと比べると安価ながらも、レコーディング、打ち込み、ミックス…など、基本的な機能はしっかり搭載しています。標準搭載しているプラグイン、7,500以上のループ、SFX、サンプルなど、膨大な数の付属音源やループがあるのも魅力ですね。以下の動画は、Mixcraft 10.5にアップデートされた際に公開された動画なのですが、どんなDAWなのか雰囲気が分かると思うので、ぜひご覧ください。

AIが2mixを5つのトラックに分解するステム分解機能を搭載

そして、動画にもあったように、上位版のMixcraft 10.5 Pro Studio限定の機能にはなりますが、MixcraftにはAI を活用したステム分離機能が搭載しています。これは2mixをボーカル、ピアノ、ドラム、ベース、その他、の5トラックに分けることができる機能。2mixをステムに分離する機能自体は、もう珍しいものではないですが、DAWにこれが標準搭載しているのは、まだ珍しいですね。

実際に使用する際の手順はとても簡単で、タイムライン上に分解したい2mixのトラックを並べたら、右クリックして「Separate Into Stems」をクリック。

右クリックして「Separate Into Stems」をクリック

すると、Separate Stemsというダイアログが開くので、分けたいトラックにチェックを入れて「Sparate」ボタンを押すだけ。これで、2mixを各トラックに分けることができるので、簡単にボーカルを抜いたカラオケ音源なども作ることができますよ。しかも、実際音を聴いてみると、なかなか精度が高く、おまけ機能かと思いましたが、かなり使い勝手はよさそうです。

ダイアログから分けたいトラックにチェックを入れて「Sparate」ボタンをクリック

Mixcraft Pro StudioとMixcraft Recording Studionの機能相違点

このステム分離機能は、上位版であるMixcraft 10.5 Pro Studioの機能と書きましたが、ほかにもMixcraft Pro StudioとMixcraft Recording Studioで違いがあります。機能的な違いは以下の通り。

Mixcraft 10.5 Recording Studio Mixcraft 10.5 Pro Studio
7,500 を超えるループ、サウンドエフェクト、サンプル
ライブパフォーマンスパネル
楽譜作成、ステップエディタ、ピアノロールエディタ
ビデオ編集
無制限のトラック
Mixcraft ロイヤリティ クレジット プログラム
AI を活用したステム分離-混合オーディオ ファイルを取得し、編集、検査、または置換のためにその部分をすばやく分離します。  
トラック リージョン – クリップとトラックのグループ (オートメーションを含む) を選択、ドラッグ アンド ドロップ、コピーします。
高度な MIDI およびオーディオ出力の録音とルーティング
統合された Mixcraft ストア
スケーラブルなインターフェース
コントローラー スクリプト API と拡張 MIDI コントローラーのサポート
カスタムホットキーの割り当て
ドラッグアンドドロップの自動化
プラグイン マネージャー – オプションのセーフ モードによる検索と整理の向上
ニュース、ビデオ、販売へのライブリンクを備えたプロジェクト開始ウィンドウ
クイックスタート プロジェクト テンプレート
自動保存
マスターテンポエンベロープ
カーブオートメーション
ボコーダートラック
ゲイン、ドライブ、パラメトリック EQ、コンプレッサー、オシロスコープ、スペクトラム アナライザーのミキサー パネル
プラグインオートメーション用のテンポ同期LFO
MIDIステップ録音
ネイティブに統合された Celemony Melodyne 5 Essential
オーディオからMIDIへの変換
ReWire ホスティング

付属音源やエフェクトの数にも差があるので、AI分離機能も使って、付属している音源をほかのDAWで使うといった目的であれば、やはり上位版のMixcraft 10.5 Pro Studioを入手するのがおすすめとなっています。

Instruments Mixcraft 10.5 Recording Studio Mixcraft 10.5 Pro Studio
Acoustica Pianissimo Virtual Grand Piano
Cherry Audio DCO-106
Glass Viper
Kastelheimer Veldberg XD
ME80 Version 1
ME80 Version 2
Memorymoon Vintage Analog Synthesizer
Omni Sampler 8 Out
Voltage Modular Ignite
Acoustica Instruments
Acoustica Expanded Instruments
Acoustica Studio Drums
Alien 303 Bass Synthesizer
Alpha Sampler
Combo Organ Model F
Combo Organ Model V
AAS Journeys String Studio VS 2 Sound Pack
AAS Lounge Lizard Session 3
Messiah Version 1
Messiah Version 2
Minimogue VA
Omni Sampler
Renegade
VB3 Organ
Effects
Cherry Audio Stardust 201 Tape Echo
Cherry Audio Galactic Reverb
TB Barricade
TB Broadcast Multiband Compressor
TB BusCompressor
TB Compressor
TB DeEsser
TB EZQ Equalizer
TB MultiFX
TB Parametric Equalizer
TB Reverb
EU ProMixEQ-10A
DTC-1 Compressor
ORB7000 Octave Reverb
Voxengo Amp Simulator
Voxengo Spectrum Analyzer
GTune Guitar Tuner
VocalZap
Pultronic Tube EQ
Shred Amp Simulator
GSnap Pitch Correction
Acoustica 31 Band EQ
Acoustica Pro Studio Reverb
Acoustica Vocoder
Dubmaster Liquid Delay
Dubshox Multiband Distortion
FAT+
Fusion Field Convolution Reverb
FSQ1964 Transient Vitaliser
GSXL4070 Vintage Parametric EQ
iZotope Mastering Essentials
Celemony Melodyne 5 Essential
Mid-Side Envelope Follower+
Mid-Side Harmonic Vitaliser+
Mid-Side Stereophase Filter+
POD4500 Particle Delay
PSEQ-1 Vacuum Tube Passive EQ
Studio Devil Virtual Bass Amp
TB Dither
TB Ferox Tape Emulator
TB FlX
TB FlX 4
TB Gate
TB TimeMachine Bit Crusher
Treblecream
TRW-1 Vacuum Tube Triode Warmer
Twisthead VS-206 Preamp
VBE-1 Vacuum Tube Bass Enhancer
VTC-1 Vacuum Tube Compressor
VTD-42 Psychedelic Delay
XBass 4000L Bass Enhancer
Zener Limiter LM-2Z

膨大なプラグイン、サンプルを装備。Cherry Audioプラグインだけでも元が取れる!?

さて、付属している音源やサンプルをほかのDAWで使えると書きましたが、これについてもう少し詳しく紹介していきましょう。ほかのDAWを使っている人にとっては、膨大な種類のプラグイン、サンプルを、手持ちのDAWで活用できるのが、Mixcraftの最大の特徴といってもいいかもしれません。
ためしに、ここではCherry Audio社のプラグインに絞って見てみましょう。Cherry Audioは、以前Sonic Foundryに在籍し、ACIDやSound Forgeを開発してきたエンジニアや、Cakewalkでビジネス全般を仕切ってきた元副社長、などが集まってできたベンチャー企業。

以前DTMステーションでも、「1モジュールあたり100円以下!? ACIDやSound Forgeの開発者、Cakewalkの元副社長が生み出したソフト版モジュラーシンセ、Voltage Modularが面白い」という記事で、同社が開発したVoltage Modularについては紹介したことありますが、これもMixcraft 10.5 Pro Studioに付属しています。

Cubase上で付属しているCherry Audio社のプラグインや音源を起動してみた

そのCherry AudioのプラグインでMxcraftにバンドルされているものをピックアップして通常の販売価格を調べて表にしてみました。

製品名 価格
Voltage Modular Ignite 7,700 円 モジュラーシンセ
DCO-106 3,850 円 Juno-106 エミュレーション
Stardust 201 Tape Echo 2,920 円 ローランドの「SpaceEcho」テープエコーエフェクトモデリング
Galactic Reverb 2,920 円 リバーブプラグイン
Surrealistic MG-1 Plus 0 円 Moog & Radio Shack の「Realistic Concertmage MG-1」エミュレーション
Voltage Modular Nucleus 0 円 Voltage Modular無料版
Synthesizer Expander Module 0 円 Oberheim SEM エミュレート
合計 17,390 円

ちなみに0円となっているものは、Mixcraftから無料でゲットできるものです。現在Mixcraft 10.5 Pro Studioは、セールで17,969円(税込)。付属しているCherry Audioのプラグインだけでも合計は、17,390円と、ほぼ同じ価格となっているのです。

ここでピックアップしたのはあくまでもCherry Audioのプラグインだけで、先ほどの表のとおり、AAS、iZotopeをはじめ、膨大なプラグインが付属しています。

Prophet 5をシミュレーションするMessiah Version 1

Acousticaのプラグインもかなり優秀なので、たとえば、Prophet 5をシミュレーションするMessiah Version 1、Version 2、MinimoogをシミュレーションするMinimogue VA、ヤマハのCS-80をシミュレーションするME80 Version 1、Version 2……とこれでもかというほどのプラグインが揃っていて、この値段ですから、かなり魅力的ですよね。

CS-80をシミュレーションするME80 Version 1

ちなみにAcoustica製のプラグインについてはすべてがほかのDAWで動くわけではないようです。32bitのVST2のプラグインが混ざっているからなのかもしれませんが…。Acoustica製のプラグインについては通常のVSTフォルダではなく、

C:¥ProgramData¥Acoustica¥Mixcraft¥VST

というフォルダに入っているので、これを各種DAWのプラグインフォルダとして組み込むことで使えるようになると思います。

Studio One 6.5上でAcousticaのプラグインを起動させてみた

以上、Mixcraftについて紹介しました。Mixcraft自体の機能についてはあまり触れませんでしたが、割と直感的に使えるし、日本語にも対応しているので、比較的とっつきやすいDAWだと感じました。多くの方はメインとしてるDAWは決まっていると思いますが、もし決まってなければ、Mixcraftから使い始めても全然問題ないという印象でしたよ。AI分離機能だけ、付属している音源やループだけを活用するだけでもお得ですが、それだけではもったいないポテンシャルを持ったDAW Mixcraftをぜひ試してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
Mixcraft Pro Studio製品情報
Mixcraft Recording Studio製品情報

【価格チェック&購入】
◎beatcloud ⇒ Mixcraft Pro Studio
◎beatcloud ⇒ Mixcraft Recording Studio

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