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鍵盤メーカーFatarが本気で作った!Studiologic「SL MK2」シリーズ、理想のMIDI 2.0対応キーボード誕生

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先日開催された東京楽器博2025のStudiologicブースでもで先行展示されていた、イタリアのキーボードメーカー、Studiologic(スタジオロジック)の新しいMIDIキーボード「SL MK2」シリーズが、11月7日に発売されました。ラインナップは、木製鍵盤を採用した最上位モデル「SL88 GT MK2」(154,000円税込)、ハンマーアクション鍵盤の「SL88 MK2」(88,000円税込)、そして同じくハンマーアクションの73鍵モデル「SL73 MK2」(85,800円税込)の合計3機種です。大きなポイントとなるのは、これがMIDI 2.0のベロシティに対応したキーボードである、という点。またノートごとに詳細な表現情報を送受信できるPer-Note Controlにも対応しています。ちなみにStudiologicは、世界の主要なシンセサイザメーカーに鍵盤機構を供給しているFatar社の製品ブランド。つまりSL MK2シリーズは、多くのメーカーが採用する鍵盤の本家が、自ら設計したキーボードとわけなのです。

そんなSL MK2シリーズは、音源を搭載したステージピアノとして世界的に人気の高い「Numa X Piano」シリーズの設計思想と、カラー液晶による優れたユーザインタフェースを踏襲しつつ、音源部分を省くことで価格を抑え、DTM用途やPCとの連携に最適化されたシリーズ。無料で使えるのに、定番音源と同等のクオリティを誇るNuma Player 2と一緒に使うことで、Native InstrumentsのNKSのように、ハードウェアとソフトウェアを完璧に統合することも可能となっています。鍵盤のタッチにこだわりつつも、自宅での音楽制作からステージで使うMIDIキーボードとして最適な製品となっているので、どのようなものなのか紹介していきましょう。

東京楽器博2025のStudiologicブースでもで先行展示されていたSL MK2が発売された

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Numa X Pianoから音源を省き、PCとの連携に特化させたSL MK2シリーズ

Studiologicといえば、高品位な音源を搭載したステージピアノNuma X Pianoシリーズが、その優れた鍵盤タッチと、カラーディスプレイを中心とした革新的なユーザインタフェースで世界的な評価を得ています。今回のSL MK2シリーズは、そんなNuma X Pianoの基本的な設計思想や操作性を色濃く受け継いだ直系のモデルとなっています。

最大の違いは、SL MK2シリーズが音源を一切搭載していない、純粋なMIDIキーボードであるという点。Numa X Pianoが1台で完結したモデルだったのに対し、SL MK2はPCと組み合わせに最適化された製品となっています。

Numa X Pianoから音源機能を引き算し、そのリソースをDAWコントロールや外部音源との連携に振り向けた製品、と考えると分かりやすいですね。すでにNuma X Pianoを使用しているユーザであれば、その操作感をそのままに、制作スタジオのマスターキーボードとして導入することもできますよ。

音源が内蔵されたフラグシップモデルのNuma X Piano GT

ユーザインタフェースはNuma X Pianoとほぼ共通で、本体中央には高解像度のTFTカラーディスプレイが配置され、その両脇にあるエンコーダやボタンによって、直感的な操作が可能となっています。Numa X Pianoでは内蔵音源のパラメータを詳細にエディットするために使われていたこのインタフェースが、SL MK2では外部のソフトウェア音源やDAWのコントロールのために解放されています。4つのゾーン設定やエフェクトのルーティングなど、複雑になりがちな設定も視覚的に分かりやすく、ストレスなく行うことができますよ。

カラーディスプレイ、エンコーダやボタンを使って直感的に操作できる

用途で選べる3つのラインナップ。木製鍵盤とハンマーアクション

SL MK2シリーズは、搭載する鍵盤のタイプと鍵盤数によって、3つのモデルがラインナップされています。Studiologicは、もともとFatarブランドで世界中のシンセサイザメーカーに鍵盤機構を供給してきた歴史があり、多くのハイエンド機種でその鍵盤が採用されてきました。その鍵盤メーカー自身が設計した製品である、という点が大きな強みとなっています。

SL73 MK2、SL88 MK2、SL88 GT MK2の3ラインナップ展開

まずは、SL MK2シリーズの最上位モデルSL88 GT MK2ですが、これは88鍵盤の木製ハイブリッドハンマーアクション鍵盤TP/400WOODを採用したモデルとなっています。木製と樹脂のハイブリッド構造による鍵盤となっており、木の持つ自然な反発感や安定性に加え、樹脂の高い耐久性を両立させています。単に重い鍵盤というわけでなく、ピアニッシモでの繊細なコントロールから、フォルテッシモでの力強い打鍵まで、演奏者の意図を正確にMIDI情報として伝達する追従性の高さが特徴となっています。もちろんアフタータッチにも対応しており、グランドピアノに迫る非常にリアルな応答性と、シンセなども演奏しやすいバランスの鍵盤が魅力のモデルです。

SL88 MK2とSL73 MK2は、軽量性と堅牢性を兼ね備えたハンマーアクション鍵盤TP/110を搭載したモデル。こちらは定評あるプラスチック製鍵盤ですが、Studiologicが長年にわたって培ってきたハンマーアクション技術が投入されており、軽量なボディながらも確かな弾き心地とダイナミックな演奏表現を実現しています。連打性にも優れ、スタジオでの長時間の打ち込み作業においても疲れにくいタッチが魅力となっています。コストパフォーマンスに優れたモデルとなっており、SL88 MK2とSL73 MK2の違いは、鍵盤数だけとなっています。

SL88 MK2とSL73 MK2はTP/110、SL88 GT MK2はTP/400WOODを採用している

SL88 MK2の価格は88,000円。SL73 MK2の価格は85,800円と、価格差は2,200円となっています。この背景として、従来のSLシリーズでも73鍵モデルの需要が高かったことが関係しているとのこと。SL88 GT MK2とSL88 MK2の横幅は1260mmであり、それに対して横幅1025mmという73鍵モデルは、デスクに乘せて使うにはちょうどいいサイズ感となっています。また、ビンテージのエレクトリックピアノなどの多くが73鍵であったことから、音楽的にもこの鍵盤数に慣れ親しんでいるキーボーディストも多いため、そうした需要に応えるため展開されているようです。ユーザーとしても、選択肢が増えるのは嬉しいところですね。

無償の専用音源「Numa Player 2」とシームレスに連携するSL LINK機能

SL MK2シリーズでは新しく「SL LINK」という機能が搭載されたので、こちらについても紹介していきましょう。これは、Studiologicが無償で提供するPC/Mac用のソフトウェア音源「Numa Player 2」と、SL MK2本体を強力に連携させる機能となっています。Studiologicのハードウェアを持っていなくても、無料で使うことが可能なので、ダウンロードして、自分の音源ラインナップの1つとすることもできますよ。

誰でも無料でダウンロードできるNuma Player 2

そんなNuma Player 2は、StudiologicがNuma X Pianoで培ったサウンドモデリング技術や高品位なサンプルが投入され、「Acoustic Pianos」「Electric Pianos」「Keys」「Strings & Other」という4つのカテゴリに分けられた、即戦力となるサウンドライブラリを持っています。Numa Player 2単体でも4つのパートを持ち、それぞれに音色を割り当て、FX1、FX2、Master Delay、Master Reverbといった独立したエフェクトを設定することも可能。

通常、ハードウェアのMIDIキーボードでこうしたソフトウェア音源を詳細にコントロールしようとすると、DAW側でプラグインのパラメータ名を調べ、利用可能なMIDI CC番号をリストアップし、キーボード側でテンプレートを作成して、各ノブやスライダにCC番号をアサインし、保存する……といったプロセスが必要になったりします。

一方、SL MK2とNuma Player 2の組み合わせは、そのすべてを自動化され、SL MK2をPCにUSB接続し、DAWやスタンドアロンでNuma Player 2を立ち上げた状態で本体の「SL LINK」ボタンを押すと、SL MK2はNuma Player 2の専用コントロールサーフェスとして動作するモードに移行します。

SL MK2本体には4つのゾーンを管理する機能があり、それぞれゾーン1がオレンジ、2が黄色、3が緑、4が青と色分けされています。この色分けがNuma Player 2の4つのパートと完全に連動し、本体のカラーディスプレイにはNuma Player 2のパラメータがグラフィカルに表示されるのです。

Numa Player 2の情報がリアルタイムに反映され、直接コントロールすることも可能

たとえば、ゾーン1のオレンジでピアノ、ゾーン2の黄色でストリングスをレイヤさせた際、SL MK2側でゾーンボタンを押すだけで、対応する音源の音量バランスやフィルタのカットオフ/レゾナンス、ADSRエンベロープの各パラメータ、エフェクトのセンド量などを、本体のエンコーダを使って瞬時に調整できます。まるでSL MK2がNuma Player専用のハードウェア音源に変身したかのような、非常に直感的な操作感を実現しているのです。

なお、SL LINK機能は現状Numa Player 2のみの対応となっていますが、将来的には対応するソフトウェア音源が増える予定であるとのことです。

MIDI 2.0、オーディオIFなど現代の制作環境に対応

SL MK2シリーズは、現代の音楽制作環境に必要な最新の仕様にも対応しています。実際に試せていないので公式マニュアル情報となってしまいますが、MIDI 2.0については、従来の7bit、128段階よりもはるかに細かい16bitで65,536段階の高解像度ベロシティや、ノートごとに詳細な表現情報を送受信できるPer-Note Controlにも対応しているとのこと。現状、MIDI 2.0はmacOS、iOSなどが先行しており、Windowsは未対応。来年春ごろまでにはWindowsも対応するといわれており、それが整うと、各DAWでも一気にMIDI 2.0対応が広がりそうです。このMIDI 2.0が普及した際、SL MK2のポテンシャルを最大限に発揮できそうですね。

また、シンプルなオーディオインタフェース機能も内蔵しており、PCやタブレットのサウンドを、SL MK2本体のメインアウトであるLRの標準フォーン端子、ヘッドホン端子から出力することが可能です。たとえば、PC上でNuma Player 2を立ち上げた場合、その音声をSL MK2のヘッドホン端子から直接モニタリングすることができます。

リアに搭載された端子は、SL MK2シリーズ共通

さらに、DAWのマスターアウトをSL MK2に設定すれば、DAWの再生音と、演奏しているNuma Player 2のサウンドを、SL MK2からまとめて出力可能。別途オーディオインタフェースを用意しなくても、PCとヘッドホンさえあれば、すぐに演奏や制作を始められるようになっています。また、ライブでPCやiPadの音源を使うキーボーディストにとっても、キーボード本体からオーディオ出力ができるのは便利ですよね。また5ピンMIDI IN/OUT端子も装備しており、ハードウェアのMIDI音源モジュールなども問題なくコントロールできます。

Computer Plateという、PCを置くのに便利な専用スタンドも用意されている

さらに、ペダル入力がPedal 1、Pedal 2、Pedal 3の3系統用意されている点も、演奏表現を重視するStudiologicならでは。Pedal 1はダンパーとして機能するサステインペダル、Pedal 2はボリュームやワウなどに使用するエクスプレッションペダルとして使用できるほか、Pedal 3はフットスイッチとして、音色切り替えやロータリースピードのコントロール、DAWのパンチイン・アウト操作などにアサインすることが可能となっていますよ。

Studiologicの3本ペダルタイプのサスティンペダルSLP3-D

以上、Studiologicの新しいMIDIキーボード、SL MK2シリーズ3機種について紹介しました。Numa X Pianoの優れた操作性を継承しつつ、音源を省いてPCとの連携機能を充実させた、制作環境でもライブステージでも使えるモデルとなっていましたね。演奏のタッチにこだわる方はもちろんのこと、PCやソフトウェア音源とシームレスに連携するスタジオハブとして、オーディオインタフェース機能やMIDI 2.0といった将来性まで備えたキーボードを探している方は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
SL MK2シリーズ製品情報

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