スウェーデンのメーカー、Softube(ソフチューブ)が展開するConsole 1シリーズをご存じでしょうか。DAWのミックスを、アナログコンソールのような操作感で行える定番のチャンネルストリップ・コントローラで、そのシリーズに新しいラインナップとなるConsole 1 Compactが加わりました。海外では6月25日に発表され、国内でも発売が開始されています。価格は102,300円(税込)。上位モデルであるConsole 1 Channel Mk IIIのすべてのセクションを、2つの階層にまとめることで、横幅約半分の筐体に収めたのが最大のポイントとなっています。
タッチセンシティブ仕様の16基のノブと高解像度スクリーンを使い、EQやコンプレッサを手元で操作しながらミックスを進められるほか、ミックスに必要なエフェクトが一通り揃ったチャンネルストリップ・プラグイン、Core Mixing Suiteが付属し、UADやFabFilterなどサードパーティ製プラグインのコントロールにも対応。Console 1の機能をほぼそのままに、価格とサイズを抑えた、シリーズの入り口となるモデルです。本体はバスパワー駆動で、PCとはUSB-Cケーブル1本で接続できる手軽さも魅力。実際どんな機材なのか試してみたので、紹介していきましょう。
アナログコンソールの操作感をDAWに。Console 1シリーズとは
まずは、Console 1というシステムについて、簡単におさらいしておきましょう。Console 1は、Softubeが2014年に発売した、ハードウェアコントローラとソフトウェアの統合型ミキシングシステム。実機の回路を忠実に再現するモデリング技術で知られるSoftubeが、アナログコンソールの操作感をDAWに持ち込むために開発した機材となっています。
その仕組みは、DAWの各トラックに専用のチャンネルストリップ・プラグインをインサートし、そのパラメータを本体のノブと1対1で対応させるというもの。ゲインは常にゲイン、レシオは常にレシオと役割が固定されているので、本物のアナログ機材と同じ感覚で、迷わず操作することが可能。目でPC画面を追う必要がない分、耳をミックスに集中させたまま音作りを進められるのです。
初代の登場後、2017年にはUADプラグイン対応を強化したMk II、2019年にはフェーダー操作を担うConsole 1 Faderが登場し、2024年にConsole 1 Channel Mk III、2025年にConsole 1 Fader Mk IIIへと進化してきました。
この2機種については、以前「夢のアナログコンソールを自宅で体感できるSoftubeのConsole 1 Channel Mk IIIとConsole 1 Fader Mk III」という記事でも紹介しているので、ぜひそちらも参考にしてみてください。価格は、Console 1 Channel Mk IIIが178,200円(税込)、Console 1 Fader Mk IIIが214,500円(税込)です。
そこに加わった今回のConsole 1 Compactは、Console 1 Channel Mk IIIの機能をハーフサイズの筐体に収めたモデルで、102,300円(税込)という価格は、シリーズのハードウェアとして最も安いもの。このConsole 1 Compactに限らず、Softubeはここ数年、ハードウェアの展開に力を入れていて、今年4月には、ノブを回すだけで音作りができるコントロールサーフェス、Flow Studioを82,500円(税込)で発売したばかり。このFlow Studioについては「Softube Flow Studioレビュー、付属ソフトだけで30万円超の価値」という記事でも紹介しているので、こちらもぜひご覧ください。
コンパクトでも上位モデルに引けを取らないConsole 1 Compact
さて、Console 1 Compactがどんな機材なのかを見ていきましょう。まずはSoftube公式の動画をご覧いただくと、全体像がつかめると思います。
本体サイズは240×45×219mm、重量は1.05kg。Console 1 Channel Mk IIIが横幅435mm、1.8kgなので、横幅はおよそ半分、重量も6割程度に収まっています。
サイズは半分でも、質感は上位モデルそのままで、トップパネルにはノルディック・ナイト・スカイ仕上げと呼ばれるアルマイト加工アルミニウムを採用。手に取ってみると1.05kgという数字以上にしっかりとした剛性感があり、デスクに置いたときにテンションの上がる作りとなっています。
接続はUSB-Cポート1基のみで、2mのUSB-C to USB-Cケーブルが付属しています。バスパワー駆動でACアダプタも不要なので、デスクまわりの配線はケーブル1本で済みます。ちなみに同梱品は、このケーブルとVESAマウント用のネジ4本、そしてライセンスコード。上位モデルには20WのUSB-C電源やUSB A to Cケーブルも付いてきますが、Console 1 Compactはバスパワーで動くため、電源アダプタは同梱されていません。
そして操作の中心となるのが、タッチセンシティブ仕様の16基のAnalog Feelポテンショメーター。解像度は旧世代のConsole 1 Mk I/Mk IIと比べて10倍以上向上しており、実際に触ってみると適度な重みがあって、狙った値にピタッと止められる精度の高さです。Console 1 Channel Mk IIIやFlow Studioと同じ、高級なアウトボードを操作しているような手応えがありますよ。
パネルの左上には、EQカーブやコンプレッサの動作、各種パラメータを表示する高解像度スクリーンを配置。その右側には、操作するトラックを選ぶセレクターボタンが10個、横一列に並んでいます。搭載されているRGB LEDはスクリーンの表示と色が連動するので、今どのトラックの何を調整しているのかが、手元を見るだけで直感的に分かるようになっています。
設置方法も選べるようになっており、底面には100mmピッチのVESA対応M4ネジ穴があるので、モニターアームなどに取り付けることも可能。側面のM4ネジ穴に別売のSingle Unit Stand、17,600円(税込)を取り付ければ、角度を付けて設置することもできます。このSingle Unit Standは、Console 1 Channel Mk IIIやConsole 1 Fader Mk III、Flow Studioにも対応する共通のアクセサリとなっています。
なお仕様を表にまとめると、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
| ノブ | 16基の高解像度タッチセンシティブ Analog Feelポテンショメーター |
| スクリーン | 高解像度スクリーン×1 |
| セクション | Tape/Preamp、Filter、Shape(Dual)、 EQ(Dual)、Compressor(Dual)、 Drive/Character |
| DAWコントロール | ボリューム、パン、ソロ/ミュート、 6つのセンド、トラック選択 |
| 接続 | USB-C×1(バスパワー、2mケーブル付属) |
| 対応OS | macOS Sonoma 14/Sequoia 15/Tahoe 26、 Windows 10(64bit)/11 |
| プラグイン形式 | VST3、AU、AAX |
| サイズ/重量 | 240×45×219mm/1.05kg |
| 価格 | 102,300円(税込) |
27ノブの機能を16ノブで実現。2階層のレイヤー構成
先ほど16基のノブと紹介しましたが、Console 1 Channel Mk IIIのノブは27基。この11基の差を埋めているのが、2階層のレイヤー構成です。
Console 1の操作性の根幹にあるのは、1つのノブに1つの機能を固定で割り当てる、ノブ・パー・ファンクションという考え方。Console 1 Channel Mk IIIでは、Tape/Preamp、Filter、Shape、EQ、Compressor、Driveのすべてが1つの階層に並んでいます。どのパラメータにも即座に手が届く反面、その分ノブの数が必要になり、筐体も大きくなっていました。
対するConsole 1 Compactは、ボタンでイコライザとダイナミクスのレイヤーを切り替えることで、同じセクション構成をハーフサイズに収めています。各ノブの役割は階層内で固定されているので、切り替えるたびに割り当てが変わってしまう心配はありません。実際にレイヤーを行き来しながら操作してみましたが、RGB LEDの色とスクリーン表示が連動するため、今どちらの階層にいるのかで迷うことはありませんでした。
なおConsole 1 Channel Mk IIIにあって、Console 1 Compactにない機能は3つ。複数トラックをまとめて操作するGroupとAllモード、設定やセクションを別のトラックにコピーするCopy、そしてパラメータに触れると画面が自動で開くDisplay Autoです。加えて、USB-Cポートが1基のみのため、複数台を数珠つなぎにするデイジーチェーンにも対応していません。
逆にいえば、これら以外はChannelとほぼ同等。スクリーンは2基から1基に、RGB LEDも減ってはいるものの、ボリュームやパン、ソロ/ミュート、6つのセンド、トラック選択といったDAWの基本操作は、上位モデルと同様に本体から直接行えます。1台でトラックの音作りを完結させる使い方なら、十分すぎる内容だと思いますよ。
なお現在のConsole 1シリーズ3機種の違いは、以下の通りです。
| 項目 | Console 1 Compact | Console 1 Channel Mk III | Console 1 Fader Mk III |
| 役割 | チャンネルストリップ操作 | チャンネルストリップ操作 | フェーダー操作 |
| 操作子 | ノブ×16 | ノブ×27 | 100mmモーターフェーダー×10 |
| 階層 | 2階層 | 1階層 | - |
| スクリーン | 1基 | 2基 | 10基 |
| USB-Cポート | 1基 | 2基 | 2基 |
| 電源 | バスパワー | バスパワー/ 付属アダプタ |
外部電源 (付属USB-C PDアダプタ) |
| デイジーチェーン | 非対応 | 対応 | 対応(最大4台) |
| Group/Copy/All | なし | あり | - |
| 横幅/重量 | 240mm/1.05kg | 435mm/1.8kg | 435mm/2.08kg |
| 価格 | 102,300円(税込) | 178,200円(税込) | 214,500円(税込) |
表の右端にあるConsole 1 Fader Mk IIIは、100mmのモーターフェーダーを10本備えたフェーダー専用機。最大4台まで数珠つなぎにできるので、40チャンネル分のフェーダーを並べることも可能です。トラックの音作りはConsole 1 Compactで、フェーダー操作はConsole 1 Fader Mk IIIでと役割を分け、システムを少しずつ育てていくこともできるようになっています。
これ1本でミックスが完結。付属するCore Mixing Suite
続いて、ソフトウェア面を見ていきましょう。Console 1 Compactに付属するのは、上位モデルと同じCore Mixing Suiteというプラグイン。テープやプリアンプからEQ、コンプレッサ、ドライブまで、ミックスに必要な処理を1つにまとめたチャンネルストリップで、各トラックにインサートしていけば、これだけでミックスを一通り仕上げられる優秀なソフトです。
その中身を順に見ていくと、まず入り口のテープ/プリアンプで選べるのが、テープらしい質感を加えるCore Suite Tape、高域に張りを出すCore Suite Modern Preamp、丸みのあるトーンになるCore Suite Vintage Preampの3つ。
続くフィルターは、低域を削るローカットと、高域を削るハイカットの2つ。どれくらい急に削るかを示すスロープは、6、12、18、24、48dB/オクターブから選べます。
シェイプに用意されているのは3種類。音の立ち上がりと余韻を調整するトランジェントシェイパーと、小さな音を切るゲートを持つCore Suite Gate & Shape、モノラルで再生しても位相が破綻しないCore Suite Panner、そして低域と高域を別々に処理するCore Suite Dual Dynamicsです。
EQは、Core Suite Vintage Equalizerと、Core Suite Modern Equalizerの2つに加え、2バンドと4バンドのダイナミックEQも搭載しているので、特定の帯域が飛び出したときだけ抑える、といった処理もこの中で完結します。
コンプレッサはFET、Opto、Busの3つ。中身は、Softubeの主力プラグインそのもので、FETはFET Compressor Mk II、OptoはOPTO Compressor、BusはBus Processorがベースになっており、ドライブもBus ProcessorのEnhanced Drive由来のものとなっています。
最後のドライブには、Core Suite DriveとCharacterコントロールを搭載しています。
シェイプとEQ、コンプレッサはDual仕様で、それぞれ2基ずつ使えるのもポイント。たとえばFETとOptoのコンプレッサを重ねてボーカル用のチェーンを組んだり、補正用と色付け用でEQを分けたりできるのは、嬉しいところですね。
ちなみにConsole 1 Compactが備える処理セクションは、全部で9つ。このうち順序を入れ替えられるのは、シェイプ2つ、EQ2つ、コンプレッサ2つの中央6セクション。シェイプとコンプレッサは外部サイドチェーン入力にも対応しており、フィルターをメインの信号ではなくサイドチェーン側に掛けるFilters To機能まで備えています。動作も軽く、レイテンシは44.1kHz/48kHzで4サンプル。オフになっているセクションはCPUを消費しない設計なので、全トラックにインサートしても負荷を抑えて使うことが可能です。
セットアップは簡単。Console 1 Compactの使い方
実際に使い始めるまでの流れとしては、ソフトウェア一式はSoftube Centralというインストーラからまとめて導入できるのでそこから入手し、あとは本体をPCにつなぐだけ。本体のファームウェアもここで自動的に更新されるので、つまずくところはないと思います。ただ1つだけ覚えておきたいのが、一緒にインストールされるSoftube On-Screen Displayというアプリ。本体とDAW、プラグインの間の通信を担っているため、Console 1を使っている間は常に起動させておく必要があります。
DAW側の準備は、各トラックにCore Mixing Suiteをインサートしていくだけ。対応DAWはLogic Pro、Ableton Live、Cubase、Pro Tools、Fender Studio Pro、LUNA、Reaper、FL Studio、Nuendo、Bitwig Studio、Digital Performer、Cakewalk、Samplitudeなどで、複雑なマッピング作業は一切不要です。ここでのポイントは、各トラックの最後のインサートに、1トラックにつき1つだけ挿すこと。Console 1はDAW上のトラック番号を識別情報として使っているためで、1つのトラックに複数挿すと、予期せぬ動作の原因になります。
今回はFender Studio Pro 8で試してみましたが、ソフトウェアをインストールして接続するだけで、特別な設定なしにすぐコントロールできました。各トラックへCore Mixing Suiteをインサートしていくと本体のLEDが点灯し、トラックを選んでは手元のノブで音を作っていく、コンソールさながらの流れがすぐにできあがります。なおDAWごとに連携できる機能へ若干の違いがあるので、使っているDAWでどこまで本体から操作できるのかは、事前に確認しておくといいですね。
ノブとボタンの割り当て。Console 1 Compactの操作系
続いて、本体の操作系についても見ていきましょう。Console 1 Compactのパネルは、上段のトラックセレクター、2段目のセクションコントロール、そして左・中央・右の3つのセクションという構成。上段に並ぶ12個のボタンは、左の10個がトラックセレクター、右の2個がPage Up/Downで、トラックが10本を超えるセッションでは、このPageボタンでバンクを切り替えていきます。2段目の11個のボタンは、テープ/プリアンプ、フィルター、シェイプ1と2、EQ1と2、コンプレッサ1と2、ドライブの各セクションのオン/オフと、表示モードの切り替え、設定メニューの呼び出しです。
16基のノブの内訳は、左セクションのInput Gain、中央セクションの12基、そして右セクションのSend、Pan、Volume。このうち中央の12基は3つずつ4列に並んでおり、左セクションにあるEqualizerボタンとDynamicsボタンで役割が切り替わります。Equalizerモードでは、各列が上からQ、周波数、ゲインの担当。中央セクションにある2つのボタンで、両端のバンドをカット、シェルフ、ベルへ切り替えられます。
一方のDynamicsモードでは、左上の2基がフィルター、右上の2基がドライブ、左下の4基がシェイプ、右下の4基がコンプレッサをコントロールする配置。この2つのモードを行き来しながら音を作っていくのが、Console 1 Compactの基本の使い方となっています。
上段のトラックセレクターは、Shiftボタンとの組み合わせでも機能します。1番でUndo、2番でRedo、3〜6番でA〜Dの設定切り替え、10番でConsole 1のバイパス。1つのトラックにつきA〜Dの4スロットが用意されているので、追い込み方を変えた2案を行き来して聴き比べる、といった作業も手元で完結します。
また本体のスクリーンは、最後に触ったセクションを映すAdaptiveのほか、トラック名、VUメーター、ゲインリダクション、波形、そしてシェイプやEQ、コンプレッサの固定表示と、内容を好みに応じて切り替えられます。よく使うトラックをFavoritesに登録して絞り込んだり、プリセットの保存や呼び出しを本体から行ったりすることもできますよ。
一方、PC側のOn-Screen Displayでは、画面の下部にメーターブリッジが表示されます。ここに並ぶのは、トラックごとのソロ/ミュート、出力メーター、ゲインリダクションメーター、出力ボリューム、そしてトラック番号と名前。本体のスクリーンで手元のパラメータを、画面でミックス全体を確認する、という使い分けができるようになっています。
UADも、FabFilterも。100種類を超える対応プラグイン
そして、Console 1 Compactの魅力は付属ソフトにとどまりません。Universal AudioのUADxおよびUAD-2、FabFilter、Softubeのプラグインだけで、対応するものは100種類以上。さらにPlugin AllianceやBrainworxの製品にも対応しており、セクションごとに用意されたリストから選んで、中身を差し替えられるのです。
たとえばEQのセクションに対応しているのは、FabFilter Pro-Q 4やUADx Pultec EQP-1A、Brainworxのbx_console SSL 4000 Eなど。コンプレッサのセクションはUAD-2 Teletronix LA-2A SilverやUADx 1176 LN Rev E、UADx Fairchild 670、テープ/プリアンプのセクションはUADx Studer A800 Tape Recorderといった名機に対応しています。ブリティッシュコンソールのEQにTube-Tech CL 1Bのコンプレッサを組み合わせるといった、自分専用のチャンネルストリップを組み上げていけるのは、Console 1を使う大きな楽しみだと思います。
また別売のConsole 1用チャンネルストリップも用意されています。SSL SL 4000 E-SeriesやSSL XL 9000 K-Series、British Class A、American Class A、Chandler Limited Zener-Bender、Summit Audio Grand Channel、Weiss Gambit Series、Empirical Labs Trak Pakなど、いずれも名機をモデリングしたもの。往年のコンソールのサウンドを手元のノブで直接操作できるのが、Console 1ならではの非常に面白いところです。
以上、SoftubeのConsole 1 Compactを紹介しました。Channel Mk IIIの機能を2つの階層に整理し、横幅240mmの筐体に収めたモデルでした。実際に触れてみても操作感は上位モデルそのままで、Console 1のエコシステムを102,300円(税込)から導入できるのは大きな魅力。スペースや予算からシリーズを見送っていた方は、ぜひこの機会にチェックしてみてはいかがでしょうか?
【関連情報】
Console 1 Compact製品情報
【価格チェック&購入】
◎Rock oN ⇒ Console 1 Compact
◎宮地楽器 ⇒ Console 1 Compact
◎オタイレコード ⇒ Console 1 Compact
◎Amazon ⇒ Console 1 Compact
◎サウンドハウス ⇒ Console 1 Compact


























コメント