DTMをやっていると、避けては通れないのがシンセサイザです。VSTインストゥルメントやAudioUnitsなどのプラグインとして、数多くのソフトシンセがありますし、iPad/iPhone上でも優秀なアプリがいっぱいあるので、さまざまな音を出すことができます。でも、多くの人はプリセットを選ぶだけで終わってしまっているのではないでしょうか?やはり、それはもったいないことだな、と思います。

シンセっていろいろな種類があって、そんないっぱいの使い方を覚えきれない」という人もいるかもしれません。とはいえ、実はほぼすべてのシンセサイザの基本となっている考え方は古くからあるアナログシンセなので、その基本を身につけておけば、最新のシンセサイザの活用にも大きく役立てることができるのです。そんなシンセサイザの勉強にも役立つ無料のiPad/iPhone用のアナログシンセ・アプリ、Modular Synthesizerというものを紹介してみたいと思います。
 

iPad/iPhoneで使える無料のモジュラー型アナログシンセサイザ、Molular Syntheizer
最近、KORGのMS-20 minivolca keys、またArturiaのMiniBruteMicroBrute、さらにnovationのBass Station2……といったものが登場し、まさにアナログシンセブームになっているので、なんとなく気になっている人もいると思います。これらのアナログシンセは比較的安いものが中心なだけに、構造も単純で、シンセサイザの勉強をするのに最適です。

ただ、そうはいっても、いきなり何万円もの買い物をするのは怖いという人もいるはず。それならばiPadアプリを活用するというのは手だと思います。以前にも紹介したI am SynthTANSU Synthなどもいいと思いますが、今回紹介するModular Synthesizerはなんといってもタダというのが嬉しいところです。タダとはいえ、モジュールを組み合わせていくタイプのシンセサイザで、かなりの高機能。シンセサイザマニアにとっても、相当楽しめるアプリなのです。

なぜタダなのかというと、最近流行りのアプリ内課金という形になっており、有料のモジュールを使うためにはお金を払わなくはならない形になっているんですね。

というわけで、どんなものかさっそく使ってみました。起動すると、白いモジュラーシンセの画面が起動してきます。冨田勲先生や松武秀樹さんがいうところの、「タンス」みたいなヤツですね。


iPhoneだと画面はかなり小さめな感じだがiPadと同じように使うことができる
 
下に鍵盤があるので、これをタップしてみると、演奏することができますね。が、出るのは単音のみで、和音を出すことはできません。そう、これこそ元祖アナログシンセなわけです。

パッと見、たくさんのツマミが並んでいて、赤いコードがブラブラとぶら下がっていているので、「さっぱり分からない!」という人も多いとは思うけれど、アナログシンセとは、こういうものなんです。

画面一番上をタップすると、プリセットの一覧が表示されるので、ここから適当に選択してみると、画面に並ぶモジュールや、モジュール間を接続するケーブルの配線が変わるとともに、出てくる音も大きく変わるのが確認できるはずです。


そうはいっても、まずはプリセットから音色を選択する 

鍵盤を大きく表示したければ、ピンチアウト操作で拡大できるし、画面を横にすれば、さらに大きく表示することも可能です。もちろん、各モジュールを大きく表示することもできるし、それぞれのモジュールにあるツマミを調整することもできますよ。


横にして画面を拡大すれば、キーボードも弾きやすくなる 

ここに並ぶモジュール、よく見てみると、赤い「STORE」という文字が書かれたリボンが付いているものがありますが、これは有料版のモジュールを意味しています。有料なために、ツマミやボタンを操作したり、ケーブルの取り付け、取り外し作業は一切できませんが、しっかりモジュールとして機能はしているようですよ。



4つのモジュールでできているシンプルな音源、Synth PWMを選んでみた
 
ではプリセットの中から、とてもシンプルなものとして「Synth PWM」というものを選んでみました。すると4つのモジュールだけで成立している画面が出てきますが、たとえば、LFO-01のRATEを上げてみると、ちょっと妙なビブラートがかかったような音になります。同じモジュールにあるWAVEを切り替えてみると、これまた変わった感じになりますよね。


LFOをいじってみると、ビブラートが変化するのが分かる 

ここでCoreMIDI対応のMIDIキーボードを接続してみたところ、ここから演奏することができますよ。IK MultimediaのiRig KEYS、LINE6のMOBILE KEYS25を接続してバッチリ動いたので、どれでも大丈夫そうですね。


iRig Keysを接続してみたところ、演奏できるので、かなり使いやすくなる 

では試しにVCA-01のOUT端子からOUTPUTの端子へ接続されているケーブルを断線させてみましょう。今度は音が出なくなりますよね。これは音の出力が切ってしまったからであり、このようにシンセサイザの音作りにおいて、配線が大きな意味を持つことも分かります。


VCAのOUTの端子をタップして、ケーブル外すと音が出なくなる

ここで画面右上のボタンを押してみましょう。するとモジュールの一覧が表示されます。「¥100」となっているのは、有料のモジュールであり、1つ1つアプリ内課金という形で購入することができます。数えてみると無料のモジュールが16個(ブランクパネル2つを含む)、有料のモジュールが15個あります。
 

画面右上のボタンをタップすると、モジュールの一覧が表示される 

見てみると、無料のものでもVCO、VCF、EG、VCA、LFOと一通り揃っているので、有料のモジュールを買わなくても、結構なことができそうですよ。ちなみに有料のモジュールすべて購入すると1,500円になるわけですが、一番上にあるMODULE BUNDLEというものを購入すれば、すべてのモジュール、さらには今後追加されるであろう新しいモジュールも含め700円で購入することができるので、複数買うならこちらがお得のようですね。

まあ、ここではとりあえず何も買わずに無料のモジュールをラックに組み込んでみましょう。たとえばVCF-01というものを追加し、断線させたVCA-01の出力を突っ込み、VCF-01のOUTをOUTPUTのLに接続すると、どうですか?FREQやRESを動かすと音色が大きく変わることが確認できると思います。まあ、普通VCFはVCAの手前に接続するものですが、こんなつなぎ方をすることで、VCFの働きがある程度実感できると思います。

また、前述のとおり、プリセット音色には有料のモジュールが使われているわけですが、これら有料モジュールそのものは、いじれなくてもその接続先を切り替えることは可能なので、ミキサーやスプリッターなどを噛ませていくことで、お金を払わなくても結構遊ぶことができそうですよ。また、演奏した結果をオーディオとしてレコーディングすることも可能で、それをAudio Copyでほかのアプリに受け渡したり、メールで送ったり、Sound CloudにUPする機能なども搭載しているようです。


演奏結果をオーディオとしてレコーディングする機能も装備している 

と、説明してもアナログシンセを知らない人にとっては、なかなか理解しづらいところだと思います。が、本やWebのシンセサイザ入門のようなものを見ながら試してみると、いろいろ見えてくると思うし、それなりにアナログシンセについての知識がある方なら、かなり遊べるソフトだと思うので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?




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