女子中高生が熱狂するnanaのレコーディングセミナーに潜入してみた!

先日、東京・多摩センターにあるティアック本社内にあるTASCAMレコーディングスタジオで、ちょっと面白いセミナーが開催されました。音楽投稿アプリのnanaTASCAMがコラボで行った「いい音レコーディング体験しよう!」というもので、少人数参加で行われる約1時間半の体験型講座。

4月にも同様のセミナーが行われており、今回はそのパート2とのこと。2日間に2回ずつ、計4回のセミナーが行われたのですが、私が取材に行ったのは1回目で、ちょうど夏休み期間ということもあり、平日の日中でありながら、女子中学生や女子大生、主婦など5人が参加して、真剣にレコーディングに取り組んでいました。いわゆるDTMユーザーとは明らかに異なる層の人たちだけど、「自分の歌や演奏を、よりいい音でレコーディングして多くの人に聴いてもらいたい」という意味ではまったく同じ。どんなセミナーだったのかをレポートしてみたいと思います。

nana×TASCAM いい音レコーディング体験セミナーでボーカルレコーディングにチャレンジ

セミナーのレポートの前に、みなさんはnanaというアプリをご存じですか?これは、先日ユーザー数が200万を突破したという、すごい勢いで広まっている日本発の音楽投稿アプリ。nana musicというベンチャー企業が作ったアプリで、そのユーザーの大半は女子中高生という点も面白いところ。またインドネシアやアメリカなど海外ユーザーが30%になっているというのも大きな注目ポイントとなっています。


今回のセミナーでも女子中学生から主婦まで5人が参加

nanaの詳細については、先日、AV Watchの連載で「スマホで歌ってコラボ&シェアする“nana”。人気の理由と技術の裏側」という記事を書いたので、そちらも参照いただきたいのですが、iOSでもAndroidでも利用できるアプリであり、とにかく簡単に歌ったり演奏して、すぐに投稿できるのが大きな特徴。日々の投稿数はなんと5万曲というのですから、nanaの勢いの凄さが感じられますよね。

ある意味、ニコニコ動画での「歌ってみた」、「演奏してみた」のアプリ版というような感じですが、その投稿数、再生数は今やnanaが圧倒的。また、nanaから生まれた楽曲がCD化されたり、カラオケ曲となってヒットチャートに上がるなどという点でも、注目を集めるようになってきています。


nanaアプリのレコーディング画面 

これだけの大ヒットとなっている大きな要因は、スマホ1つで使えて、操作が簡単という点。たとえばある楽曲を聴いて気に入ったら、そこにハモリを入れるとか、パーカッションを加えるなど、簡単に重ね録りする形で新作品を作って投稿できちゃうんです。元となる曲を選んだ上で「コラボ」というボタンを押すと、即、レコーディングスタジオのような画面が出てきます。で録音ボタンを押せば、もうレコーディングがスタートするんですよ。

ボーカルでも、ギターの演奏でもスマホのマイクでそのままレコーディングし、最後にミックスバランスを調整したら、もうこれで投稿できちゃうんですね。もちろん、失敗したら何度でも繰り返すことが可能ですが、この簡単さだからこそ、女子中高生の間で大ヒットになっているわけですね。

今回のセミナーにもnanaを始めて半年という中学3年生が1人でやってきていた
もっとも、DTMユーザーから見れば、「スマホのマイクでいいのか?」、「エフェクトはどうするんだ?」、「重ね録りだと、どんどん音質劣化するのでは…?」、などなど気になることもいっぱいだと思います。でも、とにかく難しさを排除し、誰でも簡単に使えるようにしようというコンセプトで開発された結果、これだけの大ヒットに繋がっているわけですから、従来の常識にとらわれすげてはいけないのかもしれません。。

とはいえ、ユーザーである女子中高生から見れば、「少しでもいい声でレコーディングしたい」という思いも強いのも事実。その結果、TASCAMのセミナーを知って、ここに参加しているんですね。話を聞くと、茨城県や長野県など、結構遠方からも来ているとのことだったので、みなさんかなり本気ですよ。


DTMステーションでもお馴染みの小泉貴裕さんがセミナーの講師 

さて、そのセミナーで講師を務めたのは、DTMステーションでも何度も登場いただいているTASCAMの小泉貴裕さん。小泉さん、前職はレコーディングエンジニアということだけあって、ボーカルの録音テクニックにおいては、プロ中のプロ。

iPhoneマイクでの正しい録音方法などを説明

まず見せてくれたのはiPhoneを使った場合のボーカルの録り方について。マイクの場所を意識して歌うことで音質を変えられるというレクチャーに、参加者も驚いていたようです。そうマイクに近づくことで低い音が録音できるようになり、口がマイクから遠くなると、高域中心になるので、録った感じが大きく変わるんですよね。


音質を劇的に向上させるためには外付けマイクを利用するのが必要。使ったのはTASCAMのコンデンサマイク、TM-80 

ただ、iPhone内蔵のマイクは、そもそも口径も小さく、音質的にも限界があります。かといって、iPhone付属のヘッドフォン/マイクは、本体内蔵のものよりも劣るのでお勧めしません。この音質を飛躍的に向上させるためには、マイクそのものを別のものに置き換えることをお勧めします」と小泉さん。

iPhoneともAndroidとも接続可能なiXZ
ただ、iPhoneに直接レコーディング用のマイクを接続できません。そこで登場してきたのが2つのTASCAM製品です。1つ目は、いまバカ売れ状態で、やや品不足になっているiXZという機材。DTMステーションでも5年前に「AmpliTubeもバッチリ使えるiPad/iPhone用マイク・ギターI/F、TASCAM iXZ」という記事で紹介しているので、かなりのロングセラー製品といえるわけですが、いまnanaで注目を集めるようになっているんですね。

簡単に言えば、iPhoneのヘッドホン端子に接続することで、一般的なマイクやギターが利用できるようになるというもの。内部に単3電池2本を装着することで、コンデンサマイクを使うことも可能になるんですね。ある意味、完全なアナログ機器なわけですが、アナログだからこそ、iPhone/iPadに限らず、Androidでも利用することができるのです。


iPhoneの下にあるのがiXR。iPhoneの充電ケーブルで直接接続できてしまう

もう一つの機材はオーディオインターフェイスのiXR。これもDTMステーションの記事「専用ケーブルは不要。充電用ケーブルでiPadと接続できる薄型オーディオインターフェイス、TASCAM iXRが便利」で紹介しているのですが、こちらはデジタルでiPhone/iPadと接続できることもあり、より高音質でレコーディングすることが可能になります。


マイクと口の距離は20cm程度を目安に調整していく 

といった機材紹介の後、参加された5人のみなさんの作品作りに。ここではTASCAMのコンデンサマイク、TM-80を使うとともに、ポップガードを使ってのボーカルレコーディングにチャレンジ。小泉さんは「コンデンサマイクとの距離は20cm程度を目安に行ってください」と指導しつつ、最適なポジションに設定して、レコーディングしていきます。みなさん、人前でのレコーディングに緊張した表情ではあったものの、上手に歌っていきますね。そして、スマホ内蔵マイクでのレコーディング結果とのあまりもの大きな違いに、一様に驚いていたのが印象的でした。

歌い方や声の音量によっても、マイクとの距離、ポップガードの位置などを微妙に調整
もっとも、人によって、歌い方がまったく違うのも面白いところ。腹式呼吸で、スタジオの外まで聴こえるのでは…という音量で歌う人もいれば、本当にささやくような声で歌う人など、いろいろ。それによって、小泉さんは、マイクの位置もいろいろと変えていきます。「この歌声はヤバイですね!普通は20cmだけど、この声だったら10cmくらいの距離にすると、よりそれっぽく録れますよ」とセッティング。本人も「これまでiPhoneを近づけて歌っていたんですが、どうしても息が吹きかかって、キレイに録れませんでした。これ、すごいですね」と大感激のようです。

ドラムにマイク3本を立ててセッティング

今回参加した5人の中で唯一の男性はボーカルではなく、ドラム。普段はリハスタに行ってリニアPCMレコーダーで録ったものを自宅でnanaに流し込んでいるのだそうですが、ここでは小泉さんが3本のマイクを立てての直接レコーディングに挑戦です。具体的にはキック用、スネア用、さらにトップから狙う全体録り用の3つのマイクで、それらをミキサーを経由してnanaアプリへ。ここでも、前述のiXRを使ってレコーディングしていましたが、キレイに録れていますね。


ドラムプレイをそのままnanaへレコーディング

ボーカルも、ドラムも、やはりiPhoneマイクで録音するのとは、まったく次元の異なる音質で録れるのが、今回のセミナーでも実証され、みなさん目を輝かせていました。やはり1日5万曲がUPされるnanaの中で、いかに注目される作品をUPしていくかは重要なポイントですからね。

さらに、このセミナーならではの特典として、TASCAMのボーカル処理用プロセッサ、TA-1VPという機材を使った「ケロケロボイス」でのレコーディングも行われました。以下のリンクがそれなのですが、TA-1VPにはAntaresAuto-Tune Evoという機能が搭載されているため、まさにPerfumeのような歌声が実現できるんですよね。

http://nana-music.com/sounds/01a6206e/


セミナー終了後に、みんなで記念撮影

なお最後にTASCAMからの大判振る舞いでiXZが参加者にプレゼントされ、参加者は大喜び。気になる方は、今後も実施予定だそうですので、TASCAMとnana musicのホームページに注目しましょう。

このセミナーに参加できなかった方も、ぜひ高品位な音でのnanaへの投稿にチャレンジしてみてはいかがですか?

【当日使った機材】
マイク:TASCAM TM-80
iPhone/Android両用インターフェイス:TASCAM iXZ
iPhone/iPad用オーディオインターフェイス:TASCAM iXR
ボーカル処理用プロセッサ:TASCAM TA-1VP

【価格チェック】
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【関連サイト】
TASCAMトップページ
nana musicトップページ

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Commentsこの記事についたコメント

4件のコメント
  • ねむねむ☆

    その後、この製品に小泉さんは付いてこないんですか?との問い合わせが多数(笑)
    今、アマチュアに最も訴求力があるのはレコーディングエンジニアかもしれませんね。
    TASCAM助かる!がnanaでの流行語になる日も近いかも!?

    2016年8月13日 3:51 PM
  • きのこ

    いくらプロモーションとはいえ長野から来てTM80でいいおと!って完全に常軌を逸してますね、、、交通費で何倍も良いマイク買えたのに

    2016年8月14日 4:02 AM
  • 藤本健

    きのこさん
    どうすれば、いい音になるのかが分かっている人であれば、わざわざ遠くまでセミナーに来る必要はないでしょう。そもそも、どんなマイクがあるのか、マイクに音の違いがあるのかも知らない子たちですから。別にモノを買いに来たわけではなく、どうすればいい音にできるのか、というヒントを知りに来た子たちですから、このセミナーで得た知識は大きな収穫だったと思いますよ。
    個人的には、こうしたセミナーをキッカケに、DTMの世界にまで興味を持ってくれるようになると嬉しいな、と。

    2016年8月14日 10:19 AM
  • ほりい

    ねえねえ、これが女子高生のリアル外見やろw jkjk騒ぐの頭おかしいw 女子高生が多いわけね、通りで・・・糞下手いやつばっかやわ。

    2017年10月9日 12:37 AM

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