DTMで和風の楽曲を制作する際、「ここに日本らしい歌声が欲しい」と思う場面が出てくると思います。VOCALOIDやSynthesizer Vなどの歌声合成技術は年々進化を遂げていますが、これらで生成してトラックに入れてみても、どうもしっくりこない、これじゃない、というケースが多いのではないでしょうか?
和歌が持つような繊細な息遣いや揺らぎ、日本語独特の情緒を自然に表現しようとすると、依然として難しさを感じることも少なくありません。そうした悩みを解消する音源が、アメリカのSoundironと日本のクリプトン・フューチャー・メディアのSONICWIREによる共同開発によって誕生した「Voice of the Sun – Sunrise」という製品です(通常価格:17,314円 ※ドル円レートによって価格は日々変動します)。百人一首をテーマに、日本人シンガーの生の歌声をたっぷりと収録したKONTAKT音源で、和の情緒を素直に曲へ溶け込ませたいDTMerに向けた、まさに唯一無二の製品といえそうですが、どんなものなの紹介してみましょう。なお、今回の記事掲載に合わせ3月27日~4月2日までの1週間、20%オフのセールが開催されているので、ぜひチェックしてみてください。
Soundironが生み出した和の音源
Soundironは、アメリカ西海岸に拠点を置くサンプリング音源デベロッパーです。ストリングスやギター、重厚なクワイアといった王道のKONTAKT音源をはじめ、デスボイスや「おなら」など、他ではなかなかお目にかかれないユニークな音源の数々を世に送り出してきたことでも知られています。遊び心と確かな技術を併せ持つメーカーといえるでしょう。そのSoundironが今回挑戦したのが、日本の百人一首をテーマにした和風ボーカル音源です。
まずはどんな雰囲気なのか以下のYouTubeのトレーラー動画をご覧ください。
また、このソフトを使った楽曲でもがあるので、こちらもちょっと聴いてみてください。
いかがですか?だいぶいい感じであることが分かると思います。
SONICWIREとの共同開発が生まれた経緯
海外のメーカーが日本の伝統文化を扱うとなると、言葉のニュアンスや表現が正しく再現されるかどうか、気になるところだと思います。でも、その点は大丈夫。なぜならこの製品は「初音ミク」をはじめとするバーチャルシンガー製品で知られるクリプトン・フューチャー・メディアのSONICWIREチームが開発に協力した、ホンモノの日本語音源だからです。
開発のきっかけは、SONICWIREとSoundironの担当者が日頃からやりとりを重ねる中で、「日本や和をテーマにした音源を作りたい」という話が持ち上がったこと、だったとのこと。当時Soundironがリリースを進めていたボーカルオンラインシリーズとの親和性もあり、ボーカル音源から手をつけることになったといいます。また、市場に日本語ボーカルのライブラリが少ないという空白を埋めたいという思いも、プロジェクトの後押しになったそうです。
役割分担としては、サンプルの編集・nkiへのスクリプティングといったエンジニアリング面はSoundironが担当し、企画の立案・ボーカリストの選定・スタジオの確保・収録費用の一部負担などはSONICWIRE側が受け持ちました。
百人一首というテーマを採用した理由
Soundironのボーカルライブラリでは、シンガーが何らかのフレーズを歌う形で収録されることが多く、日本語ライブラリの場合は何を歌わせるかが課題になりました。アニメ声優的な路線ではなく伝統的なコンテンツを、かつ著作権上もクリアな素材をということで、ちょうどよい落としどころとして選ばれたのが百人一首でした。チャレンジングな試みではあるものの、日本語そのものの豊かな音の響きとフレーズをキャプチャーするという製品のコンセプトと、百人一首の古語はぴったりと合致しています。
そしてシンガーには日本人のN-Ioriさんを起用しています。プロフェッショナルなシンガーのテクニカルなアーティキュレーションを追い求めるのではなく、日本語そのものの言語的な個性と自然な表現をキャプチャーすることを重視した選定でした。
その歌声は光のように揺らめき、聴く者を包み込んだかと思えば、時には鋭く心を射抜きます。強さと繊細さが同居する圧倒的な歌唱力を軸に、希望と痛み、静寂と衝動が交差する世界観を「音」へと昇華。彼女の歌声は、単なる「癒やし」に留まらず、力強い「生きる意志」を体現しています。
収録は、音楽プロデューサーの浅田祐介さんの都内にあるスタジオで行われました。浅田さんはプロデューサーとして製品にクレジットされており、Soundironの本国担当者とオンラインでつないだ状態でディレクションを担当。浅田さんが英語でSoundironのエンジニアと直接やりとりしながら、現場のボーカリストへのディレクションと収録作業を進めるという体制が取られ、収録は数時間ずつ計3日間かけて行われたそうです。
KONTAKTのフル版を必須とする音源
さて、このソフトはKONTAKT音源なのですが、KONTAKTのフル版が必須でKONTAKT Playerでは動作しないのが注意点です。また、その関係もあり、Native Accessからインストールするのではなく、Soundrionサイトからインストーラをダウンロードして、インストールするタイプであり、インストールされたnkiファイルを手動でKONTAKTにドラッグ&ドロップすることで、使える形になります。
容量は約2GB。WAVサンプルはアンロック状態(24bit/48kHz)で提供されるため、DAW上で直接活用することもできます。
母音レガートで驚くほど滑らかな歌声を
収録の核となるのが、母音によるTrue Legato(トゥルーレガート)です。音と音のつながりを滑らかにするTrue Legato方式を採用しているため、キーボードで弾くだけで自然な流れの歌声が得られます。レガートにはさまざまなバリエーションが収録されており、表現の幅を広げられます。
また、抑揚をつけるために役立つのが、3種類のダイナミクス表現機能「エクスプレッションズ」です。単なるループ素材ではできない、息遣いのある表現が可能になっています。
3つのプレイバックモードで制作ワークフローに合わせて使いこなす
使い勝手を大きく左右するのがプレイバックモードの切り替えです。
フレーズシーケンサーで新しいメロディーを構築
この製品の最大の特徴の一つが、収録フレーズの多さです。百人一首から抜粋された日本語フレーズがたっぷりと用意されており、対応するキーを押すだけで瞬時に切り替えられます。画面には歌詞がリアルタイムで表示されるので、制作中に和歌の世界観に自然と引き込まれていくような感覚があります。
さらに、フレーズをそのまま使うだけでなく、オリジナルの流れを作り出せる「フレーズシーケンサー」も搭載されています。各スロットにお気に入りのフレーズをアサインし、ステップごとにピッチを変えたり再生範囲をカスタマイズしたりすることで、まるで新しいメロディーを組み立てるような感覚で使えます。再生方向を「ランダム」にすれば、意図しない面白い展開が生まれることもあります。また、再生範囲を極端に狭めてヒップホップやEDM的なチョップ使いをしてみると、生の質感が残った状態でまったく異なる表情を見せてくれます。
視覚的に音響空間を操るスペースタブとエフェクト
音作りの面では、Soundiron製品でおなじみの「スペースタブ」が利用できます。アイコンをマウスでドラッグするだけで、ステージ上の立ち位置や距離感を視覚的に調整できるため、ミックスが苦手な方にも扱いやすい設計です。
さらに27種類のエフェクトを内蔵しており、LFO・フィルター・アルペジエーターなどを活用すれば、人間の声をシンセのように加工することも可能です。現代的な和風フューチャーベースやエレクトロニカ的なサウンドを作るのにも打ってつけのツールといえます。
歌声合成とはどう違う?どう使い分けるか
「VOCALOIDやSynthesizer Vで歌わせればいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。両者の違いはどこにあるのでしょうか。
歌声合成ソフトは、学習モデルやAIによって音声を生成します。音程や歌詞を自由に入力でき、楽曲に合わせた歌声を柔軟に作れるのが強みです。一方、Voice of the Sun – Sunriseはシンガーが実際に歌った声をそのまま収録しており、そこにはシンガー自身の個性と呼吸がそのまま刻まれています。
Soundironのボーカルライブラリシリーズでよく語られることですが、収録されたフレーズを次々と聴いていくうちに、そこから楽曲のアイデアやインスピレーションを得て制作へフィードバックするという使い方が好評を得ています。「歌わせる」というより「フレーズから発想を得る」という姿勢で向き合うと、この音源の魅力がより深く味わえます。和風の楽曲制作に取り組んでいる方はもちろん、普段使っているボーカル音源に新鮮さを求めている方にもぜひ試していただきたい一本です。
なお、冒頭でも紹介した通り、3月27日~4月2日、20%オフのセールとなっているので、この機会にぜひチェックしてみてください。
【関連情報】
Voice of the Sun – Sunrise製品情報
【価格チェック&購入】
◎SONICWIRE ⇒ Voice of the Sun – Sunrise








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