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耳障りな音だけを自動で狙い撃ち。通すだけでボーカルや楽器がプロの仕上がりに、誰でも簡単に使えるoeksound soothe3

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ボーカルやアコースティックギターなどを録音すると、特定の帯域だけが耳に刺さったり、音がこもって聴こえたり、マイクが拾った部屋の鳴りが気になったり……といったことがよくありますよね。こうした不要なレゾナンス、つまり共鳴や共振帯域を自動で見つけ出し、必要な分だけ抑えてくれるプラグインとして、世界中のミキシング/マスタリングエンジニアが愛用してきたのが、フィンランドのメーカー、oeksound(オークサウンド)のプラグインsoothe(スーズ)です。

そのsootheが、soothe2を経て、soothe3へと進化し、2026年5月にリリースされました。国内ではSONICWIREが取り扱っており、通常価格は約42,000円(税込)。今回のsoothe3はアルゴリズムがアップデートされており、より自然に、より破綻しにくく、そしてより使いやすくなったのが大きなポイント。細かい知識がなくても挿すだけで音がクリアになる、という分かりやすさはそのままに、どこがどう変わったのか、試してみたので紹介していきましょう。

世界中のエンジニアが頼る定番レゾナンスサプレッサ&ディエッサが6年ぶりのアップデート

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oeksoundというメーカー、sootheが生まれた背景

soothe3を紹介する前に、まずはoeksoundというメーカーについて触れておきましょう。oeksoundは、2016年にOlli Keskinenさんが設立した、今年で設立からちょうど10年を迎える、フィンランド・ヘルシンキを拠点とするプラグインメーカー。

Keskinenさんは、プログラミングと音楽テクノロジの素養を持つオーディオエンジニアで、ライブの現場も経験していた人物。そんなKeskinenさんが目をつけたのが、トップクラスのミキシングエンジニアたちがボーカルテイクを発音の一つひとつに合わせて細かくEQ調整しているという、手間の掛かる作業でした。この作業を自動化できるはずだ、と考えたのが、sootheが生まれた経緯です。

そこで自身のコンピュータサイエンスの知識を生かし、何年も掛けてこの細かいEQ処理を自動化する仕組みを開発。完成した初代sootheを音楽制作フォーラムのGearspaceに投稿したところ、これがプロデューサの目に留まって広まり、世界的なヒット製品となりました。

初代sootheは2016年、続くsoothe2は2020年にリリースされており、今回のsoothe3はsoothe2から6年ぶりのアップデートにあたります。soothe2は数々の賞を受け、グラミー賞を受賞したエンジニアやプロデューサからも評価され、世界中のミックスで定番として使われてきたので、ご存じの方も多いかもしれませんね。

レゾナンスを抑えるsootheのほか、トーンを整えるbloom、トランジェントを調整するspiffなどを展開している

ちなみにoeksoundの製品は、1176系のコンプレッサをいかに忠実に再現するか、といった方向ではなく、ミキシングのなかで時間の掛かる作業を手軽に解決することに注力しているのが特徴。ラインナップには、レゾナンスを抑えるsootheのほか、トランジェントをコントロールするspiff、ソースの特性に合わせてトーンを整えるbloomなどがあり、いずれもクリエイターが創造的な判断に集中できるように、という思想で開発されています。

耳障りなレゾナンスを自動で抑えるsoothe3

では、soothe3がどんなプラグインなのかを見ていきましょう。soothe3は、簡単にいえばダイナミック・レゾナンスサプレッサ。前述の通り「レゾナンス」は共鳴や共振とも訳される言葉で、ボーカルで不自然に耳につく成分や、楽器のこもり、サ行が鋭く刺さる音などがこれに当たります。

soothe3は、入力された信号の中から、こうした不要に飛び出した帯域、すなわちレゾナンスをリアルタイムで自動的に検出し、そこにだけダイナミックなフィルターを掛けて抑えてくれるもの。抑えるのは飛び出した部分だけで、その隣の帯域には手を付けないため、音の透明感を保ったまま耳障りな成分だけを取り除けるというわけです。動作としてはダイナミックEQやディエッサに近いのですが、内部ではそれよりも緻密な処理が行われているのです。

入力信号から不要なレゾナンスを自動で検出し、その帯域だけにダイナミックなフィルターを掛けて抑える

使いどころも幅広く想定されており、ボーカルやギター、木管楽器、バイオリンといった個別のトラックで、こもりや刺さりを抑える使い方はもちろん、複数の音が重なって特定の帯域が膨らんでしまったバストラックの処理、さらにはマスターで全体のレゾナンスを抑える、といったところまでカバーしています。ちなみにSONICWIREのプラグイン・エフェクト売り上げでは、REDUCTION部門で1位、総合でも3位(2026年6月時点)の人気製品となっています。

EQとは効きが逆!?depth curveで処理する帯域を決める

soothe3を理解する上で欠かせないのが、画面中央に表示されるreduction graphと、その上に重なるdepth curveです。reduction graphは、今どの帯域がどれくらい削られているかをリアルタイムで表示するもの。横軸が周波数で、縦軸は削っている量をデシベルで表しています。

中央のグラフがreduction graph、重なる白い曲線がdepth curve。この曲線で処理する帯域をコントロールする

そしてdepth curveは、どの帯域にどれくらい処理を掛けるかをコントロールする曲線。特徴的なのは、EQと効きが逆になっている点。EQと同じようにバンドを作って曲線を描けるのですが、バンドをブーストするとその帯域のサプレッションが強まり、逆にカットすると弱まる、というように動作します。

EQのようにバンドを作って曲線を描く。バンドをブーストした帯域ほどサプレッションが強まる

さらに、外部入力を使ったサイドチェインにも対応しており、たとえばリードボーカルを別バスに送り、それをサイドチェインのキー入力にすることで、ボーカルのための居場所をほかのトラック側で空ける、といった使い方もできます。バンドは最大8つまで作れて、ローカットやハイカットで処理する帯域を限定したり、バンドパスを使って狭い範囲だけを狙ったりと、自在に形を変えることが可能。さらにステレオの扱いも柔軟で、L/RだけでなくMid/Sideでの処理にも対応しており、Linkを調整すれば、左右をまとめて処理することも、片チャンネルずつデュアルモノで処理することもできます。

L/RだけでなくMid/Sideでの処理にも対応。Linkで左右の効き方を、フッターのMixやDeltaで仕上がりを調整できる

また、処理後の音と原音をブレンドするMixも備えており、深めに掛けた処理に原音を少し混ぜ戻して、より自然な仕上がりにするといった使い方ができます。そして便利なのがDeltaボタン。オンにすると、soothe3が削り取っている成分だけを抜き出して聴けるので、今どの帯域に、どれくらい処理が掛かっているのかを耳で確かめられます。このほか、処理による音量変化を補正するOut gainやWet trimも搭載されています。

進化点① アルゴリズムの刷新。Soft/Hardモードを改良

ここからは、前作のsoothe2からどこが進化したのかを具体的に見ていきましょう。まず一番大きいのは、アルゴリズムそのものの刷新ですね。

soothe3では、内部のアルゴリズムが新たに設計し直されました。soothe2にもSoftとHardという2つのモードがありましたが、これが両方とも改良され、より自然で、より明瞭感のある音作りができるようになっています。

左上でSoftとHardのモードを切り替える。どちらもsoothe3でアルゴリズムが改良された

ポイントとなるのがSoftモード。soothe2まではスレッショルド、つまり処理が掛かり始めるレベルの基準が固定されていましたが、soothe3のSoftモードでは、これがアダプティブ・スレッショルドという可変式に変わりました。入力レベルの絶対値ではなく、音色の相対的な変化に反応する仕組みのため、フレーズごとにダイナミクスの幅が大きいボーカルのような素材でも、元の音のニュアンスを保ったまま安定したリダクションが掛けられるようになっています。

一方のHardモードは、soothe2のスタイルを受け継いだ固定スレッショルド方式。こちらは入力レベルに依存して、より積極的に効くモードで、Depthを深く設定すれば音色そのものを大きく変えるサウンドデザイン的な使い方もできます。

このアルゴリズム刷新について、oeksoundの主任DSPアーキテクトTommi Gröhnさんは、soothe3は素材全体のトーンバランスをより把握できるようになり、その分効かせる場所をより細かく選べて、フルレンジの処理にも向くようになったと説明しています。しっかり効きつつ自然に仕上がる範囲が広がったことで、解決スピードが上がり、問題を直しながら新たな問題を生んでしまうことも起きにくくなった、とのことです。

進化点② 操作系。DetailノブとTilt control

2つ目の大きな進化が、操作系の見直し。soothe2では、サプレッションの細かさをSharpnessとSelectivityという2つのノブで調整していましたが、soothe3では、これがDetailという1つのノブに統合されています。Detailは、sootheが入れるカットの幅をコントロールするパラメータで、値を上げるほど深く、そして狭いカットになります。

Detailを上げるほどカットは深く狭くなる。ドラムのオーバーヘッドのような鋭いレゾナンス向き

ドラムのオーバーヘッドのように鋭いレゾナンスを持つ素材には高めのDetailが、広く穏やかに処理したい場合は、低めのDetailが向いています。2つのノブが1つになったことで、どれくらい細かくサプレッションを掛けるかを、より直感的に決められるようになりました。

Detailを下げると、広く穏やかに処理できる

そしてもう一つ、soothe3で新たに加わったのがTilt controlです。これは、DetailやAttack、Releaseといったパラメータの効き具合を、高音域と低音域で別々に調整できる機能。具体的には、おおよそ500Hzより下の低域と、2kHzより上の高域に対して、それぞれ独立したパラメータが用意されています。たとえば、サ行の子音が気になる高域だけはより細かくサプレッションし、低域はAttackをゆるめにしてパンチを残す、といった調整ができます。帯域ごとに効き方を変えられるので、求めている音像に合わせてレゾナンスを抑えることが可能です。

DetailやAttack、Releaseの効きを高域と低域で別々に調整できるTilt control

さらに広がる新機能。Max cut、ローレイテンシ、マルチチャンネル

進化点はまだあります。ここでは、soothe3で加わったそのほかの新機能をまとめて紹介しましょう。まずMax cut。これは、sootheが掛けるリダクションの最大値を設定できる機能で、Depthを深めにして全体的にしっかりカットしつつ、「ここまでしか削らない」という上限を決めておけるため、削りすぎて音色が不自然に崩れるのを防げます。reduction graph上にはグレーの領域が表示され、sootheがその線を越えてレゾナンスを削らないことが視覚的に分かりやすいようになっています。

リダクションの最大値を決めるMax cut

次にローレイテンシモード。これは文字どおり、soothe3を低遅延で動作させるモードで、レコーディング時のモニタリングやライブパフォーマンスでの使用を想定して新たに搭載されました。soothe3は標準だと先読み処理を行うため、それなりのレイテンシが発生しますが、ローレイテンシモードではこれを抑えます。ただしトレードオフとして時間分解能はやや下がり、トランジェントやビブラートへの反応が少し遅れることがあります。

低遅延で動作させるローレイテンシモード。レコーディング時のモニタリングやライブで使える

実際の数値も公開されていて、基本となる44.1kHzと48kHzでは、追加されるレイテンシは0サンプル。それ以上のサンプリングレートでは多少のレイテンシが出るものの、1ms程度に収まります。soothe3はボーカルによく使われるエフェクトだけに、録音の段階からクリアな音でモニタリングできるのは便利なポイント。各サンプリングレートでのレイテンシは以下の通りです。

サンプリングレート 通常の処理モード ローレイテンシモード
リニアフェイズモード
44.1kHz 2304 0 3456
48kHz 2304 0 3456
88.2kHz 4704 96 7008
96kHz 4704 96 7008
176.4kHz 9408 192 14016
192kHz 9408 192 14016

そしてマルチチャンネル対応。soothe3は、最大9.1.6chのサラウンド/マルチチャンネル構成を扱えるようになりました。マルチチャンネルトラックに挿すと、reduction graphの右側に専用のパネルが現れ、チャンネルごとのメーター表示やリンクの設定が行えます。リンクはLR、センター、LFE、サラウンド、天井のスピーカーといったチャンネルセット単位でまとめられるので、イマーシブな環境での制作にも組み込めます。

処理のクオリティに関わる設定も見ておきましょう。クオリティモードはnormal/high/ultraの3段階で、主に処理の時間分解能に影響します。さらに、レイテンシは増えるものの位相を保てるリニアフェイズ処理も選べます。こちらはパラレル処理や、Mid/Sideで左右を別々に処理してパンの位置を保ちたいときに有効です。

処理のクオリティをnormal/high/ultraから選択。位相を保てるリニアフェイズ処理も選べる

またバンドのシェイプはローカットやハイカット、ベル、バンドパス、ティルトなど8種類から選べるようになり、狙った形を素早く作れるようになりました。なお、設定メニューには、ミックスを書き出す際は常にultraクオリティでレンダリングするオプションや、すべてのインスタンスを常にローレイテンシで動かすオプションも用意されています。ライブでプリセットを切り替えても低遅延を保ちたいときに重宝しますよ。

バンドのシェイプはローカットやハイカット、ベル、バンドパスなど8種類から選べる

使い方はシンプル。挿してプリセットを選び、Detailで追い込む

soothe3の基本的な使い方の流れとしては、まずは初期状態のプリセットから始めて、Depthを上げていきます。削りすぎだと感じるところまで上げたら、そこからちょうどいいと思うところまで戻します。次にDetailを素材に合わせて調整し、整える感じなら浅めに、特定のレゾナンスをピンポイントで狙いたいなら深めに設定します。このとき、Deltaをオンにすれば、どこに処理が掛かっているのかがよく分かりますよ。後は、depth curveを使って処理したい帯域に絞り込み、Deltaをオフにして最適なDepthを再度探り、最後にBypassで処理前後を聴き比べれば完成、という流れです。

プリセットから始めてDepthを上げ、Detailで追い込む。reduction graph上のノードで処理する帯域を絞り込む

またsoothe3にはプロの現場を想定した豊富なプリセットが用意されており、用途別に整理されています。最初に近いプリセットを選び、そこからDetailなどで微調整していく流れなら、最初のとっかかりが簡単になりますね。使い方にまだ自信がないという人でも、挿すだけで音がクリアになり、こもっていた音や部屋の鳴りが消えるのを実感できるのがsoothe3のよいところ。もちろん、裏で動いている仕組みを理解していれば、より自分好みのクリアな音へと追い込んでいけますよ。

用途別に整理された豊富なプリセット。近いものを選んで、そこから微調整していける

価格とsoothe2のグレースピリオド

soothe3の国内価格は42,317円(税込)で、SONICWIREが取り扱っています。SONICWIREで扱う海外メーカー製品の価格は為替レートに応じて更新されるため多少前後する可能性があります。購入時には、最新の価格を確認してみてください。

ここで、すでにsoothe2を持っている人に向けて、いくつか案内があります。まず、2026年2月19日以降にSONICWIREでsoothe2を購入した人は、グレースピリオドの対象となり、無償でsoothe3のライセンスを入手できます。該当する場合は、購入・登録したSONICWIREアカウントのメールアドレスに案内のメールが届いているはずです。それ以前からsoothe2を使っている人も、oeksound公式サイトから割引価格のアップグレード版を入手可能。ただし、公式サイトでアップグレードした場合は、SONICWIREによる日本語マニュアルやテクニカルサポートは受けられない点に注意が必要ですね。

また購入前に試したいという人のために、20日間限定のデモ版も用意されています。oeksound本国のサイトからインストーラをダウンロードできるので、まずは試してみてください。

以上、oeksoundのsoothe3について紹介しました。soothe3は、耳障りなレゾナンスを自動で抑えるという基本のコンセプトはそのままに、アルゴリズムを刷新することで、より自然に、より破綻しにくく進化したレゾナンスサプレッサでした。アダプティブ・スレッショルドを採用したSoftモード、操作を直感的にまとめたDetailノブ、帯域ごとに効きを変えられるTilt control、削りすぎを防ぐMax cut、そして録音やライブでも使えるローレイテンシモードと、その進化は多岐にわたります。誰でも使える手軽さと、プロが細部まで追い込める自由度を併せ持った、定番のツール。すでにsoothe2を使っている人はもちろん、これからボーカルや楽器のミックスをクリアにしていきたいという人も、試してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
soothe3 製品情報

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SONICWIRE ⇒ soothe3

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