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このパワフルなサウンドはアナログシンセ特有!?DAWとも連携可能なBehringerのNEUTRONが37,000円!

世界中のメーカーから数多くのプラグインのシンセサイザが出ていますが、「何かいまひとつパンチが足りない…」なんて思いを持っている人も少なくないと思います。そんな方への一つの解となるかもしれないのが、アナログシンセサイザの利用です。「ものすごく高いんでしょ?」、「難しそうで使えないよ」、「アナログシンセなんてソフト音源でシミュレーションしてるじゃん!」……といろいろな声が返ってきそうではあります。

でも、かなり高性能で、ものすごいパンチの効いた音が出て、扱い方が簡単で、USBでPCと接続でき、しかも3万円代で買えるものがあったら、試してみる価値があると思いませんか?今年1月にBehringerから発売された、真っ赤なアナログシンセサイザ、NEUTRONというのがそれ。通常44,650円なのですが、4月1日から37,000円でセール中。先日、作曲家・プロデューサー・レコーディングエンジニア・トラックメーカー・DJなどとして幅広く活躍するシンセサイザ・フリークで、DTMステーションでもお馴染みの江夏正晃さんと一緒に、NEUTRONをいろいろな角度から試してみたので、これがどんな機材なのか、DTMユーザーにとってどんな意味を持つのか、紹介してみたいと思います。


Behringerが発売するセミモジュラータイプのアナログシンセ、NEUTRONを使ってみた

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まずは、江夏さんが一部にNEUTRONを利用して制作したという音楽を使ったプロモーションビデオがあるので、こちらをご覧ください。

これはSONYのデジタル一眼カメラ「α7R III」用のプロモーションビデオとして制作したものだそうですが、みなさん気になるのは「これの、どこでNEUTRONが使われているの?」ということですよね。江夏さんにお願いしてみたら、そのパートだけを切り出してくれました。それをSoundcloudにUPしてみたのがこちらです。

SoundcloudにUPした段階でMP3化されてしまうので、実物で聴く音と比較すると、少し音ヤセしてしまっていますが、大音量で聴いてみるとこの図太いサウンドのニュアンスは十分に伝わるのではないかと思います。


今回、江夏さんとともにNEUTRONを徹底的にいじり倒してみた

江夏さんはSteinbergのNuendoで制作しており、ほとんどはソフトウェア音源を使っているのですが、このインパクトあるサウンドはNEUTRONを使っていたそうなのです。シーケンス自体はUSB接続でDAWからMIDIで鳴らすこともできるのですが、ここで江夏さんが使った手段はArturiaのシーケンサであるBEATSTEPとの組み合わせ。


江夏さんはNuendoを使って制作していた

「DAWからはMIDIクロックをBEATSTEPに送って同期させ、フレーズはBEATSTEPで作り、これを使ってNEUTRONを鳴らしています。NEUTRONからの出力はオーディオインターフェイスを介して、Nuendoのオーディオトラックに戻しているんです。ポイントは、NUETRON内蔵のオーバードライブを活用していること。


ArturiaのBEATSTEPとNEUTRONを繋いで鳴らしている

単音で聴くと歪んでいるような感じもするのですが、ほかのトラックと混ぜると、すごく浮き上がって前に出てくるんです。普通のシンセにオーバードライブをかけると、ローとハイが削れて真ん中に音が集まってきますが、これだとすごくいい感じにかかるので、とても使いやすいんです」と江夏さん。もう思い切り業務で活用しているんですね。


BEATSTEPでNEUTRONを鳴らした結果をオーディオでトラックに取り込んでいた

BEATSTEPを使っているという点で、ちょっと複雑な感じに思えたかもしれませんが、NEUTRONのリアパネルにはUSB端子が搭載されており、これをWindowsやMacと接続すると、MIDIのドライバとして見えるようになっています。そしてPC側からMIDIのノート信号およびピッチベンド情報を送るとそれに反応して演奏することが可能。ただし、それ以外のMIDIコントロールチェンジなどは受け付けてはくれないので、パラメータを動かすのは、あくまでも手を使ってということになるようです。


NEUTRONのリアパネル。USBを使ってPCとMIDIデータのやりとりが可能

また、USB端子のとなりにDIPスイッチが並んでいますが、これはMIDIチャンネルを変更するためのもので、初期設定ではMIDI 1chとなっています。またTHRUと書かれた端子がありますが、これはちょっと懐かしい感じもするMIDI THRU。フロントパネルにあるMIDI INもしくはUSBから入ってきたMIDI信号を、そのままスルーするものですね。ちなみに、フロントパネルのMIDI INから入ってきた信号は、USBのほうにもTHRUされる仕様になっていました。


フロントパネルのMIDI INからMIDIノート信号を入れて演奏することも可能

さて、ここからは江夏さんと一緒に、NEUTRONについて、いろいろと話をしてみました。後半、かなりマニアックなところに入っていきますが、まあ、あまり分からなくてもいいので、難しいと感じたら読み飛ばしてくださいね。

 

藤本:Behringer、最近いろいろなアナログシンセの復刻を始めているようで、面白いですよね。まだ実際発売されていないものもいろいろですが、MiniMoogを復刻したMODEL Dなんか、バカ売れしてるみたいだし……。

江夏:昨年、最初にDEEPMINDを出したときは、それほど注目度は高くなかったけれど、MODEL Dが出てからは潮目が変わった感じがしますね。本気でアナログシンセに取り組み、高品位なものを手ごろな価格で出してくるということで、世界中から注目を集めています。Oberheim OB-XaやARP Odyssey、RolandのVP-330なんかも復刻することを発表しているし、まもなくRoland SH-101の復刻版のMS-101も発売されるようで、ますます面白くなってきています。


完全にBehringerオリジナルのアナログシンセサイザであるNEUTRON

藤本:そうした中、今回のテーマであるこのNEUTRONは何かを復刻したわけじゃなく、Behringerオリジナルなんですよね?


江夏さんのスタジオのシンセラックに収められていたProTone。これと関係があるのか!?

江夏:完全にオリジナルですね。ただ、マイナーなシンセだけど、SPECTRAL AUDIOのProToneと色やシステム構成がちょっと似たところがあります。もっとも音はまったく違うんんですけどね、もしかしたらその影響は受けているかもしれないけれど、セミモジュラーになっている点も含めて、オリジナルですね。ボク自身は、MiniMoogは持っているし、ARP OdysseyもVP-330もSH-101も持っているので、Behringerからクローンが出ても、そんなには欲しいとは思わないのですが、このNEUTRONは、これまでにないシンセだし、実際に音を聴いて、すごくよかったので、大きな魅力を感じたんですよ。


右側にはOUTが24、INが32あるパッチマトリックスがあるのが特徴

藤本:NEUTRONって、右側にパッチのマトリックスがあるので、すごく難しそうに見えるけど、アナログシンセサイザとして見ると、結構シンプルな構成ですよね?VCOが2つにVCFが1つ、VCAが1つ、LFOが1つにエンベロープジェネレータが2つ。これなら、シンセサイザ初心者にとっても分かりやすそうです。セミモジュラーと言っているから、右側のパッチはいじらなくても使えるわけですね。


とてもシンプルなNEUTRONのブロックダイアグラム

江夏:そう、これものすごくシンプルで、VCOを3つ持つMODEL Dなんかより、ずっと分かりやすいし、現代的なシンセですよ。VCOの波形が矩形波、ノコギリ波、三角波、サイン波とモーフィングしていくあたりも面白いし、フィルターの効きもすごくよくて、気持ちよく音が変化する。MODEで切り替えることでローパスだけじゃなく、ハイパス、バンドパスに変わるのもいいですね。オシレーターSYNCやパラフォニックもできるし……。それと音作りという面で、最大の特徴ともいえるのがオーバードライブなんですよ。VCFとVCAの間にあって、これが強烈に特徴的なサウンドを作ってくれるのはいいですね。


VCFとVCAの間にオーバードライブがあるのが大きなポイント

藤本:そうか、最終段ではなく、VCFとVCAの間にあるから、単にシンセのエフェクターとしてオーバードライブやディストーションを使うのとは意味が違うわけですね!もっとも、NEUTRONの場合、パッチングができるので、そこにエフェクトを噛ますことはできそうですが……、シンプルそうで、結構面白いシンセですよね。そういえば、パラフォニックって、2音ポリフォニックと何が違うのか、イマイチ理解してないんですが……。


VCO1とVCO2を使ったパラフォニックモードが用意されている

江夏:2音ポリの場合、通常、後から弾いた2音が優先されて演奏されるのに対し、パラフォニックだと、最初に弾いたキーが優先されるので、ベース音をずっと出しながら、メロディーを弾いていく、といったことが可能なんです。このパラフォニックを最初に実現させたのはARP Odysseyでしたね。しかし、なんといっても、このパッチができるのがNEUTRONの最大の特徴ではありますね。INが32、OUTが24あって、自由自在に接続することができるんです。これによって、かなり複雑な組み合わせができるけど、ここから直接音を取り出すこともできるから、アナログシンセサイザ初心者にとっても、すごく勉強になると思いますよ。一方で、いま流行りのユーロラックに収められるというのも、NEUTRONの特徴なんですよ。といっても、実はまだ試したことがないので、ホントに収まるか、試してみましょうか?


江夏さん、NEUTRONの分解を始める…

(江夏さんがドライバを使ってネジを外し、NEUTRONはむき出しに……)

江夏:NEUTRONのケースから取り出してユーロラックに入れるとピッタリですね。これだけの機能が詰まって、この値段というのは、激安ですね。さらに、シンセに詳しい人にとって、グッとくるのがVCOに「3340VCO」と書かれている点。こう銘打ってくるあたり、かなりのシンセの達人が設計しているんだと思いますね。3340って、Propeht 5などに搭載されていたVCOのチップを意味してるんですよ。せっかくだからホントに入ってるか、もっとバラして基板をチェックしてみましょうか!

すべてのネジ、ノブを取り外して……

(すべてのノブを取り外し、基板がむき出しに。小さな部品がギッシリと並んでます)


基板上には数多くの電子部品がギッシリ…

江夏:オシレーターの辺りを見てみましょうか……。あった、このチップかな。


さっそく見つけたVCOチップであるCool AudioのV3340

藤本:小さすぎて一眼レフのカメラだとよく撮れないので、iPhoneのマクロで撮影してみたら「Cool Audio V3340」ってありますね。ってことは、Prophet 5とかと入っていたCurtisのCEM3340ではなく、Cool Audioによるセカンドソースってことですね。まあ、性能的に考えればオリジナルである必要はないですし、シンセマニアの人にとっては、マニア心をくすぐられるオシレーターですよね。16ピンのICではあるけれど、完全にアナログチップですから。いま調べてみると、Cool Audioの3340なら秋葉原の秋月電子通商で扱ってますね。1個960円って、超高級チップだ。データシートもPDFで公開されてますね。VCFも何かチップを使ってるんでしょうか?

江夏:いま、見てるんだけど、見つからない……。STM32って書いてあるチップは見つかったけど、これかな?


STM32はARM系の32bitマイコンチップであるはず。なぜこれがいっぱいあるのか…

藤本:いやSTM32ってことはARMコアの32bitマイコンですよ。ってことは、実はデジタルフィルターを使っているとか……!?違う違う、ここにビッシリ抵抗、コンデンサ、トランジスタとか並んでるじゃないですか。完全にディスクリートで回路組んでますね。でも、基板見ると、そこここにSTM32があるってことは、これパラメータの状況を記録したり、外部からコントロールできたりするんじゃないかな?ほかは、何かキーとなるチップはありそうですか?


BBDディレイのチップも発見

江夏:やっぱりCool Audioのチップですが、V3205SD、V3102Dってのが入ってますよ。おや?これ調べてみるとBBD Delayって書いてある。おお!このVCAの後段にあるディレイはアナログのBBDディレイ、いわゆるバケツディレイですよ!あとV571Mっていうのもあるけれど、こっちはComp/Expanderとある。いろいろ入ってますね。

藤本:基板見て、これだけ盛り上がれる人も少ない気もしますが(汗)…、でも楽しいですね、このシンセ。せっかくなので、VCOとかLFOの波形がどんなものなのか、オシロスコープで見てみませんか?江夏さん、ここにオシロスコープなんてあったりしますか?


オシロスコープを引っ張り出してきて信号チェックをする藤本と江夏さん

江夏:ありますよ!!さっそくVCOの出力を繋いでみましょう。

藤本:多少、カクカクしているところもあるけれど、キレイな波形ですね。パラメータを動かしていくと、矩形波からノコギリ波、三角波、サイン波ってキレイにモーフィングしていきますね。LFOはどうだろう……、あ、こっちはモーフィングじゃなくて、完全に切り替わっていくんですね。


江夏さんとのマニアックな話はその後もずっと続いていくのでした……

その後も、キリなくマニアックな話が続いていたので、この辺で終わりにしますが、自宅に戻ってから、もう少しDTM的観点で、NEUTRONとコンピュータの関係を探ってみたところ、まだまだ面白いことがいろいろと発見できました。


BOOTと書かれた穴にペン先などを差し込んで起動してファームウェアのアップデータを掛けるのだが……

まずBehringerのサイトに行くと、NEUTRONのファームウェアがUPされており、これを使うことで、LFO周りをはじめ、さまざまな機能が強化されるほか、キーボードスプリット機能なんかも追加されています。つまりパラフォニックだけじゃなく、あるキーから上がVCO1、あるキーから下はVCO2で演奏する…といったことが可能になるんです。


Windowsではどうにもうまくアップデートをかけられなかったので、Macでファームウェアをアップデート

さっそくこのファームウェアのアップデートを行おうとWindows版のアップデータを使って試したものの、どうにもうまくいきません。ネットを調べてみると、やはり多くのWindowsユーザーがトラブっているようで、一筋縄ではいきそうにありませんでした(※その後、Windowsでのアップデート方法が分かったので、記事の最後に記載しておきます)。一方、Macであれば、何ら問題なく簡単にアップデートできるようだったので、ここではMacを使ってサクッとアップデート。


ファームウェアをアップデートした上でNEUTRON Appを起動。OPTIONSでMIDI DEVICEを設定

さらに大きなポイントはNEUTRON AppというアプリケーションがWindows用、Mac用それぞれ出ているんですね。そう、これを使うことで、NEUTRONの各スイッチ類をリモートコントロールできるだけでなく、前述のキースプリットを設定したり、LFOの波形を入れ替えるなど、本体ではできない操作が可能になるんです。先ほど基板上で見つけたARMのマイコンチップがやっぱりここで機能していたわけですね。


NEUTRON Appを使うことでオシレータのキースプリットなどもできた

ちなみにNEUTRON Appを使うためにはファームウェアを2.0にアップデートするとともに、USBでPCと接続した上で、OPTIONSの項目にある入力・出力のMIDIポートをともにNEUTRONに設定しておく必要がありますよ。ということは、NEUTRONの各パラメータ操作をDAWで記録したり、オートメーションができるということなのでしょうか……。

さっそく試してみたのですが、DAW側で各パラメータの動きを記録することができません。というより、どのパラメータを動かしても、MIDI信号が一切入ってこないのです。でも、先ほどのNEUTRON Appだけは入出力ともに使うことができます。


DAW側でNEUTRONドライバを指定しても、MIDIノート以外のやりとりはできなかった

このことからわかった事実としては、主にスイッチ類については、NEUTRONからUSB経由でPCに情報を送ったり、反対にPC側からリモートコントロールすることができます。これはUSBのMIDIポートを利用しているようですが、実際にはMIDI信号ではなく、このポートを通じて別の信号を流すという裏技を使っているようです。かなりマニアックな設計をしていますよ、Behringer。このアプリをDAWと連携できるようにして、トータルリコールが可能になると、さらにすごいんですが、どうなるでしょうか?今後に期待したいところです。

まずはUSB経由でMIDIのノート信号の入出力して、演奏をすることは可能なので、まずはここから試してみて、DAWと連携させてみてはいかがでしょうか?これだけのものが3万円台で入手できるとは、いい時代になったものですね。

【関連情報】
Behringer NEUTRON製品情報

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Windowsでのファームウェアアップデート方法

1. https://zadig.akeo.ie/で USB STMドライバをダウンロードしてください。
2. NEUTRONを USBケーブルでコンピュータに接続します。
3. BOOTボタンを押してユニットの電源入れ、  NEUTRONが DFU更新モード (BOOTモード )になっ ていることを確認 します。
4. ダウンロード したアプリケーション を実行します。
5. Options→List All Devicesにチェック が入ってい ることを確認します。
6. ドロップダウンボクスから “STM32 BOOTLOADER”を選択します。
7.「Upgrade Drive」または「 Reinstall Driver」をクリック。
8. NEUTRONが正常 に動作 する WinUSB Driverがインストール インストール されます。
9. この後 アップデート をお試しください 。