以前DTMステーションでも紹介したことのある、JBL PROFESSIONALの小型同軸スピーカー、104-Y3。その104-Y3にBluetooth機能を搭載した新モデル、104-BT-Y3が発表されました。見た目、大きさはほぼ変わらず、30W+30WというDTMにもピッタリな出力もそのままにスマホなどのサウンドをそのまま出力できるようになったのです。色は従来と同じブラック(型番は104-BT-Y3)のほか、ホワイトモデル(型番は104-BTW-Y3)も新たにラインナップされ、104-Y3と同様、国内発売元のヒビノ独自の3年保証モデルとして登場です。
104-BTーY3と104-Y3の違いとしては、Bluetooth機能のほか、入力ソースをフロントのボタンで切り替え可能になったこと。これにより、オーディオインターフェイスの出力やシンセなどの楽器の出力、オーディオ機器、さらにはBluetooth接続によるスマホなどさまざまな機器をここに接続しっぱなしにしておきつつ、目的に応じて切り替えたり、ミックスして鳴らすことなどが可能になっています。実際どんなモニタースピーカーなのか紹介してみましょう。
Bluetooth入力対応の小型同軸リファレンスモニター、JBL PROFESSIONAL 104-BTーY3が新登場
以前、「JBLの小さなリファレンスモニター、104-Y3が抜群にいい!憧れの同軸スピーカーが17,000円で手に入る!」という記事で紹介した104-Y3。その104-Y3とそっくりな見た目ながら、Blutooth機能を搭載するとともに、より使い勝手を向上させた新機種、104-BTーY3が誕生しました。以前、104-Y3を紹介した際、SNSなどで「Bluetoothに対応してほしい!」という声が多く上がっていましたが、その要望に応えた格好ですね。
価格はオープンプライスですが、従来からある104-Y3が実売価格16,280円(税込)であるのに対し、104-BT-Y3は24,860円と少し高め。とはいえ、左右セットでこの価格ですからモニタースピーカーとしては手ごろですし、個人的には価格差以上の価値があるなと感じています。
大きさ、形状がほぼ同じ104-Y3(左側)と104-BTーY3(右側)
丸みを帯びたこのデザインが特徴的な104-BTーY3。小さなリファレンスモニターといえど、104-Y3と同じく30W+30Wというだけあって、ボリュームを上げていくと、かなりの爆音まで、歪むことなく出せるのは重要なポイント。また同価格帯の他社スピーカーと比較して最大の違いは、これが同軸(コアキシャル)スピーカーであるという点です。
改めて同軸スピーカーについて簡単に紹介しておくと、一般的な2Wayといわれるスピーカーは高い音域を出すツイーター(高域ドライバー)という小さなスピーカーが上に、中低域を出すウーファー(低域ドライバー)という大きいスピーカーが下に配置される構造になっています。それに対し同軸スピーカーはツイーターとウーファーが、同心円上に存在する構造になっているため、スピーカーから近い位置で聴いても違和感なく、全音域がキレイに混じり合ったサウンドで聴くことができるのが特徴なのです。
ただ一般的に同軸スピーカーというと非常に高価であり、音楽制作用のモニタースピーカーで同軸となると10万円超というものが多い中、この価格帯で登場したというのは画期的ともいえます。その104-Y3と今回のBleutooth対応の104-BT-Y3、スペック表で見比べてみると、以下のようになっています。
104-BT-Y3 | 104-Y3 | ||
周波数レンジ(-10dB) | 60Hz~20kHz | 60Hz~20kHz | |
指向角度(水平×垂直) | 120°×120° | 120°×120° | |
最大音圧レベル(Cウェイト) | 104dB SPL | 104dB SPL | |
ドライバー構成 | LF | 4.5インチ(114mm) | 4.5インチ(114mm) |
HF | 0.75インチ(19mm) | 0.75インチ(19mm) | |
クロスオーバー周波数 | 1,725Hz | 1,725Hz | |
パワーアンプ※ | 30W×2、Class D | 30W×2、Class D | |
入力※ | 端子・形式 | ステレオ標準フォーン(3P)【バランス】 ステレオRCA【アンバランス】 ステレオ・ミニフォーン【アンバランス】 |
ステレオ標準フォーン(3P)【バランス】 ステレオRCA【アンバランス】 ステレオ・ミニフォーン【アンバランス】 |
最大入力レベル | ステレオ標準フォーン:+20.3dBu(+4dBu) ステレオRCA:+6dBV(-10dBV) ステレオ・ミニフォーン:+6dBV(-10dBV) |
ステレオ標準フォーン:+20.3dBu(+4dBu) ステレオRCA:+6dBV(-10dBV) ステレオ・ミニフォーン:+6dBV(-10dBV) |
|
Bleutooth対応コーデック | SBC、AAC | – | |
スピーカー入出力端子 | バネ式 | バネ式 | |
電源※ | AC100V、50/60Hz | AC100V、50/60Hz | |
消費電力(1/8出力、ピンクノイズ) | 5W | 5W | |
寸法(W×H×D) | 153×247×125mm(除突起部) | 153×247×125mm(除突起部) | |
質量 | 2.1kg(マスタースピーカー) 1.8kg(エクステンションスピーカー) |
2.1kg(マスタースピーカー) 1.8kg(エクステンションスピーカー) |
|
付属品 | ステレオミニフォーン⇔RCAケーブル(約1.5m)、 スピーカーケーブル(約2m)、電源コード、和文取扱説明書 |
ステレオミニフォーン⇔RCAケーブル(約1.5m)、 スピーカーケーブル(約2m)、電源コード、和文取扱説明書 |
見比べても分かる通り、Bluetooth機能以外はすべて同じですね。リア側を見比べても、TRS標準フォン端子の上にピンジャックのRCA入力端子があり、電源端子とスピーカーケーブル端子が同じ位置にあるのが、確認できます。
最大の違いはBluetooth入力に対応したことですが、それとともにフロントのデザインが少し変わっていることに気づきます。104-Y3はノブが1つのみだったのに対し、104-BT-Y3はノブの右側にもう一つボタンが搭載されています。これはINPUT SELECTボタンというものですが、これを音が鳴るまで、長押しすることで、Bleutoothのペアリングモードに入ります。
フロントのINPUT SELECTボタンを長押しして、Bluetoothペアリングを行う
スマホ側のBluetooth設定画面を確認すると、JBL 104-BTーY3が表示されるので、ペアリングすればOKです。一度Bluetoothの接続設定をしておけば、スマホから音源を流すことが可能となり、一度電源を切っても、再度電源を入れれば自動的にペアリングされます。このBluetooth接続が可能になったことにより、DTMのリファレンスモニター用途としてだけではなく、気軽に使えるリスニング用スピーカーとして便利に使えるようになったわけです。
スマホ側に「JBL 104-BT」と表示されるので、ペアリングを選択
そしてこのフロントのINPUT SELECTボタンを押して切り替えることにより、Bluetooth、AUX、RCA、TRS、ALLの5つから入力ソースを選択できるようになっています。たとえば、AUXを選んだ場合は、BluetoothやTRSから信号が来ていたとしても、AUX以外の音はミュートされ、AUXのみの音声がスピーカーから再生されます。そのほかを選んだ場合も同様ですが、ALLだけは少し仕様が異なります。
Bluetooth、AUX、RCA、TRS、ALLの5つから選ぶ
ALLを選択すると、すべての音がミックスされてスピーカーから音が鳴ります。この104-BT-Y3自体には、それぞれの入力音量を調整する機能はありませんが、音源側でうまく調整することで、104-BT-Y3をミキサー的に使うことも可能というわけなのです。従来からあった104-Y3は、各入力端子に信号を入れると全てミックスされてしまい、個別切り替えができませんでしたが、用途の応じて確実に切り替えが可能になったことで、より扱いやすいスピーカーになったと思います。
さて、実際にセッティングしてみました。右側には、アンプ内蔵のマスタースピーカーを設置し、左側にはエクステンションスピーカーを設置して使用します。付属の電源用ケーブルを右側のマスタースピーカーに繋ぎ、左のエクステンションスピーカーには、付属の赤黒のスピーカーケーブルを用いて接続します。電源はリアのスイッチで、オン/オフできます。電源をオンにするとき、効果音が鳴ります。
左のエクステンションスピーカーには、スピーカーケーブルで接続する
オーディオ特性的なスペックは、先ほどの表からも分かるとおり104-Y3と104-BT-Y3は同じ。またカタログ的にも同等となっているようですが、実際にスピーカを鳴らして、音質を比べてみたところ、104-Y3より104-BT-Y3のほうが、よくなっているような気がします。104-Y3と比較して中音域がしっかりと出て、非常にバランスが取れたサウンドに進化した印象です。同軸スピーカー(コアキシャル・スピーカー)であることも影響し、下から上まで全音域がキレイに混ざり合って自然な音で聴くことができるモニタースピーカーであることをより実感しました。
104-Y3(奥)、104-BT-Y3(手前)共通の最大の特徴は同軸スピーカーを低価格で実現していること
ちなみにフロントにはヘッドホン端子が搭載されており、ここにヘッドホンを接続すると、スピーカーからの音はミュートされ、自動的にヘッドホンからの出力に変わる仕様となっています。
フロントのヘッドホン端子に接続すると、音声はヘッドホンからのみ出力される
同軸のモニタースピーカーは1本10万円以上は当たり前の中、104-Y3がペアで実売17,000円以下というのは衝撃だったのですが、104-BTーY3はBluetooth入力対応でさらに便利になって24,860円というのは嬉しいところ。コンパクトなモニターなので、聴き比べ用途の2台目として、また出先で使う持ち歩き用モニターとしても大きな威力を発揮してくれそうです。
【関連情報】
JBL PROFESSIONAL 104-BT-Y3製品情報
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