あのSSL4000/SSL9000コンソールを実現するプラグインが本家SSLから登場

SSL=Solid State Logicのコンソールってご存知ですか? われわれDTMユーザーからすると、実際に触ったことはないけれど、まさに憧れのコンソールとして、雑誌などで見てきたプロ用の大型コンソールです。SSL4000やSSL9000って、すでに現行の製品ではないそうですが、いまでも多くのスタジオで使われているアナログのコンソールであり、多くの音楽作品は、このSSLの機材を通して作られてきました。

そのSSLの音を自分の手元で再現できたら……、そんな思いを実現する製品が先日発売されました。SSL自身が開発したDuende Nativeというのがそれ。これまでもWAVESなどがSSLの音を実現するプラグインを出していましたが、本家自らがプラグインの世界に乗り込んできたというのがポイントです。

SSLの最新のコンソール、C300


国内ではエムアイセブンジャパンが取り扱っているのですが、リリースされたプラグインは
・EQ & Dynamics Channel
・Stereo Bus Compressor
・X-EQ
・X-Comp
・Vocalstrip
・Drumstrip
の6つのプラグイン。このうちもっとも注目すべきは上の2つで、EQ & Dynamics ChannelはSSLのXL 9000Kに搭載されているEQとダイナミクスを忠実に再現したもの。そしてStereo Bus CompressorはSSLのSL 4000Gシリーズに搭載されていたバス・コンプレッサーを忠実に再現したものとなっています。

SSL9000KをモデリングしたEQ & Dynamics Channel

ちなみに、X-EQ、X-Comp、Vocalstrip、Drumstripの4つのプラグインはSSL4000やSSL9000シリーズを再現したというのではなく、現在のSSLの技術を駆使して作り上げたプラグインたちとなっています。
SSLの最新技術で作ったボーカル用のプラグイン、Vocalstrip

私自身も取材でスタジオに入った際などに、SSLのコンソールを見かけることはありますが、直接操作したことなどはありません。強いて言えばPropellerheadのレコーディングソフトであるRecordのコンソールがSSL9000Kをモデリングしたものであったり、SONAR X1 PRODUCER搭載のチャンネルストリップがSSL4000をモデリングしたものなので、これらに触れてきた……という感じでしょうか。それが、今回、本家がこだわりをもって自身のコンソールに搭載されていたチャンネルストリップなどをプラグイン化したというわけなのです。

いずれもWindowsおよびMacのハイブリッドとなっており、VST、AU、RTASのそれぞれに規格に対応しています。またWindows版のVSTは32bit版に加え、64bit版も用意されているため、64bit対応のCubaseやSONARでも扱えるようになっています。一方RTASに関しては、ネイティブ対応しているわけではなく、FXPansionのVST-RTAS wrapperを利用しているようで、Pro ToolsからもWrapped Pluginsとして認識されていました。

Pro Tools 9で見ると、Wrapped Pluginsとしてに認識される

実際、EQ & Dynamics ChannelやStereo Bus Compressorを試してみましたが、想像していた以上に音が変化するし、扱いやすいんですね。プロ仕様だから、素人には厳しいのかな……と思っていたけれど、極端にいじっても音が破綻することはあまりないし、それでいてコンプの効き具合はいいし、EQではそれなりに派手な演出ができるし、面白いです。

Stereo Bus Compressorも意外と簡単に扱えた

使った感じでは、それほどCPUパワーも食っていないので、まさにチャンネルストリップとして、Cubase、SONAR、Pro ToolsなどのDAWの各トラックにインサーションで組み込んで使うのがよさそうです。もちろん、最終段のマスターに使うのも効果的です。SSLのサイトにアクセスすると、とりあえず30日間、完全な機能を無料で使えるデモ版を入手できるので、それを試してみてもよさそうです。

なお、エムアイセブンジャパンでは、EQ & Dynamics ChannelとStereo Bus CompressorをセットにしたDuende Native Essentials Packを実売価格50,000円前後、全6本をセットにしたDuende Native Studio Packを実売価格120,000円前後で販売しています。

【追記】
多少、誤解を与えていたかもしれないので、補足すると、従来からもFireWireやPCIeに接続するDSP内蔵のDuendeというハードウェアがあり、これを用いたプラグインをSSLではリリースしていました。が、今回のはCPUパワーのみで動作するものであり、価格的にも安く、ハード不要という点で使い勝手も向上しています。プロテクトにはUSBのドングル(iLokではない)を使うタイプとなっています。

【追記2】
「Native版も前からあるのでは…」というご指摘をいただきましたので、調べてみたところ、SSL Japanのコントロールサーフェイス、NucleusにまさにDuende Native Essentials Packと同等のものがバンドルされています。ハードウェアとしては、一般素人の手の届くものではないようですが…。このハードウェアは昨年のInterBEEで発表されていますが、実際にバンドルソフトが入手可能になったのは、Duende Nativeと同時期のようです。

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