ライブ版CDのインスタントマスタリング術

リニアPCMレコーダーの普及によって、ライブのレコーディングが手軽にできるようになってきました。もちろん、著作権に触れる隠し録りなんていうのは論外ですが、最近はアマチュアのライブなどで、レコーダー持ち込みOKなんていうのも見かけるようになってきました。また身内のライブをミキサーからのライン録りではなく、その場の空気感、ライブ感も録るために、リニアPCMレコーダーで録音なんていう話もよく聞きます。

でも、それを持ち帰った後、みなさんはどうしていますか?編集作業が面倒なので、そのままになっている……なんていう人も多いのではないでしょうか?また、よく分からないので、WAVファイルのまま、バンドメンバーにコピーして渡した……、なんていうケースも多いのではないでしょうか?やはりせっかくライブを録音したのであれば、最低限の編集をして、CDに焼いておきたいところです。ここでは、私がよく行っている、ライブ版の簡単マスタリングについて紹介してみましょう。
リニアPCMレコーダーで録音したライブ素材を簡単マスタリング



私がそのためのマスタリングツールとしていつも使っているのはSony Creative SoftwareのSoundForge Pro 10。ただ、「ライブ版を作る」という目的であれば、下位バージョンのSoundForge AudioStudio 10でもまったく同じことができるので、ここでは下位バージョンのほうを例に紹介してみましょう。
今回利用するのは、SoundForge AudioStudio 10
リニアPCMレコーダーを使ったライブのレコーディング方法については、ここでは割愛します。ただ、私はできるだけスピーディーに、しかもそれなりにいいサウンドでということを考えて、24bit/44.1kHzでレコーディングすることが多いです。96kHzのほうがいい音ではあるけれど、CDに焼くことが目的だとややオーバースペックですし、データが大きくて処理時間がかかるし、リサンプリングが面倒だからですね。

この録音してきた音を、そのままSoundForgeに取り込みます。前後の不要な部分をカットした上で、コンプを使って音圧を持ち上げます。とくにライブの場合って、MCのときと音が鳴っているときの音量の差が激しいので、コンプを使わないと、MCでの声が全然聴こえなくなっちゃうんですよね。

ただ、素人にとって、そのコンプの使い方が難しいところ。プロ御用達のWAVESのL1なんかを使うと、インチキのように簡単に音圧調整ができちゃいますが、普通のプラグインだとスレッショルドがどうとか、レシオがどうとか、とにかく分かりくいですよね。そんなときに、結構便利に使っているのがL1ソックリ(完全なパクリといっていいですね)なフリーウェアW1(George Yohng’s W1 Limiter)。これをSoundForgeにVSTで組み込んで使うと、ウソのように簡単に音圧が整います。もっとも音圧は中毒になりがちなので、あまり無理に上げすぎないのがポイントだとは思いますよ。
SoundForgeに組み込んだW1で簡単マキシマイズ 

 
必要に応じてEQで音質をいじったりもしますが、下手にノイズ処理などはしないようにしています。変なプラグインを使って音質が落ちたら本末転倒ですから。

ここまでできたら、あとはCDに焼くわけですが、ここから先がSoundForgeを使う理由なんです。SoundForgeにはリージョンという概念があるのですが、ライブ中の1曲1曲をリージョンとして設定するのです。すると、これがCDに焼いたときにトラックになるのです。
1曲1曲をリージョンとして設定する
普通のCDライティングソフトの場合、1トラックずつファイル化し、それを並べていくことになりますが、下手に切ると「ブチッ」とノイズが入るし、普通に焼くと曲間に2秒の空白が空いてしまいますよね。でもSoundForgeなら、ライブ全体を1つのつながりとして焼きつつ、設定したところにトラックの設定ができるのです。ですから、曲と曲、曲とMCの間などに「ブチッ」というノイズが入ったり、音が途切れるという心配がまったくないのです。
各曲をリージョンリストで確認することもできる
具体的にはリージョンを設定した後に、「ディスクアットワンスオーディオCDの書き込み」というメニューを選べば、直接CD-Rに焼いていくことが可能です。この際、24bit/44.1kHzのまま書き込むことが可能で、その場合、下位8ビットは単純に切り捨てられて16bit/44.1kHzとしてCDを作成することになります。ただ、さすがにこれは乱暴だということであれば、「ビット深度コンバータ」機能を用いて、ディザを足す形で16bitに変換することも可能です。

「ディスクアットワンスオーディオCDの書き込み」を選択すればOK

もちろん、SoundForgeにはさまざまな機能が装備されていますから、もっと細かく音を作りこみ、トラックの調整も綿密に行って……ということもできますが、私のよく行うこのインスタント・マスタリングだと1時間のライブを録音して持ち帰ってからCDに仕上げるまで30分ちょっとでできるので、とりあえずメンバーに配る、なんて目的のときにはかなり重宝しますよ。

必要に応じて何枚で焼くことが可能

それから、この方法、子供のピアノの発表会をCDにしたい、なんてニーズにもピッタリですから、ぜひお試しください。

【関連サイト】
SOUND FORGE Audio Studio製品情報
フックアップ ~ Sony Creative Software製品
George Yohng’s W1 Limiter

【価格チェック&購入】
◎ソースネクスト ⇒ SOUND FORGE Audio Studio

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