SSW 10にバンドルされるVOCALOID3-SSW ReWireプラグイン
まず、具体的な機能の紹介の前に、通常のDAWとVOCALOID3との関係について整理してみましょう。ご存知のとおり、現在発表されている多くのVOCALOID作品はDAWを用いて作られています。VOCALOID3になって、カラオケデータ(WAVファイル)をVOCALOID3 Editorに読み込ませて、ミックスすることができるようになったとはいえ、大半の人はDAW側で処理していると思います。
同様に、ボーカルのフレーズをちょっと変更したい、VOCALOID3 Editor側で一部を調教し直したい……といった場合でも、すべての作業をやり直しになります。ボーカルトラックが多ければ、トラック数分同じ作業を繰り返すので、大変。この行ったり来たりの操作というのは、かなり煩わしいものであり、時間も手間もかかるので、イライラと感じる方も少なくないと思います。
そこで登場してくるのがReWire(リワイヤー)というものです。これはスウェーデンのPropellerhead Softwareという会社が規格化したもので、ソフトウェア同士を仮想的なMIDIケーブル、オーディオケーブルで接続して、同期して動かそうというものです。つまり、DAWとVOCALOIDを同時に再生し、VOCALOIDの歌う音をPCの内部的にDAWへと受け渡してしまうというわけです。これなら行ったり来たりする必要なく、DAWの1つのトラックのようにVOCALOIDが鳴ってくれるため、効率的な作業が可能になるのです。もちろんSSWにも以前からReWireに対応していました。
ところが、このReWireという仕組み、VOCALOID2では搭載されていたのですが、VOCALOID3では削除されてしまいました。そのため、多くの人たちが困っていたわけですが、インターネット社が独自に開発した仕組みを使うことによって、ReWire接続を可能にしたのです。それがSSW 10にバンドルされているVOCALOID3-SSW ReWireというもの。インストール作業自体は、SSW 10インストール後のアップデータが自動的に行ってくれるので、とっても簡単。具体的にはVSTのプラグインとしてVOCALOID3 Editorに組み込むことにより、そこからSSW 10へとオーディオ信号を送ることが可能になるのです。
このプラグインをVOCALOID3 Editorのマスタートラックに組み込めば、VOCALOID3 Editorで鳴る音すべてをSSW 10へ送ることができます。また、各トラックごとに組み込めば、メインボーカル、サブボーカル、コーラス……というように別々に送ることが可能。したがってSSW 10のミキサーを見ると、それぞれ別のトラックとして見えるので、必要に応じて、トラックの音量バランスやPANの設定を変えたり、異なるエフェクトを設定することも可能になるのです。
実際の作業手順について、インターネット社がビデオを作っているので、これを見るとわかりやすいと思いますよ。
VOCALOID3-SSW ReWireのデモビデオ、最大化するとよりよくわかります
このビデオのほかにもYouTubeのインターネット社のOfficial ChannelにはSSW 10に関する各種使い方がビデオとしてまとまっているのでSSW 10に興味のある方は見てみると参考になると思いますよ。
ところで、本来のReWire規格においては32bitアプリケーション同士、または64bitアプリケーション同士でしか接続できません。しかし、VOCALOID3 Editorは32bit対応のものしか存在していないため、通常ならSSW 10の64bit版とは接続できない、ということになるのですが、うまい仕掛けが施されているため、64bit版でも問題なく利用できるというのも嬉しいところです。
64bit版のSSW 10でも問題なくVOCALOID3 EditorとのReWire接続ができる
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