Tempo-P:はい。当初Macを使っていたのでDAWはGarageBandでスタートし、Logicも使って作っていたのですが、アメリカにいて一人で作るのはなかなか大変でした。そこで、誰か一緒に制作活動をしてくれる人はいないだろうかと探してみたんです。ただ、当時アメリカでボーカロイドを使っている人を見つけることはできませんでした。そんな中、3年前にルーマニアにいるNeutrinoP(ニュートリノP)と出会ったのです。
アメリカのTempo-PとルーマニアのNeutrinoPのユニットVOCALECT VISIONSの楽曲「Lemon Ice Bar」
※注:このインタビューは3月に行われたドイツ・フランクフルトのMusikmesseの会場で行いました。Tempo-Pはアメリカからドイツ・フランクフルトを経由してルーマニアに行っています。
Tempo-P:クリプトンの初音ミク、鏡音リン・レン、巡音ルカのほか、AHSの猫村いろは、miki、結月ゆかり、またインターネットのGUMIの英語版やがくっぽいどなど、いろいろ使っています。NeutrinoPの楽曲での使い方としては、複数の異なるボーカロイドをミックスさせて使うケースが多いんですよね。
結月ゆかりを使った楽曲「Cosplay Day」
Tempo-P:かなりアメリカ風ですよ。まずはアメリカ人にボーカロイドのコスプレをして踊ってもらっています。そこで盛り上げつつ、そこからホログラムに入っていくという流れですね。MCも踊りもアメリカ人のチームで考え、行っていて、ボーカロイドをまったく見たことないという人たちにも楽しんでもらっています。
アメリカ人がボカロコスプレで踊ったり、ホログラムが踊ったりするコンサート
(写真はVOCALECT VISONSのFacebookページより)
Tempo-P:一般的にはとても低いのですが、アニメ系のコンベンションなどにいくと、初音ミクなら95%の人たちが知ってますよ。そうしたところでVOCALECT VISIONSのイベントを行いながら、よくみんなに質問をしているのですが、ボーカロイドという名前はかなり浸透していますね。でも、ボーカロイドが何をするものなのかを知っている人となると30%程度、そしてボーカロイドを使ったことのある人となると、数パーセントといったところです。そこで、ボーカロイドの声を聴かせ、ホログラムでの踊りを見せると、「こんなハイテクなものがあるとは信じられない」といったコメントをいっぱいいただきますよ。いまはスタッフの数も増えてきて、テクニカルディレクタ、エンジニア、そして踊り子さん達といろいろいてVOCALECT VISIONSはプロダクショングループという感じになっています。
Tempo-P:これまで頑張ってこれたのは、NeutrinoPのおかげです。彼のストーリーに感動し、手伝えないかと思ったのがスタートで、その後いろいろな人たちと出会え、このコンサートなどアイディアも広がってきました。今後もこうした活動で、彼の生活が楽になってくれたら……と思っています。もっとも現状は、僕もゲームメーカーで働きつつ、休日などにVOCALECT VISIONSの活動をしているという、いずれはこれを本業にしたいんですけどね。