波形編集ソフトはDAWにはない機能もいろいろ。画面はWaveLab 8
といったものがあります(アルファベット順)。画面拡大することでサンプル単位での編集も可能で、徹底的にこだわってチェックしていくことができます。たとえば音量オーバーでクリップしてしまったデータは、基本的には使いものにならない素材ですが、ごく小さなクリップであれば、波形を見ながら、自ら波形を描いていくことで、ある程度復元するといったこともできるわけです。
主要ソフトの基本スペックを並べると以下のようになります。
ソフト名 | Audacity | Sound Blade LE | Sound Forge Pro | Sound it Premium | WaveLab8 | WaveLab Elements 8 |
価格 | Free | 35,700円 | 57,750円 | 17,640円 | 59,800円 | 9,980円 |
対応OS | Win/Mac | Mac | Win | Win | Win/Mac | Win/Mac |
64bit対応 | 互換モード | ○ | 互換モード | 互換モード | ○ | ○ |
サンプリングレイト | 8kHz~384kHz | 4kHz~192kHz | 2kHz~192kHz | 4kHz~192kHz | 6KHz~384KHz | 6KHz~96KHz |
最大サンプリングビット | 32フロート | 24 | 64フロート | 24 | 64フロート | 32フロート |
チャンネル | メモリ依存 | 2 | 1~8 | 1~2 | 999 | 1~2 |
これら波形編集ソフトは、DAWのように音を重ねて音楽を作っていくツールではないため、シングルトラックでの使用が基本となります。そして、そのトラックデータをそのまま「何も足さない、何も引かない」形で保存できるのがポイントでもあります。
DAWのトラックデータをWAVで書き出すとなると、いわゆるバウンスという形となるため、エフェクトがかかったり、ボリュームが変更になったりする危険性が出てきますが、波形編集ソフトなら、単純なだけにそうした心配がないのです。
ソフト名 | Audacity | Sound Blade LE | Sound Forge Pro | Sound it Premium | WaveLab8 | WaveLab Elements 8 |
ASIO | – | – | ○ | ○ | ○ | ○ |
MME | ○ | – | ○ | ○ | – | – |
CoreAudio | – | ○ | – | – | ○ | ○ |
また多くのファイル形式の入出力に対応しているのも特徴です。先ほどのソフトの対応状況をまとめてみましたが、多くのフォーマットに対応しているのと同時に、リサンプリング機能や、ビット深度変更機能なども搭載されていますから、ファイルコンバータとしても威力を発揮してくれます。
ノイズリダクション機能もチェックポイント。画面はSound it 7 Premium。
このSONNOX DE-NOISERはWaveLab 8などにも搭載されている
波形を編集する場合、カット、コピー、ペーストといった操作、自分で波形を描くといったことのほか、ノーマライズ、タイムストレッチ、フェード処理といったことができるほか、DAWと同様にエフェクト処理も可能で、VSTなどのプラグインフォーマットにも対応しているので、これらを用いて編集していくことが可能です。その中で、一つチェックしておきたいのがノイズリダクション処理です。DAWでレコーディングした素材であれば、無用のものですが、昔の素材をDAWで利用したいといった場合、波形編集ソフトの機能でブラッシュアップしてからDAWに取り込むといったことも可能なわけです。
ソフト名 | Audacity | Sound Blade LE | Sound Forge Pro | Sound it Premium | WaveLab8 | WaveLab Elements 8 |
クリック/クラック | ○ | – | ○ | ○ | ○ | ○ |
ヒスノイズ | – | – | ○ | ○ | ○ | ○ |
ノイズゲート | ○ | – | ○ | ○ | ○ | ○ |
ノイズプリント | ○ | – | ○ | – | ○ | ○ |
スペクトル解析 | – | – | – | – | ○ | – |
そして、もう一つDAWにない重要な機能が、マスタリングです。まあ、EQやコンプなどのマスタリングエフェクトで音を仕上げるという点では、DAWでもできるのですが、ここでいうのは、CDとして仕上げる機能、プレス工場に渡すマスターを仕上げる機能についてです。
ソフト名 | Audacity | Sound Blade LE | Sound Forge Pro | Sound it Premium | WaveLab8 | WaveLab Elements 8 |
PQコード入力 | – | ○ | ○ | – | ○ | ○ |
CDテキスト | – | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
DDP | – | ○ | – | – | ○ | – |
ディザリング | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
マスタリングFX | – | EQ | ○ | △ | ○ | ○ |
トラックリスト書出 | – | ○ | ○ | ○ | ○ | – |
トラックIDについては、トラックマーカーなどを波形上に打ち込んでいくことで、自動生成することができ、曲中の任意の位置に打ち込むことで、メドレー曲を続いて演奏させながら、トラックを分けたり、ライブアルバムにおいて、曲と曲の間に歓声やMCを入れてしまうといったこと、CDプレイヤーで再生される1曲目の前に隠しトラックを作っておくといった、トリッキーなことも可能になるわけです。
このようにして作ったマスターデータ、最近はプレス工場に対してDDPというファイル形式で一括送信することが一般的です。こうした納品を考えているのであればDDP出力に対応しているかどうかも、一つのチェックポイントです。
また一言で波形編集ソフトといっても、いろいろなものがあり、機能もいろいろ。無料のソフトから高価なものまであるので、どう選ぶかは自分の用途から考えていくといいでしょう。とくにマスタリング機能では大きく違いもあるので、よくチェックしてみてください。
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