Inter-App Audioについては、以前、「iOS7のInter-App Audio機能はiOS DTMの革命だ!」という記事で紹介しているので、そちらをご覧いただくとして、ここではAudiobusについて、まず簡単に振り返ってみましょう(以前「iOS上のシンセ、エフェクト、レコーダーを有機的に接続するAudioBusはスゴイ!」という記事も書いているので参考までに)
という3つのモジュールで構成されるシステムアプリで、それぞれに好きなアプリを設定することが可能になっています。たとえばINPUTにシンセアプリであるKORGのiPolysixを、EFFECTSにマルチエフェクトのEcho Pad、そしてOUTPUTにDAWであるCubasisを設定したとしましょう。
今やDTM主要アプリのほとんどがAudiobus対応し、アプリ数は400を超えた
そのAudiobusがAudiobus2へとバージョンアップし、さらに機能が大きく強化されました。まずは、マルチポートの入力を持つオーディオインターフェイスへの対応です。
たとえばSteinbergのUR44はLightning-USBカメラアダプタを経由することでiPadやiPhoneと接続可能なオーディオインターフェイスで、計6つの入力を備えています。これを接続した状態でAudiobus2を起動するとその中の任意のチャンネルを選択することができるし、必要あればCH2とCH4とCH6のように組み合わせて扱うことも可能です。もちろんUR44以外でもPreSonusのAudiobox44VSLをはじめ、CoreAudio対応のデバイスであれば同様にして使うことができます。
またオーディオインターフェイスのバッファサイズの設定=レイテンシー調整も強化されているので、iOSデバイスのCPU処理能力によって最適値を設定することが可能になっています。
アプリ内課金500円によってサポートされるマルチルーティング機能
が、それよりも大きいのがマルチルーティング機能です。この機能は500円のアプリ内課金が求められるのですが、1度支払ってしまうと、Audiobusがさらに使えるアプリへと進化します。
これまでINPUTデバイスは追加が可能でしたが、マルチルーティング機能が使えるようになると、エフェクトを追加していくことが可能になります。つまり前段にAmplitubeを入れ、後段に先日紹介したマスタリングアプリのFinal Touchを入れ、さらにエフェクトを追加するなんてこともできるのです(そんな使い方はしないと思いますが……)。
さらに、INPUT-EFFECTS-OUTPUTという流れを1系統だけでなく、複数系統設定することも可能で、それぞれを同時に動かすことができるのです。
「複雑なことをするならPCのDAWを使えばいい」という方も多いと思いますし、それが正論だとは思います。でも、iPadやiPhoneでどこまでできるかを挑戦する意味でも、なかなか面白いシステムだと思います。