さまざまな機材とデジタル接続可能な新世代デジタルミキサー、RolandのMX-1
MX-1のリアパネル。18chの入力を備えているのに、結構シンプル
ただ、デジタルミキサーって、あまりないんですよね。各社から出ていた機器もみんな廃盤になっちゃって、残っているのは業務用の高価な機材くらい。一般ユーザーが手軽に入手できるものがほとんど存在しないのが実情です。そんな中、RolandがAIRAシリーズとして発売したのが新世代デジタルミキサー、MX-1(実売65,000円前後)。これは従来のデジタルミキサーともまただいぶ異なるもので、まさにDAW時代の現代にマッチした理想的なミキサーになっているんです。
MX-1の概要していきましょう。まずはミキサーなので入力から見ていくと、普通のミキサーと同様、アナログ入力が6ch用意されています。1~4chがそれぞれ標準ジャックで入力するモノラル、5/6chはステレオミニジャックで入力するステレオとなっています。またS/PDIFのコアキシャルが1つあるので、デジタルオーディオ機器などはここに繋ぐといいですよね。ちなみに、このS/PDIF端子は1つで入出力切り替えて使う仕様になっています。
さらに画期的なのはUSB入力がステレオ4chあるという点です。これがほかのデジタルミキサーにはなかったMX-1最大の特徴ともいうべきところ。またこの4つのUSB入力とは別にPCからの入力がステレオ1chあるので、モノラルで数えれば計18chの入力を持つデジタルミキサーとなっているのです。
またユニークな点としてはUSBの3番のみはバス電源供給が可能であること。たとえばTB-3をここに接続すれば、USBからの電源供給だけで動作させることができるわけですね。そして、このUSBの各ポートに接続した機器からの音はMX-1のUSB1~USB4のチャンネルのフェーダーに立ち上がってくるわけです。
一方、正方形のほうのUSB端子を使ってPCと接続すると、PCからはMX-1が18IN/18OUTのオーディオインターフェイスとして見えるようになっています。これをどう使うかは、MX-1のモード設定をどうするかによって、変わってくるのですが、初期設定ではMIXERモードというものになっており、MX-1は普通にミキサーとして機能するため、各チャンネルへの入力は、接続されているアナログ端子やデジタル端子、USB端子からのものとなり、PCからはPCチャンネルとして2chで入ってくる形になります(使っていないUSBチャンネルにもPCからの別チャンネルとしてアサインすることが可能)。
しかしEXTERNAL MIXINGモードというものに設定すると、まさにそのまま18IN/18OUTのオーディオインターフェイスとして使うことができ、各チャンネルに入ってきたアナログ信号もデジタル信号も、そのままPCへと流れる形になります。MIXERモードとの一番の違いは、PC側から出した18chがそれぞれMX-1上のフェーダーで操作できること。しかもMX-1に搭載されているエフェクトやフィルターでPCからの音をいじることができるのも面白いところです。このモードでは外部からMX-1へ入ってくるアナログやデジタルの信号はPCへ行き、ミキサー上には立ち上がってきません。ちょっと、言葉での説明だと分かりにくいかもしれませんが、Rolandの「MX-1 EXTERNAL MIXING モードの使いかた」というページに詳細があるので、興味のある方はご覧ください。
またCONTROL SURFACEモードというものにすると、MX-1のフェーダーをコントロールサーフェイスとしてPCのDAWのコントロールに利用することが可能です。つまり、CubaseやSONAR、live、StudioOneといったDAWのミキサーをリモコン的にコントロールすることが可能になるんですね。
MASTER FXにはDELAY、FILTER、SCATTER、FLANGER、BIT CRUSH、ROLLの6種類が利用できる
ところで、MX-1にはMASTER FXとBEAT FXという2つの性格の異なるエフェクトが搭載されているので、これについても簡単に紹介しておきましょう。まずMASTER FXはすべてのチャンネルがミックスされたサウンドにかけるエフェクトで、ディレイやフィルター、6種類のエフェクトから選択できるようになっています。同時に使えるのは1つのみですが、各チャンネルごとにオンとオフの設定ができるようになっています。
一方のBEAT FXは各チャンネルごとにフィルターやスライサー、サイド・チェインの3種類の中から一つを設定することができます。BEATと言っているのは、テンポに合った形でかかるようになっており、しかもシーケンサのように16ステップあるステップごとにオン/オフを設定できるのですが、この辺は今回記事のテーマであるミキサーそのものとはちょっとズレるので、割愛しますね。興味のある方はぜひ、MX-1の製品情報ページでチェックしてみてください。
さらに、MASTER FX、BEAT FXとは別にTONE/FILTER FXというものが各チャンネルごとに独立して設定できるようになっています。これはチャンネルストリップ的なものであり、EQやローパス、ハイパスといった設定を行うもの。全部で10種類の異なるタイプが用意されており、しかもそれぞれツマミを使って調整できるようになっています。
PCとの接続においては44.1kHz、48kHz、96kHzのいずれかを選択できるようになっているのですが、たとえば96kHzの設定において、MX-1にJD-Xiを接続した場合、内部で自動的に96kHzへサンプリングレートコンバートされた上で、PCへと入ってくるわけなのです。
【関連情報】
Roland MX-1製品情報