そして、その機能強化に合わせて、国内でのダウンロード価格が10月15日までの1ヶ月限定で23,800円(通常43,200円)と特価設定されたので、改めてBFD3がどんな音源なのかを紹介するとともに、今回のアップデートのキーでもあるBFD3に搭載されているオーディオ圧縮技術について考えてみたいと思います。
FXpansionのドラム音源、BFD3
BFD3はイギリスのFXpansionが開発したドラム音源で、XLN AudioのAddictive Drums 2、ToontrackのEZ DRUMMER 2、Native InstrumentsのBATTERY 4などと並ぶ、世界4大ドラム音源の1つ。その中でも抜きん出た音源として多くのユーザーに捉えられているのは、大容量なのにとても軽く動作する性能と、音質の良さやフレキシビリティーの高さというものがあるのだと思います。
そのBFD3はWindowsおよびMacで動作する音源で、VST、AU、RTAS、そしてAAX64bitのプラグイン環境で動作するほか、スタンドアロンでも動作するというもの。最大の特徴ともいえるのは、このBFD3の音源データが155GBにもおよぶ、ドデカイ容量によるサンプリングデータである、ということ。7キット、119のピースを自在に入れ替えつつ使える音源で、これらは、いずれも世界的に名の知れたL.A.のOcean Studiosとメリーランド州のOmega Recording Studiosで、BFD3のためだけに、数週間をかけて収録されたものだそうです。
BFD3は実際の生ドラムを録った音を再現するソフトだから、ユーザーが打ち込んで作ったドラムサウンドは、生ドラムをレコーディングしたものと同義です。しかも、キック、スネア、シンバル、タム、ハイハット……とそれぞれのピースを世界有数のスタジオで、最高のレコーディングエンジニアが、録っているんですから、いい音でないはずがないわけです。
しかも、ユーザーは与えられたドラム音をただ使うだけに留まらないのが面白いところ。生ドラムのレコーディングにおけるマイクセッティングについてご存知な方はよく分かると思いますが、生ドラムほど録るのが大変な楽器はありません。このBFD3でも、そうしたマイクセッティングの元、録られているのですが、ユーザーがそれぞれのマイクのセッティングやバランスを調整することができるのです。
BFD3自身にもドラムパターンのシーケンス機能を搭載している
普通のDTM感覚でいえば「え?それって誤動作なんじゃないの?」と思ってしまうところではあるけれど、レコーディング現場での状況を考えれば当たり前なこと。だって、スネアに設置されているマイクをオフっても、スネアの音は他にセッティングされている各マイクで拾うわけですからね。スネアを叩くことで、シンバルが共振する音だってしっかり聴くことができますよ。そのくらい、BFD3はリアルなドラム音源なのです。
なぜ、そんなことができるのか、発売元のメディア・インテグレーションのブログで「BFDシリーズ産みの親・開発者インタビュー」という記事を上げているので、興味のある方はそれを読んでみると面白いですが、要は発音データの頭部分は予めメモリーに読み込んでおき、その後の余韻はHDDからのストリーミングで鳴らすという仕組みになっているようです。こうした仕組みは他のサンプラーでも取り入れられているものですが、ロスレス圧縮で、このパフォーマンスを出しているのはとっても優秀だな、と感じました。
このように、最高の音で生ドラムのレコーディングデータを生成できるBFD3ですが、「自分が録った、この音をパーカッションとして使いたい」、「サンプリング素材で入手したこのスネアをどうしても使いたい」なんてこともあるでしょう。アップデートされた最新版のBFD3では、こうした音素材=WAVファイルを取り込んで使うことも可能になっています。
さらに旧バージョンのBFD2を持っているという人にとっても、嬉しい機能が用意されました。BFD3とBFD2では、ドラムキットの内容が異なるためBFD3にBFD2のサンプリングデータをインポートして使うという機能がありました。ただ、従来は非圧縮のまま取り込む形になっていたのですが、新しいバージョンでは、BFD3のライブラリと同様にロスレス圧縮することができるため、ファイルサイズを1/3程度にまで減らすことが可能になっているのです。また拡張音源についても、同じようにロスレス圧縮して取り込むことが可能になっています。