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4音ポリを8音ポリ化するRoland Boutiqueのチェイン・モードの秘密

数量限定販売ということで、発売前から予約でいっぱいになりつつあるRoland Boutique。これまでDTMステーションでも「JUPITER-8、JX-3P、JUNO-106を現代に蘇らせたRoland Boutiqueデビュー!」、「Roland BoutequeのDTM的機能をチェックしてみた」という記事で紹介してきた通り、これは80年代にRolandから発売された往年の名器といわれるアナログシンセ、3機種を現在のデジタル技術によって復刻させたシンセサイザです。もちろん、私もしっかり予約をしましたが、みなさんどれを買うかで悩んでいるようですよね。

 

復刻されるのはJUPITER-8JX-3PJUNO-106のそれぞれでであり、まさにオリジナルと瓜二つな機能、性能そして、サウンドを実現しているのですが、1点オリジナルにかなわない点があるのです。それがポリ数です。本来JUPITER-8なら8音、JX-3PやJUNO-106なら6音が同時になるはずなのですが、Roland Boutiqueはいずれの機種も4音までという仕様。でも、その問題を解決する方法が用意されているのです。それがチェイン・モードというものなのですが、これがどんなものなのか、いろいろと実験して、その秘密を解いてみました。


Roland Boutiqueに搭載されたチェイン・モードとはどんな機能なのか、探ってみた 

 


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すでにご存じの方には繰り返しになりますが、今回発売されるRoland BoutiqueはJUPITER-8を復刻させるJP-08JX-3P+PG-200を復刻させるJX-03、そしてJUNO-106を復刻させるJU-06のそれぞれ。いずれもコンパクトなMIDI音源モジュールなのですが、K-25mというミニキーボードと合体させることで、鍵盤付きのシンセサイザになる、というユニークな仕様となっているのが特徴です。


本体の音源モジュールとキーボードであるK-25mを合体させて使える仕様となっている

音源の中にはDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)が搭載されており、これを使って30年前のアナログシンセサイザをモデリングで復元させているのです。そして、このモデリングに使われているのがRoland自慢のACB(Analog Circuit Behavior)テクノロジーという技術。AIRAの誕生とともにお披露目されたACBはTR-8におけるTR-808の復元、TB-3におけるTB-303の復元など、まさに大活躍となっているわけですが、これがRoland Boutiqueでも使われているわけですね。

このACBは、かなり高度な演算を行っていることもあり、各機種ともに同時発音数は4音が上限となっています。でも、オリジナルを再現するためには4音ポリでは足りません。その点についてRoland担当者に聞いたところ「ACBによって、オリジナルのサウンドを忠実に再現することができました。さらにオリジナルと同じ発音数が欲しい必要だという方のために、2台のRoland Boutiqueを連携させて8音にするチェイン・モードを用意したのです。発音数を増やす手段は社内でもいろいろ検討した結果、まさにアナログ時代に行っていたのと同じ手法を用いることになったんですよ」とのこと。

 

そのチェイン・モードとは、いったいどういうものなのでしょうか?これは下の図のように2台のRoland BoutiqueをMIDIケーブルとオーディオケーブルで接続することで、8音ポリを実現できるというもの。


チェイン・モードでの接続方法。左側のJU-06がマスターで右側のJU-06がスレーブの関係 

 

JP-08同士、JX-03同士、JU-06同士でも接続は可能ですが、たまたまRolandからJU-06を2台借りることができたので、ここではJU-06を2台並べて接続したらどうなるのかを見ていきます。まあ、オリジナルのJUNO-106は6音ポリですから、2音分オーバースペックということになってしまいますが、まあ、「JUNO-108?」にグレードアップしたということで!

 

この図では、右側のJU-06の出力音をオーディオケーブルを使って左側に戻してミックスしていますが、これを接続しなければ、左側では1音目から4音目、右側では5音目から8音目が発音される形になるわけです。


左側で発音しきれなかった音を右側で発音できるようにMIDIケーブルとオーディオケーブルで配線 

 

ただし、この際、左側のJU-06をチェイン・モードに設定する必要があります。デフォルトではオフとなっているので、その状態で同じような配線をしても、単純に2台のJU-06がユニゾンで鳴るだけ。チェイン・モードをオンにすることで、威力を発揮するんですよ。


左側のJU-06をチェイン・モードに設定 

 

とりあえず、実際に試してみたところ、いろいろなことが分かってきました。まず、4音までを弾いている限りはすべて左側から音が出て、鍵盤で5和音目を弾くことで初めて右側が鳴ります。この右側が鳴っている状態で、先に発音した4和音の鍵盤から指を離しても、5和音目の音をオンにしている限り、ずっと右側が鳴っています。


左側でプリセットを切り替えると、右側には「・」 が表示されるだけだったが、音色は連動して切り替わった

 

次に左側で音色のプリセットを切り替えるパッチボタンを操作すると、左側の音色が切り替わる一方で、右側の音色番号を表示するLED表示は、左側には追従しません。が、音色に何らかの変化が生じたことを示す「・」マークが点灯すると同時に、実際に音を弾いてみると、左側とまったく同じになっています!

 

さらに左側でフィルターやエンベロープをいじってみると……、リアルタイムに追従して左側と同じように音色が変化します。まさにチェイン・モード、2つは完全に一体化していますね。

 

ここで気になったのは、左側の音色プリセットを書き換えてしまったら、どうなるのか……ということ。実はマニュアルのチェイン・モードのところの記述を見ると
※2台のJU-06は「データ・バックアップ/リストア」の手順でパッチの設定を揃えておくと良いでしょう。
とあったので、左右で違う音色が出るだろう、と予想していました。ところが、実際に試してみると、左右でまったく同じ音色になりました。もちろん、右側のプリセットが書き換わったわけではなく、右側だけで操作すると元の音が出ます。つまり、パッチボタンを操作するとプログラムチェンジ信号が出力されるというわけではなく、音色が丸ごと転送されていたんですね。なかなか優れた設計だと思いますよ!

 

さて、次に実験してみたのは左側にJU-06を、右側にJP-08をセッティングして、JU-06をチェイン・モードに設定するとどういう現象が起きるのか、ということです。みなさんは、どうなると予想しますか?


JU-06をチェイン・モードに設定し、これにJP-08を接続すると、どうなるか実験してみた

 

これは比較的シンプルな結果になりました。まず5音目以降が右側の音源に割り振られるというのは、先ほどとまったく同様で、JP-08を鳴らすことができました。ただし、左右が違う音源なので、音色は違うものとなってしまいました。もしかして、ここはうまく共通化されているのでは……とも期待したのですが、やはり違う音源ですからね。

 

では、パッチボタンを押してプリセットを切り替えると、何が起こるのでしょうか?実は、この結果何も起きませんでした。元の音色のまま変化しないのです。さらに、フィルターやエンベロープほか、各種パラメータをいじっても、右側はまったく動じず、ただ元の音色のまま。

 

この状態でも、左側のJU-06のピッチベンドやモジュレーションを動かすと、右側はそれに反応するので、やはり音色のパラメータが無視されている、ということのようです。と、ここまでテストして見えてくるのは、チェイン・モードで左側から右側へと送っているMIDI信号は
・ノート情報
・ピッチ情報
・モジュレーション情報
の主に3つ。パッチボタンの操作でプログラム・チェンジは送られず、各パラメータを動かした際もコントロールチェンジ情報を送っているわけではないようです。送っているのはリアルタイムでのシステムエクスクルーシブ(SysEx)情報。だから、JU-06のデータをJP-03は無視するということのようなのです。

 

この仮定が本当に正しいのか、これについてもテストしてみました。方法は単純。右側のJU-06を切り離した上で、左側から流れてくるMIDI信号を解析してみたのです。この解析に用いたのはiPadとMIDIインターフェイスであるiRig MIDI2、それに解析アプリのMidi Tool Box。Active SensingやTiming Clockなどリアルタイムメッセージをフィルタリングした上でチェックしたところ、予想は大当たりでした。やはり各種データはSysExで送っていたんですね。


パッチの変更をしたり、パラメータを触るとシステム・エクスクルーシブデータが出ていた 

 

ただし、よく見てみたところ、ノート信号は右側に送る5音目以降だけでなく、1~4音目までも出力されていました。ただし、ベロシティー値は0になっているから、右側は発音されなかったんですね。また、左側で鳴るノート信号も、右側で鳴るノート信号も、すべてチャンネル1となっています。


左側の発音に関してはベロシティー値0で出力されていた 

 

ちなみに、前回の記事でも書いた通り、Roland BoutiqueにはMIDI IN/OUTの端子のほかに、USB端子もあり、こちらはMIDIもオーディオも扱えるようになっています。通常モードの場合、MIDI OUTから出てくる信号も、USBから出てくるMIDI信号もまったく同じでした。では、チェイン・モードの場合はどうなるのでしょうか? これもMIDIモニターを使ってチェックしてみたところ、USB側ではSysExデータは来てないようですね。まあ、SysExが通ったところでUSBで2機種を接続できるわけではないので、そもそもここに意味はないですね。

 

最後の実験は、右側のマシンもチェイン・モードにした上で、左側で9音以上の音を出したらどうなるか、という実験です。接続は先ほどと同様に2台のJU-06をMIDIケーブルで接続した上で、右側のJU-06のMIDI出力をモニタリングしてみる、というもの。


3台以上をチェイン・モードで接続したらどうなるかも実験してみた 

 

結論からいうと、ここでもチェイン・モードが威力を発揮してくれました。そう、右側のJU-06でも鳴らしきれなかった音は、さらに次のマシンへと送られるのです。つまり3台のJU-06を接続すれば12音ポリとして機能するわけです。

 

これについてもRolandに確認をとったところ、「チェイン・モードは仕様上の上限はなく、何台でもチェーンすることはでき、実際に4台までは実機で正しく動作することを確認しています。ただし、何台も繋ぐとMIDIの遅延が蓄積されていくので、実用上は問題がでてきてしまいます。もともとチェイン・モードは『オリジナルと同じ発音数を確保すること』を目的としておりますので、基本的には2台接続を想定しています」とのことでした。

 

まあ、こうなるとRoland Boutiqueのどの機材を買うのか、という選択肢とともに、それを何台買うのかという、さらに悩ましい問題も生まれてきそうですよ!

【製品情報】
Roland Boutique製品情報

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Commentsこの記事についたコメント

2件のコメント
  • 校正課

    トリック(偽装)よりもギミック(仕組み)と言った方が
    語感が穏やかですし、何より実際の動作を言い合わらせる
    かと。

    2015年10月21日 11:28 AM
  • リフトアップ

    この無理矢理感というか昭和っぽい接続方法が実に面白いですね。
    もっと発展していって小型ブロック化するとKORGのSynth Kitみたいに
    自分の好きなように組めたら楽しそう。
    新しい規格誕生させてくれないかな。

    2015年10月21日 5:52 PM

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