Roland BoutiqueのPCとの連携機能などを中心に詳しくチェックしてみた
K-25mと各機との接続は、フラットケーブルでつなぐとともに、ガシャン!と合体ロボのようにセットするんですよね。K-25m自体には電源は不要だし、MIDI機能などもなく、本当に物理的な鍵盤となっています。ここで気になったのがベロシティの感知についてです。JP-08、JX-03、JU-06ともK-25mを接続して試してみたところ、強く弾いても、弱く弾いても音に変化はありません。確かに、当時のJX-3PもJUNO-106もベロシティー非対応でしたから、それを踏襲しているようです。
ところが、マニュアルをチェックしてみるとシステム設定の項目に「キーベロシティー」というものがあり、3つのモードを選択できるようになっていました。デフォルトの設定は「127」となっているため、どんな強さで弾いても最大値となるのですが、ほかに「64」、そして「TOUCH」という項目もあります。「64」を選ぶと、常にベロシティー値64となる一方、「TOUCH」を選ぶとベロシティーに完全対応するようになっているんですね。
キーベロシティーの設定を「TOUCH」に変更してK-25mを弾いてみるとベロシティー感知しているのが確認できる
試しにK-25mで弾いてみると、確かに鍵盤を弾く強さで音が変わるようになったし、外部MIDI信号を受ける場合でもベロシティーに対応するようになりました。私個人的には、やはり当時のままの仕様が好きなので、デフォルトの設定にしておきたいように思いましたが、ベロシティー対応させると、表現力も大きく広がるので、好みに応じて設定を変更してみるとよさそうですね。
このRoland Boutique、JP-08、JX-03、JU-06ともにリアパネルの端子は同じ。MIDI入出力があるほかに、USB端子、ヘッドホン端子、ライン出力端子、ライン入力端子が用意されています。ここでDTM的観点から見て、まず重要になってくるのが、USB端子です。写真を見るとわかる通り、スマホなどで使われる一般的なMicroUSB端子となっているのですが、ここには大きく3つの意味合いがあります。
まず1つ目は電源としての端子であるという点。Roland Boutiqueは単3電池4本で駆動する機材ですが、このUSB端子をPCに接続したり、ACアダプタに接続して電源供給すると、バスパワーによって駆動するようになっています。電池が入っていても、バスパワーが優先されるようになっているようです。
一方、PCと接続し、Roalnd Boutique用のドライバをインストールするとMIDIデバイス兼オーディオデバイスとして見えるようになっています。それぞれについて順番に見ていきましょう。まずMIDIデバイスとしてみた場合、基本的には本体のMIDI端子と同様の働きとなっているようです。つまり、K-25mなどを使って弾くと、その信号がMIDI端子と同じようにUSBを通じてPCへも送られるので、演奏のMIDI情報をDAWへ記録させることが可能で、反対にシーケンサ側からの信号を受けて音源を鳴らすことが可能です。
Roland Boutiqueに内蔵のステップシーケンサをMIDIクロックで同期させることも可能
このMIDIインプリメンテーションチャートを見てもわかる通り、各機種ともにMIDIクロックの入出力がサポートされています。これは、各機種に搭載されているステップシーケンサと同期できることを意味しています。つまりDAW側でテンポを設定した上で、MIDIクロックを送れば、各シーケンサが同期して動いてくれるわけなのです。
複数のRoland Boutiqueを接続した場合、それぞれ別のMIDIデバイスとして認識される
また、1台のPCに複数台のRoland Boutiqueを接続しても、それぞれ別のMIDIデバイスとして認識されるのもポイント。WindowsでもMacでも、ドライバは1種類なので、それをインストールしておけばOKです。ただし、DAWから見ると、どれもBoutiqueという名前で見えてしまうので、どれがどのデバイスであるか、実際に音を出して確認しつつ、DAW側でデバイス名を変更してしまうと分かりやすいかもしれませんね。
DAW側からは2IN/2OUTのオーディオインターフェイスとして見える
次にオーディオデバイスとしての機能についてです。WindowsからであればASIOドライバのデバイスとして、MacからならCoreAudioドライバのデバイスとして見えるので、オーディオインターフェイスを接続したのと同様の見え方となります。つまり、Roland Boutique側を鳴らすと、それがオーディオ信号としてPCへ入力されるため、DAWのオーディオトラックに音としてそのままレコーディングすることが可能です。
また前述のとおり、Roland Boutiqueの各機種にはライン入力の端子があるわけですが、ここへ入ってきた音も、PCへ送られる仕組みとなっています。この際、外部入力とシンセサイザを鳴らした音がミックスされる形となり、あくまでも2chの入力という形になります。
反対にDAWのオーディオ出力をRoland Boutiqueへ送ることも可能です。オーディオインターフェイスとして機能しているのだから、Roland Boutiqueから録音したサウンドに限らず、ボーカルでもギターサウンドでも、もちろんソフトウェア音源の音でも、何でも鳴るわけですね。この際、ヘッドホン端子を通じてヘッドホンでモニターすることもできるし、ラインアウトにモニタースピーカーなどを繋げば、かなり高品位な音で鳴らすことも可能です。でも、何もつながないと内蔵のスピーカーから音が出せるのもちょっと面白いところです。どんな音なのかを簡易的に確認するのなら、これでも十分使えるので、意外と便利ですよ。
ちなみに、このオーディオデバイスとしてPCと接続する場合のサンプリングレートは44.1kHz固定となっています。AIRAシリーズの場合96kHz固定となっているので、そこがちょっと違う設計のようですね。44.1kHz固定であることについては賛否両論あるのでは……とは思いますが、実際に使ってみたところ、アナログを介さず、シンセの出力をそのままデジタルでDAWへレコーディングできるというのはやっぱり便利だし、その入出力過程で外部からノイズが乗る心配もなく、とっても便利だと感じました。
なお、Macの場合は、1台のMacにJP-08、JX-03、JU-06をそれぞれUSBで同時に接続しても、それぞれ別の機器として認識されて、使うことができました。もっとも、Mac側からはどれもBoutiqueというデバイスとして見える点はMIDIの場合と同様です。そのため、どれがどのデバイスであるかは、一度音を鳴らすなどして確認する必要があります。一方Windowsの場合、1つのASIOの仕様上、同時に複数接続しても、認識されるのは1台のみとなっています。
MacからならMIDIも別々のデバイスに見えるが、すべて名前はBoutiqueと表示される
そしてUSBが持つ3つ目の機能がRoland Boutiqueが持つデータのバックアップおよびリストアです。これはやや特殊なモードですが、PATCH[2]ボタンを押しながら、Roland Boutique各機種の電源を入れるとバックアップ/リストア専用モードで起動し、この状態でUSBケーブルでPCと接続すると、PCからはドライブとして見えるようになるのです。そして、そのドライブの中にはBACKUPフォルダというものがあり、そこにあるデータをPCへコピーすればバックアップ完了。反対に、このバックアップしたファイルをRESTOREフォルダにコピーした上でMANUALボタンを押せばリストアでき、バックアップをとったときの状態に戻すことができます。
バックアップ/リストア専用モードで起動するとBACKUPとRESTOREという2つのフォルダが見える
先日紹介したデジタルミキサー、MX-1ともUSB接続でオーディオ&MIDI信号のやり取りが可能
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