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KORG iDS-10開発者に聞く、7年前のヒット作、DS-10との違いと進化点

すでに購入したよ、という方も多いと思いますが、先日KORG iDS-10 for iPhone(以下iDS-10)というアプリが発売されました。これは2008年にニンテンドーDS用のシンセサイザーソフトとして発売され、大ヒットとなったKORG DS-10を進化させ、iPhone用アプリとして新たにリリースしたというもの。

 

KORG DS-10の生みの親でもある佐野電磁さんが率いるDETUNEKORGの共同プロデュースという形で誕生したiDS-10とはどんなシンセサイザーなのでしょうか?iDS-10の開発プロジェクトのリーダーであるKORGの中島啓さん、サウンドエンジニアリング周りを担当された金森与明さん、そしてもちろんDETUNEの佐野電磁さんにもお話しを伺ってみました。開発の経緯や、このアプリに込めた思い、そしてiDS-10の上手な使い方などを聞いていきます。


KORG iDS-10の開発者、左から金森与明さん、佐野電磁さん、中島啓さん


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--今回のiDS-10、もともとどんな経緯で開発プロジェクトがスタートしたのですか?

中島:7年前にリリースされたDS-10は、プラットフォームとしてiPhoneにも適しているし新たに面白いことができるのではないかという思いがあって、佐野さんにお話しを持ち掛けたのがスタートでした。


iDS-10の開発リーダーであるKORGの中島さん

佐野:最初、お話しをいただいたとき、正直なところ、DS-10を今さらか……、という思いがありました。でもクラシック・ソフトシンセのリバイバルになる、DS-10はパッケージとしての要素が簡素に整理されていたのですごくいい、と言われて、なるほど、とは思いました。まあ、それほど悩まずにできるのでは……とも思ったんですよ。実はそれが甘い考えだったんですけどね(苦笑)。

全体コンセプトやデザインを手がけたDETUNEの佐野さん 


--実際の製品を見ると、単にリバイバルというのではなく、ボイスシンセが入るなど、すごく大きく進化してますよね。
佐野:そう、開発途中で、新機能としてボイスシンセを搭載するという話をもらったので、だったらそこにフォーカスさせて、ボイスシンセとして打ち出したほうがいい、ってゴネたんですけど。
中島:DS-10は基本的なシンセサイザーとして、非常に厳選されたパラメータのみとなっているから、シンセが初めてという人にでもとっつきやすく、シンセがどんなものであるかを理解する上でも非常に優れた製品だったと思います。iDS-10では他にも魅力的な要素を入れたく、金森と相談した結果、ボイスシンセというのが生まれてきたんですよ。金森はDS-10の開発当時も担当していたので、単にサウンドエンジニアとしてだけでなく、仕様検討など全体的な相談役にもなってもらいました。


左上がDS-10、右上がDSN-12、下が今回のiDS-10

--DS-10との違いという意味では、ドラム部分も大きく変わってますよね。

中島:DS-10のドラムでは、シンセで作った音をサンプリングして使うという構造になっており、iDS-10も開発当初はこの方式をとっていました。でも、途中でドラムも大きく変えてみよう、という話になり、もっと使いやすいものにしました。具体的にはキック、スネア、ハイハット、タムと分けた上で、直接的にパラメータをいじれる形にし、そのパラメータもグッと絞ったものにしたのです。


DS-10のものとは大きく変わったiDS-10のドラム機能

佐野:こうしたほうが、圧倒的に音も作りやすいですからね。ただ、そのために音程が打ち込めなくなったというネックはあったので、ユーザーのみなさんからは刺されるだろうな、って思ってました。案の定、この件についてのご意見があったのは事実ですよ。でも、個人的な印象ですが、7年前と比較して今のほうが、よりリズムの重要性が高まっているように思うのです。シンセ2基+ボイスシンセ+リズムという構成において楽曲として完成度が高いものを、よりスピーディーに作っていくということを考えると、リズム部はドラムシンセがいいんだろうな、と。


サウンドのエンジニアリング部分を担当したKORGの金森さん 

 

--シンセ部分についていうと、音質的にDS-10とiDS-10では違いはあるのでしょうか?

金森:エンジンは同じものをつかっていて、パラメータ構成も大きくは変更していないので、基本的な音は変わりません。ただiPhoneとニンテンドーDSではハードウェアが異なるので、微妙に違いはあります。それよりも音として大きな違いはシンセごとにエフェクトを選べるという点です。DS-10のときは全体に対して1つのエフェクトをアサインするという仕様だったのに対し、iDS-10ではSYN1、SYN2、VOICEの各シンセ音源それぞれに別々のエフェクトを設定できるほか、マスターにもエフェクトがあるなど、大きく強化しています。


シンセサイザのエンジン部分はDS-10のものをそのまま踏襲している

佐野:音質的な違いという意味では、ソフトの仕様よりもiPhoneとニンテンドーDSとのIOの違いが大きいのではないでしょうか。iPhoneは、クリアでキレイなサウンドで、出力が大きいのでライブなどに使うには向いています。一方、ニンテンドーDSはザラッとしたイメージです。だからいいとか、悪いということではないし、そのザラッとしているところがいい、という方もいますからね。ここは好みの問題だと思います。そもそもDSとDSiでの音の違いなんかも議論されていましたしね。ただ、少なくともパンチのある、パワーのあるドラムの音を想定通りに出力させるという意味では7年経った今のiPhoneのほうが出せますね。エッジが効いていますから。


テキスト入力でボコーダーサウンドを用意に出すことができるボイスシンセ 

 

--ここで、新機能のボイスシンセについて、これがどんなものなのか、改めて教えてください。
金森:これは基本的にボコーダー機能を持つシンセサイザーで、声の入力ソースとして、テキスト入力とマイク入力の2種類が用意されています。ボコーダー自体は、古くはアナログモデリングシンセのMS2000やMicroKORGで使っていた技術が基になっています。その後に発売したRADIASやR3というシンセでは、フォルマント・モーションという機能を入れていました。これは声でしゃべった音、つまりフォルマントの動きを内部的に記録し、それをボコーダーのフィルターとして使っていました。このフォルマント・モーションの技術をさらに発展させたのが今回のボイスシンセですね。

 

--テキスト入力といっても、VOCALOIDのように歌声を作り出すわけではなく、シンセサイザーのフィルターのような形で使っているわけですよね。マイク入力も声そのものを録音しているわけではない?
金森:そうです。サンプリングの場合、ピッチを上げるとフォルマントも上がってしまい、男性の声が女性っぽくなったり、子供の声っぽくなりますが、これはフォルマントだけを記録しているので、ピッチを上げてもフォルマントは変化しないのが大きな違いです。

佐野:フォルマントって、すごい複雑なフィルターであると捉えればいいわけですよね。口の中の開け閉めを記録するみたいな……。ホースを加えて音を加工する大昔のトーキングモジュレータなんかと考え方は近いと思います。


指をゆっくり滑らせるとノートの入力ができ、速く動かしたり2本指で動かせばスクロールする 

 

--ユーザーインターフェイスという点でもニンテンドーDSとiPhoneでは、かなり違いがあると思います。
佐野:そこが最大の問題でした。スタイラスペンで細かく入力できるDSと比較し、指で操作するiPhoneの場合、なかなか細かな操作ができません。そこでスクロールなどを活用し、ノブを大きくするなどして操作しやすくしています。

中島:シンセ画面でもスクロールできるようにしてますが、それとは別にシーケンサのほうもいろいろと工夫しました。指の動きの速さによって、動作を変えるようにしているんです。ゆっくり指をすべらせるとノートの入力ができ、速く動かせばスクロールする。また2本指でもスクロールするようにしています。


パラメータを長押しすると右側にスライダーが出てきて、細かく入力できる 

 
--ほかにも、そうしたユーザーインターフェイス上での使い方のワザがあったりしますか?
中島:そうですね、ツマミの微調整はフリックが使えます。つまり弾くように触れることで、微調整を可能にしています。また、そのツマミをタッチするとスライダーが出てくるので、これで調整することもできますよ。さらにシーケンサの動作中にパラメータを長押し(iPhone 6s/6s Plusでは強く押す)するとパラメータのオートメーションを書けるようにしています。DS-10では KaossPadでX軸、Y軸に何のパラメータをアサインするかを決め、XY軸の軌跡を記録する形でしたが、今回はKaossPadを経由するのではなく、直接記録できるようにしています。

 

--実際に試してみたところ、GarageBandからInterApp Audioで呼び出すとか、Audiobusを使って録音する……といった機能に対応していないように思いましたが、その辺についてはいかがですか?
中島:実はすでに対応させて、バージョン1.1.0としてリリースしたところです。これで他のアプリとの連携も可能になりますよ。

 

--もう一つ気になったのが、オーディオインターフェイスへの対応やMIDIキーボードから入力に対応していないという点。とくにMIDIキーボードで利用できるとよさそうですが、スケールに対応させるなどしたアプリとしてのコンセプトを曲げてしまうようにも思います。
金森:初期バージョンはヘッドホンからの出力だけの対応となっていましたが、1.1.0ではオーディオインターフェイスからの出力、さらにはBluetoothのヘッドホンからの出力にも対応しています。一方でMIDIキーボードへの対応はしていません。この辺はぜひ今後のアップデートで検討してみたいと思います。

佐野:まあ、パラメータも少なくしていますし、そもそも操作できるところも少ないので、さすがに繋ぐな、とはいえないですもんね。実際、キーボードで演奏することのメリットは大きいと思うので、KORGさん側での対応を待ちたいと思います。


ミステリービンゴのTシャツを着る佐野さん。全部クリアするとご褒美がもらえる!? 

 

--ネタバレ禁止というところだとは思いますが、ミステリービンゴについて、少し教えてもらえますか?
佐野:謎解きですね(笑)。要は、ある操作をすると、シンセのどこかが光って、あのビンゴが少しずつ揃っていくというもので、シンセにあまり馴染みのない人が「ツマミが多くて分からない」って終わってしまわないように、別のモチベーションで触ってもらうための試みです。触ってもらっているうちに、音作りに少しでも興味を持ってもらえればなって。このアイコンのひとつひとつがヒントにもなっている宝探しですね。今のところ、全部をクリアした人はいないようですが!全部クリアしても、オーディオの書き出しができるようになる…といった機能追加ではないけれど、タテヨコが揃うたびに人に自慢したくなるご褒美は用意していますので、ぜひ楽しんでみてください!
中島:12月28日までは「全アプリ50%OFF Happy Holiday Sale」実施しています。iDS-10も1,200円で入手できますので、ぜひお早目にお買い求めください!

 

--ありがとうございました。

 

*「KORG DS-10」シリーズは、(株)マーベラスの製品です。
【ダウンロード購入】
◎App Store ⇒ KORG iDS-10 for iPhone

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