DTMステーションでは、これまであまり取り上げてこなかったジャンルの製品ではありますが、非常に高品位なサンプリングサウンドであるのと同時に、MIDI、USB、さらにはBluetoothオーディオ接続機能を搭載するなど、DTMに通じる面もいろいろあったので、最新デジタルピアノ事情ということで、G1 Airについて紹介してみたいと思います。
楽器メーカーの新製品発表会には私もかなり出席させてもらっていますが、1製品の発表でこれだけ多くの人が集まるのは珍しいな……という大盛況のG1 Air発表会。
新宿のホテル 「ハイアットリージェンシー東京」で行われたG1 Airの新製品発表会
やはりシンセサイザやDTM機材と比較して、ピアノというジャンルは裾野が広いということなんでしょうね。また、今回の発表会では、元AKB48の松井咲子さんが生演奏を披露するということもあって、全国の楽器店の方々が集まっていたのかもしれません。
KORGというと、minilogueやmonologue、volca、KORG Gadget、KORG Moduleといったシンセサイザやシーケンサなどのイメージが強いですが、実はデジタルピアノの世界でもすごく大きな実績があるのだとか。3万円台で購入可能な初心者向けのB1というモデルから、ライブ演奏向けのSP-280、国産でホームユースのLP-380など、さまざまな製品がある中、今回リリースされたG1 AirはKORG製品の中では最高峰に位置づけられるものとなっています。
ちなみに、この階層の中には入っていませんでしたが、KORGではtinyPIANOという単3電池で動く子供用のピアノも出しており、小さいながらも正しい音程、きちんとした音質ということで評判がいいですね。またグランド・ピアノのミニチュアのようなmicroPIANOも人気機種となっています。
のそれぞれとのことですが、具体的にはSteinway(スタインウェイ)、Bösendorfer(ベーゼンドルファー)、そしてヤマハのそれぞれのコンサート・グランドをサンプリングした音源のようですね。
ブラックモデル(奥)、ブラウンモデル(手前)もあり、カラーは計3種類
スペックを見ると「4段階ベロシティ・スイッチ」とあり、これは何なんだろう……と思って聞いてみたところ、音の強さが4段階になっているというわけではなく、音の強さによって4段階のサンプリングが行われているので、非常にリアルなサウンドを実現しているそうです。ただし、KORGのモンスターマシン、KRONOSとは違い、全鍵サンプリングというわけではないようですね。
なお、発表会では世界3大ピアノの音色のみが紹介されていましたが、ほかにもサルサ・ピアノ、エレクトリック・グランド・ピアノ、ハープシコード、クラビ、ジャズ・オルガン、ビブラフォン、バイオリン&チェロなど計29音色+3ベースが搭載されています。
G1 Airには、もちろんシーケンサ機能も搭載されています。鍵盤を弾いたものをそのまま記録したり、再生することができるもので、2パート・最大45,000ノートを記録したり、再生したりすることが可能となっています。10種類の音色を使った音色デモ・ソングが10曲とピアノ音色を使ったピアノ・ソングが40曲の50曲がデータとして収録されているので、まずはこれを再生してみるところからスタートしてもいいかもしれません。
2Wayのスピーカー4つを組み合わせて80Wの大出力を実現している
この小さなボディーで安定した大音量を出力できるようにするため、設計ではかなり苦労した…といったことも説明されていました。確かにサイズ的には横幅1,346mm×奥行384mm×高さ822mmとコンパクトなのですが、広い会場においても、ボリュームを上げていくと、かなりの大音量になることには驚かされました。
電源を入れなおしてみると、私のiPhoneとも簡単にペアリングできた
スマホから鳴らす音楽に合わせてピアノを弾きたいという場合にはとっても便利に使えそうです。ペアリングはいたって簡単で、電源を入れると1分間ペアリング可能となるので、その間に接続すればいいだけ。もちろん一度ペアリングすれば、それ以降は自動的に接続されますよ。
さて、ここで気になるのがPCとの接続性です。リアを見るとMIDI IN/OUTの端子とUSBの端子が用意されています。MIDIインターフェイスがあるならMIDIケーブルで接続すればいいし、USBでPCと接続した場合、クラスコンプライアントのMIDI接続となるため、ドライバなしでMIDIのやり取りが可能になります。ただし、Windowsの場合、複数のアプリケーションから同時にG1 Airを制御することができないため、KORG USB-MIDIドライバーをダウンロードして利用することをお勧めします。念のため、G1 AirのMIDIインプリメンテーション・チャートを載せておきますね。
一方、このUSB端子はMIDIのやり取り以外にも、USBストレージ・モードとしてPCと接続することができるようになっています。これはG1 Airの電源を入れる際に、METRONOMEボタンと録音ボタンを押しながら電源ボタンを押すと、このモードとなります。こうすると、PCからG1 Airが一つのドライブとして見えるのですが、ここでやり取りできるのはG1 Airに記録されているシーケンスデータ。MIDIファイルとなっているわけではなく専用データなので、あくまでもバックアップ用途となってしまいますが、バックアップが取れるというのも一つの安心材料にはなりますね。
さて、この発表会でのメインは、G1 Airのイメージキャラクタに就任した松井咲子さんによる演奏。ビデオ撮影や録音は禁止とのことだったので、ここには載せられませんが、ピアニストとしてかなりの腕前なんですね。
どんな日でも必ず毎日ピアノの練習をしているという松井さん。ぜひG1 Airを存分に楽しみたいと話していた
【製品情報】
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