結月ゆかりに続く、VOCALOMAKETSプロデュースの第2弾キャラクタ、紲星あかり誕生!

VOCALOIDのキャラクターとして人気を誇る「結月(ゆづき)ゆかり」。これは数多くあるVOCALOIDキャラクターの中で、唯一VOCALOIDユーザー自らが生み出したもので、7人のボカロPさんの集団、VOCALOMAKETS(ボカロマケッツ)がプロデュースし、AHSが発売したというものでした。ご存知の通り、結月ゆかりはVOCALOID 3版が出た後、VOCALOID 4へとバージョンアップ。その一方で、歌うのではなく、喋るエンジンであるVOICEROID版もVOCALOID 3版と同時に登場し、こちらもバージョンアップを繰り返し、現在VOICEROID2版が大ヒットとなっています。

そのVOCALOMAKETSから結月ゆかりに続く第2弾キャラクタとして、「紲星(きずな)あかり」が発表され、本日12月22日より、VOICEROID2版が発売されました。VOCALOID版のほうは現在開発中で、来年の半ばまでには発売予定とのことですが、さっそく喋るソフトである、VOICEROID2版の紲星あかりを使ってみたので、これがどんなものなのか紹介してみましょう。

12月22日に発売になるVOICEROID2「紲星あかり」


今さら紹介するまでもありませんが、結月ゆかりは、VOCALOIDで歌うし、VOICEROIDで喋るキャラクタとして、さまざまなシーンで利用されています。最近では、ネット生放送番組であるゲーム実況などでも広く使われており、先日のAmazonの年間ランキング大賞2017におけるDTMソフトウェアカテゴリでも、3位にランクインするなど、まさに大ヒット製品となっています。

「結月ゆかり」(左)に続く、VOCALOMAKETSプロデュースの第2弾キャラクタ「紲星あかり」(右)が誕生
その結月ゆかりの初期バージョンが登場してから、ちょうど6年。この結月ゆかりをプロデュースしたボカロPさんたちの集団、VOCALOMAKETSが第2弾キャラクタとして、「紲星あかり」を誕生させたのです。これも歌うソフトであるVOCALOID版、喋るソフトであるVOICEROID版がリリースされるのですが、VOCALOID版の開発にはかなりの時間を要することから、今回はVOICEROID版が先にリリースされることになったのです。

さっそく、この紲星あかりをインストールして喋らせてみたので、ちょっと聴いてみてください。

どうですか?結月ゆかりが落ち着きのある大人の情感あふれる声なのに対し、紲星あかりは明るい女の子の可愛らしく、優しさのある声でだいぶ雰囲気が違いますよね。これは青空文庫である、宮沢賢治の「風の又三郎」の冒頭部分からテキストをコピーし、VOICEROIDにペーストして再生させただけのもの。すごく自然に喋ってくれるのが分かると思います。文字を入力して、再生するだけで喋ってくれるので、使い方はとにかく簡単です。


テキストをコピペするだけで普通に喋ってくれる

VOICEROID自体が一通りの日本語をよく知っているので、漢字交じりの文章を入力すると、それを自動的にカナ展開した上で、アクセントをつけた形で表示され、それに合わせて発音するようになっているのです。見ても分かるとおり、高いイントネーションと低いイントネーションの2つの往復だけなのですが、これで自然に喋ってくれるのですから、なかなか不思議な感じがします。そして、このイントネーションは自分でエディットすることも可能なので、ピッチを描くといった面倒なこともなく、簡単なんです。

自動的にイントネーションが表示され、それを修正することもできる
また、パラメータを持っていて、喋り方をいろいろと調整できるのもVOICEROIDの特徴のひとつです。紲星あかりの場合、具体的には音量、話速、高さ、抑揚の4つのパラメータがあるほか、短ポーズ、長ポーズ、文末ポーズという3つの時間間隔の調整ができるため、かなり雰囲気の違う喋り方を可能にしてくれます。

ちなみに、すでに発売されているVOICEROID2版の結月ゆかり、および琴葉茜・葵の場合、感情表現を調整するスタイルというパラメータがあったのに対し、紲星あかりにはスタイルパラメータはありません。ただ、元の声が比較的シンプルなだけに、高さ・抑揚を調整するだけでもかなり雰囲気が変わってくれるので、広いバリエーションの声を出すことができるのも面白いところですよ。

音量、話速、高さ、抑揚という4つのパラメータを調整するこでかなり雰囲気も変わってくる

しかも、キャラクタの声としてパラメータを固定的に指定できるだけでなく、DAWでいうところのオートメーションのようにパラメータをフレーズごとに動かしていくことも可能なのです。このフレーズというのはスペースや改行で区切った言葉を意味するもの。たとえば「よろしくお願いします!」という表現で「お願いします!」だけの強調するように音量を上げたり、ピッチとスピードを上げて喋らせるといったことが可能となっているのです。


DAWのオートメーションのようにフレーズごとにパラメータを変化させることもできる

さらに前述の高い・低いの2つのイントネーションの関係だけではなかなか表現しきれない語尾についても、「通常」のほか「疑問?」、「呼びかけ♪」、「断定!」の4種類で指定できるため、かなり感情豊かな喋りも可能になっています。


語尾を調整することで、表現力もさらに多様化する

また、既存のVOICEROID2との共存が可能で、マルチボイスといって複数のキャラクタを1文ごとに切り替えて喋らせることも可能です。これによって、対話的な読み上げや物語のように登場人物を変えて読み上げることもできるんです。方法は簡単。右側に記載された読ませたい文に左からキャラクタをドラッグ&ドロップで持っていくだけ。脚本を読ませれば、ラジオドラマのようなものができちゃうわけですね。


複数のキャラクターを順番に喋らせることも可能

なお、VOICEROID2は今回登場した紲星あかり、結月ゆかり、琴葉茜・葵の4キャラクタですが、前バージョンであるVOICEROID+EXには、東北ずん子、民安ともえ、鷹の爪 吉田くん、月読アイ、月読ショウタなど、ほかのキャラクタも存在しています。利用できるパラメータに違いがあったり、声の精度に差があったりはするのですが、これらをライブラリをVOICEROID2に読み込んで利用することも可能になっています。

VOICEROID2にVOICEROID+EXのライブラリをインポートすることもできる
このように喋りという面で、驚くほど高性能に、そして自由に使うことができるVOICEROID2ですが、人間と同様、中にはうまく読めない漢字があったりもします。とくに当て字だと読めるわけがないのですが、そんな場合はルビ(よみがな)を振るという機能も用意されているから、必要に細かく指定することができます。


ルビを振るといった指定も可能
そして、VOICEROID2ではこのようにして喋らせた結果をWAVファイルとして書き出すことが可能となっており、それをビデオに録り込んだり、DAWなどに取り込むなど、さまざまな活用ができるようになっています。


音声保存機能により、喋らせた結果をWAVファイルで書き出すことができる
ところで、今回発売されるVOICEROID2「紲星あかり」にはオプション的な扱いとして、exVOICE(エクスヴォイス)というものがあります。これはブレス、セリフ、エフェクトなどの非圧縮WAVファイル形式の音声ファイルの集合体となっているもので、パッケージ販売ではなく、ダウンロード販売専用の製品となっています。

1000以上のWAVファイルが収録されている「紲星あかり exVOICE Vol.1」

もともとは、VOCALOIDで表現できないブレス音などを出すための補助的な意味合いで出していたそうですが、最近ではゲーム実況など世界で積極的に活用されているとのことで、今回のexVOICEでは、そうしたシーンで活用できる素材が1000以上収録されているようです。実際のeXVOICEの例として、以下のようなビデオがUPされているので、ご覧になると雰囲気が分かると思います。

掛け声や、ため息や舌打ちなど…、VOICEROID2では出せない音が数多くあるので、うまく組み合わせることで面白い表現ができそうです。ちなみに、このexVOICE、商品名としては「紲星あかり exVOICE Vol.1」となっていることから想像できるように、Vol.2以降が登場されることも予想されます。

さて、ここで気になるのがVOCALOID版のほうですが、開発の進展に伴い、少しずつ歌わせることが可能になってきているようです。まだα版の段階ではあるようですが、VOCALOMAKETSのみなさんが、それぞれこれを使ったデモ曲を発表されています。

これらを聴いてみると、これまである各種VOCALOIDキャラクタとは明らかに違った雰囲気であり、大人気キャラクタになりそうな予感がしますね。

そして、もう一つ気になるのは、この紲星あかりの声を担当している中の人が誰なのか、という点です。ご存知の通り、結月ゆかりの中の人は声優の石黒千尋さんなのですが、それが石黒さんであるのが公開されたのは、結月ゆかりがリリースされてから1年経ってからのこと。先日行われた「結月ゆかり・紲星あかり誕生祭記念・公式生放送2017」において、VOCALOMAKETSのBumpyうるしさんは「紲星あかりの中の人は、まずは声を聴いて、みなさんでこれが誰なのか想像してみてください。ぜひみなさんに早く発表したいです」と話していました。

きっと発表はしばらく先になるとは思いますが、声を聴いて想像可能だとすると、著名声優さんである可能性が高そうですよね!? VOCALOID版の登場とともに、中の人の発表も楽しみに待ちたいところです。


VOICEROID2「紲星あかり」にはMAGIX社のMusic Maker Silverがバンドルされている

なお、VOICEROID2「紲星あかり」には、いくつかの付属ソフトが同梱されているのですが、DTMステーション的に注目したいのはドイツMAGIX社のDAW、Music Maker Silverがセットで入っていることです。3クリックで誰でも作曲できてしまう自動作曲機能などが搭載されているソフトなので、DTMは未経験という人でも気軽に音楽制作を楽しむことができるので、ぜひ合わせて試してみると面白いですよ!

【関連情報】
VOICEROID2「紲星あかり」製品情報
exVOICE製品情報

【価格チェック&購入】
◎Amazon ⇒ VOICEROID2「紲星あかり」パッケージ版
◎AHSストア ⇒ VOICEROID2「紲星あかり」パッケージ版
◎AHSストア ⇒ VOICEROID2「紲星あかり」ダウンロード版
◎AHSストア ⇒ 紲星あかり exVOICE Vol.1

Commentsこの記事についたコメント

3件のコメント
  • 名無し

    ボイスロイドもボーカロイドもこんな滑らかに喋るようになるとは技術の進歩は凄いですね。
    それでいてまだ発展の余地もあるからこれからの合成音声技術の発展が楽しみです。

    2017年12月22日 11:51 PM
  • 無名

    商品でなくキャラクタだと民安ともえじゃなく弦巻マキだなあ。ややこしいけど。

    2017年12月23日 11:43 PM
  • 匿名

    15歳なのか…

    2018年2月22日 3:14 PM

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です