先にArrowについて簡単に紹介すると、これは2IN/4OUTのオーディオインターフェイスです。オーディオインターフェイスというのは、PCで音=オーディオを入出力するための装置なのですが、これはDTMを始めるにあたって必ず必要なものの一つです。オーディオインターフェイスがあることによって、ギターやベースの録音を可能にしたり、コンデンサーマイクと呼ばれる高感度のマイクが使用できるようになるとともに、DTMで作った音をヘッドホンで聴いたり、モニタースピーカーから出力できるようになるのです。
フロント左側にはギター入力用の端子が用意されている
「2IN」というのは、そのギターやマイクを接続する端子が2つあることを意味しています。正確にいうと端子数というより音の入力が同時に2系統使えるという意味です。同様に「4OUT」は、ヘッドホンやスピーカーへ接続する出力が4系統あることを表しています。もっとも通常ヘッドホンやスピーカーはステレオ(LとRで2ch分ですね)でセットなので、4OUTということはステレオ×2系統を表します。バンドで一緒に同時録音となると、入力が足りないところですが、自宅での録音、DTM用としては十分な性能を持っているわけです。
リアにはマイク・ライン兼用の入力端子が2つ、モニタースピーカーなどと接続するメインアウトが2つある
ところで、ギターを弾くときにスタジオではギターアンプを鳴らしますよね。これと同じ音量を家で出すのには無理がありますし、そもそもスタジオに置いてあるようなアンプを購入すると、それだけで何十万円もしてしまいます。ところがArrowなら、そのギターアンプに匹敵するものが内蔵されているので、これ1つでギターアンプの役割もしてしまうのも嬉しいポイントです。それはどういうことなのでしょうか?
Arrowにギターを接続すれば、すぐに本格的ギターアンプを通したサウンドを得られる
そう、あのMarshallのアンプが入っているのです。「こんなに小さいのに、どういうこと?」と不思議に思う方もいるかもしれません。これはUAD-2でMarshallのアンプをシミュレーションすることで、ギターアンプそのものの音が出るようになるのです。しかも、本来ならスタジオで爆音を出さないとでないような音を、ヘッドホンの小さい音でも再現できるようになっているのが大きなポイント。これこそ、DTMの醍醐味ともいえるところですね。
Arrowの中にUAD-2というハードウェアが内蔵されている
UA 610-B Tube Preamp and EQ |
Marshall® Plexi Classic Guitar Amp |
Precision Delay Modulation |
Precision Delay Modulation L |
Precision Reflection Engine |
Precision Channel Strip |
Pultec® EQP-1A EQ Legacy |
Pultec® Pro EQ Legacy |
Raw Distortion Guitar Pedal |
Realverb Pro |
Softube Bass Amp Room 8×10 |
Teletronix® LA-2A Compressor Legacy |
UA 1176LN® Compressor Legacy |
UA 1176SE Compressor Legacy |
プロ御用達のコンプレッサ、UA 1176 SE(上)とUA 1176 LN(下)
実際に使ってみるとわかるのですが、これらの機材を通すだけで、グッとくるサウンドになるんですよね。簡単にすぐにいい音になる。だからこそ、忙しいプロの人たちが使っているのです。もっとも、最近はプロの人たちも、本物のハードウェアよりもUAD-2を使うケースが増えてきているようではありますが……。もちろん、上記の14種類以外のUAD-2プラグインも、オプション扱いの別売りとはなりますが、欲しいものを後から追加していくことも可能となっています。
やはりプロ御用達のビンテージ機材Teletronix LA-2A
一方で、冒頭で紹介したとおり、エントリーユーザーに人気の最新のiMacがArrowと相性がいいのも事実なんです。逆に言うと、iMacをはじめとする最新マシンでないとArrowと接続できない可能性が高いのが注意点でもあります。
USB Type-C形状のThunderbolt 3端子を使ってArrowと接続
ArrowとPCを接続するにはThunderbolt 3というものを使うのですが、この端子は最近のPCにしか搭載されていないんです。ややこしいのは端子の形状自体は、最近のスマホと同じUSB Type-Cなので、USB端子のPCでも物理的に刺さりはするものの、カミナリのアイコンが記載されたThunderbolt 3でないとArrowとは接続できないんのです。そういう意味で、最新のiMacなら安心ということです。それから、Thunderbolt 3ケーブルはiMacにもArrowにも付属していないので、購入する場合は別途用意してください。
好きなDAWを選んでArrowと一緒に利用する
記事協力:株式会社フックアップ
◎サウンドハウス ⇒
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