Doricoをご存知ない方のため、改めてその概要を説明すると、これはCubaseでお馴染みのSteinbergが開発する楽譜作成ソフトです。作曲家・編曲家がクラシック、オペラ、ミュージカル、ポップス……とさまざまなジャンルの作編曲のために使うことができる一方、いわゆる浄書家さんや楽譜を出している出版社などが、印刷に耐えうるキレイな楽譜を作るために用いるソフトでもあります。もちろん学校など教育関係での活用もされるソフトであり、楽譜を作成するという意味で幅広い使われ方がされています。
上位版のDorico Pro 2とエントリー版のDorico Elements 2の2ラインナップがある
高性能なVSTインストゥルメント、HALion Sonic SE 3やそのライブラリも装備
もちろんVST3に対応した音源なので、Cubaseユーザーであれば、これらをCubaseで活用するということも可能になっています。またこれまでのバージョンアップの過程で、CubaseのMIDIシーケンス機能もDoricoに搭載されてきており、ピアノロール画面を見ても、Cubaseっぽくなってきており、VST エクスプレッションマップや MIDI再生時の調整、オートメーションなど、高度な操作も可能になっています。
8月28日現在、最新版は2.1.0というバージョンになっている
リズミックフィールの設定で演奏時に利く形で曲全体にスウィングをかけることができる
具体的にはスウィング再生に対応したのが、大きなポイントの1つ。再生オプションのリズミックフィールで設定することで、好みのスウィングに曲全体を設定すると、そのスウィングで再生できるほか、範囲指定した上で、テンポのポップオーバーでその部分だけをスウィングさせたり、反対にスウィングを止めたりすることも可能です。
[SHIFT+スペース]で、直前に再生した位置からもう一度再生することができる
そして、もうひとつ重要なのが再生機能における繰り返し記号の反映です。もともとリピート記号や1番カッコ、2番カッコなどには対応していたのですが、今回のバージョンからはバンドスコアなどでもよく利用する小節単位での繰り返し記号にも対応してくれたので、便利に使えそうです。もっとも、コード設定は反映されないので、リズムだけ反映して、コードは変化させていく……というところまでは対応してくれないので、今後はその辺にも期待ですね。
小節単位での繰り返し記号にも対応
一方、楽譜作成の上で大きな進化といえるのが、「符頭設定」です。符頭(ふとう)とは、音符におけるオタマジャクシの頭といえばいいのでしょうか…。この頭の大きさや傾きを変化させたり、しいては頭の形、デザイン自体をまったく別にしてしまうことも可能になりました。
いわゆるグラフィックソフト的な画面が登場してくるので、ここでデザインすればいいわけですね。まあ、普通はDoricoがキレイな音符を表示してくれるので、これで問題はないはずですが、あえて何か変化させたいという場合に、大きな力を発揮してくれそうです。
同じくMusicXMLの書き出しにおいてもパートごとに行えるようになった
Cubaseと同様、Gキー、Hキーのショートカットで拡大・縮小もできるように
なお、やや裏ワザ的な使い方ではあるのですが、グリッサンドを演奏する手法もSteinbergから公式発表されています。Doricoそのものはグリッサンドの再生には対応していないのですが、実際にどう弾くかを細かく音符で指定した上で、それらの音符を非表示にしてしまうという方法が用意されているのです。多少設定手順が面倒ではありますが、こうすることで、グリッサンドにも対応してくれる、というわけなのです。
以上、Dorico 2.1の新機能を中心にレポートしてみました。今後もまだまだいろいろと進化していくと思われるDorico。開発者であるSteinbergのDaniel Spreadburyさんのブログを見ると、今後CodaやD.C.やD.S.などにも対応していくと宣言しているので期待したいところ。また進化があればレポートしていきたいと思います。
【関連情報】
Dorico 2.0製品情報
Steinberg Online Shop
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