Arturiaからスタイリッシュでコンパクトなオーディオインターフェイス、MiniFuseシリーズ3機種がリリース

フランスのメーカー、Arturia(アートリア)からシンプルながらとても使い勝手のいいコンパクトなUSB Type-C接続のオーディオインターフェイス、MiniFuseシリーズ3機種が発表され、11月上旬以降順次発売が開始されます。具体的には1in/2outのMiniFuse 1(税込メーカー小売希望価格15,950円)、2in/2outのMiniFuse 2(同23,100円)、そして4in/4outのMiniFuse 4(価格未定のそれぞれ。いずれもブラックボディーのモデルとホワイトボディーのモデルが用意されており、好みに合ったモデルが選べるようになっています。

もちろんWinodwsでもMacでも使うことができ、最大サンプリングレートは192kHzまで対応。いずれのモデルもライン入力、ギターなどのインストゥルメント入力、マイク入力が可能で、+48Vのファンタム電源も搭載しているのでコンデンサマイクと接続も可能です。ドライバをインストールすることでループバックにも対応するので、音楽制作用途だけでなく、配信用途などでの利用も可能。またリアにUSBハブ機能を持っているのがほかのオーディオインターフェイスにはあまり見かけないユニークなポイント。ここにUSB-MIDIキーボードなどを接続したり、USBドングルを挿すといった使い方も可能です。先行発売されるMiniFuse 1とMiniFuse 2のブラックモデルを試してみたので、どんなオーディオインターフェイスなのか紹介してみましょう。

フランスのArturiaから新たなオーディオインターフェイス、MiniFuseが3機種リリースされた

DTMステーションでは、これまで何度も紹介してきたフランスのメーカー、Arturia。同社は1999年創業で当初はソフトウェアシンセサイザメーカーとして発展してきましたが、アグレッシブな社長のけん引力により、DSPでアナログシンセエミュレーションを行う壮大なシステムを作ったり、MiniBruteやMicroBruteなどの本物のアナログシンセをリリースしたり、さらにはハードウェアのドラムマシン、iOSのシンセサイザ、そしてオーディオインターフェイス……と数々のDTM関連製品を開発、発売しているメーカーです。

これまで発売されてきたArturiaのAudioFuseシリーズ。手前がAudioFuse、奥の下がAudioFuse 8PRE、その上がAudioFuse  Studio

そのArturia、オーディオインターフェイスメーカーとしては、やや後発であったこともあり、これまで高級路線で攻めてきていました。具体的にはAudioFuseシリーズというもので2017年に発売されたAudioFuse、2019年に発売されたAudioFuse 8PRE、そして2020年に発売されたAudioFuse Studioの3機種。高音質を実現しつつ、高性能なマイクプリを搭載し、外部クロックに対応したり、ADAT対応するなど、さまざまな機能を搭載したこともあって、AudioFuseで8万円程度、AudioFuse Studioだと15万円程度と、結構な価格のものとなっていました。

MiniFuseはブラックモデルとホワイトモデルの2色がラインナップされている

が、ここにきてシンプルなオーディオインターフェイス、MiniFuseシリーズをリリースしたのです。まず11月上旬にMiniFuse 1およびMiniFuse 2が発売され、4in/4outのMiniFuse 4のほうは、まだ発売日が確定していないようですが、2022年に入ってから発売されるようです。

4in4outのMiniFuse 4の発売は少し先になりそうとのこと

いずれにせよ、数多くの競合がひしめく世界への後発での参入ですから、まさに激戦となっていくことは必至。とはいえ、そのことについてはArturiaももちろん想定済み。他社製品とはいろいろな意味で差別化を図ってきているのです。

SteinbergのUR22cと並べてみると小さいボディーであることがよくわかる

まずはその大きさ。たとえば、オーディオインターフェイスの売れ筋のトップのほうにいつも名前が挙がるSteinbergのUR22cと並べてみると、MiniFuse 1およびMiniFuse 2を並べてみると確かにコンパクト。重さもUR22Cが1.0kgなのに対し、実測でMiniFuse 1が335g、MiniFuse 2が440gなので、とっても軽いことが分かるでしょう。といってもシャーシがプラスティック製というのではなく全面アルミボディーでしっかりしているんですよね。

MiniFuse 1を計ってみると335gとかなり軽量だが、アルミボディーで堅牢

またMiniFuse 1、MiniFuse 2ともにUSBバスパワーで動作し、USBクラスコンプライアント仕様なので、WindowsでもMacでもドライバなしで使うことが可能です。ちなみに、MiniFuse 4もバスパワーで動作する一方ACアダプタにも対応しているとのことです。

MiniFuse 4のリアパネル。バスパワーで動作するほか、ACアダプタの使用も可能

まあ、ドライバなしで動作するとはいえ、MiniFuseの本領を発揮させるためにはドライバのインストールは必須。とくにWindowsの場合、DAWで使うにはASIOドライバが必要ですから、ドライバをArturiaサイトからダウンロードしてインストールする必要があります。が、ここでユニークなのは、MiniFuseをPCと接続すると、まずはこれがUSBドライブとして見え、ここに製品登録やドライバ、また付属ソフトの入手先のURLが埋め込まれているので、簡単にインストールできるんですよね。

44.1kHzおよび48kHzのサンプリングレートではバッファサイズを8Samplesまでに縮めることが可能

このドライバをインストールすることにより44.1kHz/48kHzではバッファサイズを8Sample、96kHzでも16Sampleという大きさで設定できるので、レイテンシーを極めて小さく抑えることができるのも大きな特徴となっています。

MiniFuse自体の操作はとってもシンプルで、MiniFuse 1のフロントにはコンボジャックが1つ、MiniFuse 2のフロントにはコンボジャックが2つあり、ここにマイクでもギターでもラインでも接続できるようになっています。この際、ギターを接続する場合はギターのアイコンが描かれているInstrumentsボタンをオンにし、コンデンサマイクを接続する場合は48Vのファンタム電源をオンにする形です。そして入力ゲインは横にあるノブで回すのですが、このゲインノブのボリュームのトルクがちょっと重めでしっかりしているのも好印象でした。

MiniFuse 1(上)にはコンボジャックが1つ、MiniFuse 2(下)には2つ搭載されている

そして入力に応じてゲインノブ先端のLEDが光るのもポイント。正常範囲内であれば青く点灯するのですが、ゲインがオーバーすると赤く光るので、MiniFuse本体を見ているだけでも入力状況がチェックできるのも重要なところです。

ゲインつまみ部分が入力インジケーターの役割も持っており、左側のマイク入力はレベルオーバーで赤、右のギター入力は正常

一方、出力のほうはレベルメーターが搭載されており、ここでチェックできるようになっています。そのメイン出力音量は大きいMONITORノブで回していきます。これも重めなアナログボリュームとなっていますね。

6段階のレベルメーターも搭載されている

そしてフロント右端にはヘッドホン端子が用意されており、そのヘッドホン用のボリュームが上に搭載されています。これでヘッドホン音量を調整するわけですが、MiniFuse 2にはその左に、ダイレクトモニタリング用のミックスノブが搭載されています。これを左に振り切りると入力された音をPCを介さずにモニターでき、右に振り切るとPCからの音だけがモニターできる形になります。この際、DIRECT MONOというボタンをオンにするとダイレクトモニタリングの音をモノラル仕様することができるので、たとえばINPUT 1にギターだけを入力した場合、DIRECT MONOがオンならセンターからギターの音が聴こえ、オフにすると左チャンネルからのみ聴こえる形となるのです。

MiniFuse 1(上)とMiniFuse 2(下)のリアパネル。USBハブ機能が搭載されているのがちょっとユニークなポイント

ではリアを見るとどうなっているのでしょうか?AudioFuse 1、AudioFuse 2ともにメイン出力はアナログのTRSでL/Rが用意されているほか、PCと接続するためのUSB Type-C端子、そしてHUBと書かれたUSB Type Aの端子があり、MiniFuse 2だけにMIDIの入出力も用意されています。MIDI端子はいいとして、このUSB Type Aは何のためにあるのでしょうか?

USBハブにMIDIキーボードを接続して使う…といったことも可能

実はこれ、単純にPCのUSBハブとなっているだけのものなので、ここにUSB-MIDIキーボードを接続してもいいし、USBドングルなどを接続してもOK。単純なものではありますが、意外と便利に使えそうですよね。

MiniFuse Control CenterからMiniFuseをリモート操作することが可能。画面はMiniFuse 2のもの

なお、本体を触らなくても、MiniFuseControlCenterというソフトを使うことで、MiniFuseの各モード切替や、レベルチェックなども行うことができるようになっているのもMiniFuseの大きな特徴となっています。もちろん画面上のボタンと、ハードウェア上のボタンは連動しています。

MiniFuse Control Centerの各ボタンはハードウェア側と連動している。画面はMiniFuse 1のもの

さて、このMiniFuseシリーズの他社製品に対するアドバンテージとしてもう一つ上げられるのが、バンドルソフトが豊富であるというところです。ここにはArutriaのソフトとして

Analog Lab Intro
Delay Tape-201
Reverb PLATE-140
Chorus JUN-6
Pre 1973

という5つが収録されています。簡単に紹介するとAnalog Lab IntroはArturiaの集大成ともいえるアナログシンセエミュレータをコンパクトにまとめたものであり、MiniMoogやProphet-5をはじめとする数々のアナログシンセのサウンドを再現することができます。

さまざまなビンテージシンセをモデリングによって再現するAnalog Lab Introが付属している

一方Delay Tape-201はご覧いただくとわかると思いますが、RolandのテープエコーであるSpeceEcho RE-201をエミュレーションするものです。さらに、Reverb PLATE-140はプレートリバーブであるEMT-140をシミュレーションするもの。鉄板を使ったリバーブサウンドを再現することが可能です。また、Chorus JUN-6はRolandのJUNO-60に搭載されていたコーラスエフェクトだけを抜き出したもの。とっても広がりがあり深みのあるサウンドに仕立て上げることが可能です。そして、Pre 1973はNeveのEQであるNEVE 1073を再現するもの。これも通すだけでグッとくるサウンドに仕立て上げることができるので、便利に使うことができそうですよ。

4種類の強力なプラグインエフェクトも付属している。Cubase上で動かしてみた

これらArturiaのプラグインがいろいろ入手できるだけでも、十分元が取れそうな感じですが、ほかにもバンドルソフトとして

・Ableton Live Lite 11
・Native Instruments Guitar Rig 6 LE
・Splice 3か月無料クーポン
・Auto-Tune Unlimited 3か月無料クーポン

のそれぞれが付属しているので、DTMはじめてユーザーがMiniFuseだけを購入しても、一通りのものが揃いそうです。

なお、このMiniFuseを使って実際どんな音でレコーディングができるのか、10月12日放送予定のDTMステーションPlus!の番組内においても実演していこうと思っているので、ぜひチェックしてみくてください。

【関連情報】
MiniFuse製品情報

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【DTMステーションPlus!】
10月12日 20:30~22:30
ニコニコ生放送 : https://live.nicovideo.jp/watch/lv333870918
YouTubeLive : https://youtu.be/NFIhhw7fEc8

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