Antelope Audioが超高性能なオーディオインターフェイス、Discrete 4 Pro Synergy Core、Discrete 8 Pro Synergy Coreを発表

プロ御用達のクロックジェネレーターでお馴染みのメーカー、Antelope Audio(アンテロープ・オーディオ、以下Antelope)。同社は、ルビジウム超安定性レゾナンスコントロールドマスターオシレーターを搭載した10MX(税込実売価格876,700円)は、憧れの機材ではありますが、最近は手ごろな価格のオーディオインターフェスなどもいろいろ展開しています。Zen Go Synergy Core(同69,300円)などはバスパワーで動作するコンパクトながらも超高性能・超多機能な機材として、プロからアマチュアまで幅広い層のユーザーが使っています。

そのAntelopeが今回新たに2つのオーディオインターフェイスを発表しました。Thunderbolt 3およびUSB 2.0接続で14in/20outのDiscrete 4 Pro Synergy Core(同187,000円)と、26in/32outのDiscrete 8 Pro Synergy Core(同249,700円)を発表。その名前からもわかる通り、ディスクリートの6トランジスタ・プリアンプを搭載しており、内蔵のDSPおよびFPGAにより、PCのCPU負荷をかけずに数多くのエフェクト処理ができるのが特徴です。これまでAntelopeの人気製品であったDiscreteシリーズの新たなラインナップという位置づけで、よりパワフルな処理ができるモデルとなっています。実際どんな製品なのか紹介していきましょう。

Antelope AudioからDiscrete 4 Pro Synergy CoreとDiscrete 8 Pro Synergy Coreが発表された

Discreteシリーズは、これまでDiscrete 4およびDiscrete 8、Discrete 4 Synergy CoreおよびDiscrete 8 Synergyがあり、DTMステーションでも「プロ用クロックで著名なAntelopeが打ち出したアナログプリアンプ搭載のオーディオインターフェイス、Discrete 4がスゴイ!」、「Antelopeのビンテージエフェクトの元ネタを特定!? FPGA FX搭載のDiscrete 8と高性能コンデンサマイクのEdgeを試してみた」といった記事でも取り上げてきました。

そのDiscreteシリーズに、今回、新たにDiscrete 4 Pro Synergy CoreとDiscrete 8 Pro Synergy Coreの2つのラインナップが追加されたのです。Discrete 4のほうをの各製品間での違いを表にしたのが以下のものです。


「同様にDiscrete 8のほうがこちらです。

この表からも分かるとおり、従来のDiscreteシリーズと比較すると、いろいろと違いがあるのですが、順に見ていきましょう。

まずは、Discreteという名前の部分からですが、これはアナログのレコーディングコンソールからインスピレーションを得て開発した6トランジスタ回路構造を持つディスクリート・ウルトラ・リニア・マイクプリアンプを搭載していることに起因しています。ディスクリート回路とは、いわゆるICやLSIを使わずトランジスタ、抵抗、コンデンサなどのアナログ部品だけで作った回路のことで、Antelopeがかなりこだわりを持って作っている部分。このマイクプリに関しては、これまでのDiscreteシリーズと同じものとなっているようです。

オーディオインターフェイスなので、これをA/D変換、D/A変換してPCとやりとりするわけですが、そのA/DおよびD/Aの性能が従来のDiscreteシリーズと比較してさらに向上しています。具体的にはA/Dにおいては122dB、D/Aにおいては121dB、さらにD/Aのモニター出力においては130dBと、それぞれより広いダイナミックレンジを実現しています。要するによりいい音、いいオーディオ特性のインターフェイスになったということですね。

Discrete 4 Pro Synergy Coreのフロントパネル

また、PCとの接続はUSB 2.0のインターフェイスを装備つつ、さらに高速なThunderbolt 3にも対応したのも大きなポイントです。

Discrete 4 Pro Synergy Coreのリアパネル
そしてここからがAntelope製品ならではのSynergy Coreについてです。Synergy Coreについては、これまでも「FPGAx2とDSPx4で構成されるスーパーデスクトップインターフェイス、AntelopeのZen Tour Synergy Coreの実力」といった記事で紹介したことがありましたが、DSPとFPGAという2種類の役割が異なるプロセッサを搭載しており、より高度なエフェクトを高速に処理することができるのを特徴としています。

具体的には両機種ともFPGAを1基、DSPを2基搭載しており、PCのCPUに負荷をかけることなく、さまざまなエフェクト処理ができるようになっているのです。Synergy Coreの詳細についてはAntelopeサイト(https://jp.antelopeaudio.com/synergy-core/)でも解説されているので、参照してみてください。

Discrete 8 Pro Synergy Coreのフロントパネル

先ほどの表の中でAFXチャンネルストリップの数が16と増えていますが、このAFXチャンネルストリップとは、そのSynegy Coreによるエフェクトが利用できるチャンネルストリップのこと。DAWから、ここにルーティングしてやることで、アウトボードを使う感覚でAntelopeの各種エフェクトが使えるのです。

Discrete 8 Pro Synergy Coreのフロントパネル

新しいDiscrete Proシリーズでは、コントロール・ソフトウェアを一から設計し直し、ルーティングにおいては前世代のDiscreteに搭載されていたドロップダウン・ルーティングの使いやすさと、Galaxy 32のようなハイエンドのスタジオインターフェイスで採用されているヴァーチャル・パッチベイ、ルーティング・マトリクスを組み合わせてコントロールできるようになっています。この新しいソフトウェアは、あらゆる信号ソースをあらゆる出力先に自由にルーティングすることができ、さまざまなシチュエーションにも幅広く対応できる柔軟性を持っているのです。

より自由度高くルーティングが可能になっている

その各チャンネルストリップごとに、最大8つまでのエフェクトを入れられる形となっているので、かなり自由度高く利用することができるのですが、一つ注意点として挙げて起きたのは、このAFXはいわゆるプラグインとはちょっと概念が異なるということ。通常のプラグインはDAWの中に完全統合されてDAWの機能のようにしてエフェクトを使えるのに対し、AFXの場合はあくまでも外部バス=ストリップに信号を出し、そこでAFXをかけて、DAWに戻すという使い方であること。また、リアルタイム処理においてはほぼレイテンシーなく信号が戻ってくるのですが、オフラインバウンスといったことはできず、実時間をかけて処理していく必要があること。

各ストリップに最大8つのエフェクトを設定可能

そのため、プラグインしか使ってこなかった人だと、最初戸惑う部分はあるかもしれませんが、非常に高音質であり、またCPUに負荷がかからないので、慣れれば非常に快適であることが実感できるはずです。なお、AFX2DAWというプラグインを利用することで、AFXのエフェクトをDAWのプラグインのように使うことも可能になります。ただし、その場合でもリアルタイムでの処理が必要となります。

さて、そのAFXとしては37種類のSynergy Coreエフェクトが標準で搭載されていることも重要なポイントです。アナログのビンテージ機材を忠実に再現したコンプレッサー、EQ、マイク・プリアンプ、ギターアンプ、キャビネットなどがあるほか、Antelopeオリジナルの強力なリバーブAuraVerbを使用することで、追加の費用をかけずに、効果的で効率のいいサウンドプロダクションが実現できます。

ビンテージのEQやマイクプリ、モジュレーションなどのエフェクトが標準で付属

このSynergy Coreには、標準で用意されている37種類のエフェクトのほかにも、AUTO-TUNEをはじめ60種類以上のエフェクトが、Antelope Audioソフトウェアストアで販売されており、これらをインストールして利用することも可能となっているので、必要に応じていろいろな拡張ができるわけです。

AUTO-TUNEは別売となっているが、Synergy Coreにより最速の処理が実現できる

さて、そのDiscrete Proの国内での発売ですが、Discrite 4 Pro Synergy Coreは5月、Discrete 8 Pro Synergy Coreは4月となる予定なので、ぜひチェックしてみてください。

【関連情報】
Discrete 4 Pro Synergy Core製品情報
Discrete 8 Pro Synergy Core製品情報

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