ゲーム実況で使うミキサーの完成形!?ゲーマー社員の熱意によって開発されたRoland BRIDGE CAST

RolandからBRIDGE CAST(33,000円税込)というゲーミングオーディオミキサーが発売されています。これは、Rolandとして初めてゲーム業界に参入する製品であり、ゲーマー社員の熱意からスタートした、ゲーム配信に特化したオーディオミキサー。Rolandのオーディオインターフェースとプロ向けのオーディオミキサーの開発技術を集結させたのがBRIDGE CASTであり、ゲームの音を最高峰のものへと進化させてくれるのです。

セットアップは簡単で、機材に詳しくなくても使いこなすことができるのも大きな特徴。ゲームに集中できる操作性についてこだわって作られているため、ワンアクションで直感的にミックスを調整することができます。また配信用ミックスとモニターミックスも自由自在に調整可能。さらに「オーディオのチート・コード」と呼んでいるユニークな機能があったり、本体のトップパネルを外して自分だけのカスタマイズを行えたりという側面も持っているのも面白いところです。そんなBRIDGE CASTには、どんな機能があるのか、どんな経緯で生まれたのかなど、BRIDGE CASTの開発者にもお話を伺ってみたので、紹介してみましょう。

ゲーマー社員の熱意によって開発されたRoland BRIDGE CAST


BRIDGE CASTは、デスクの上に置いて使いやすいデザインの機材。電源が入ると大きなツマミの周囲がカラフルに光るゲーミング仕様になっているので、ここにグッとくる方も多いのではないでしょうか?ゲーム配信者のみならず、ボイスチャットをしながらゲームをするユーザーにとっても、快適な環境を提供してくれる存在となっています。

簡単であっという間のセットアップ

さっそく、BRIDGE CASTのトップパネルから見ていきましょう。さまざまなボタンやツマミが配置されていますが、使い方は非常に簡単です。中央に4つ並んでいる光るツマミは、マイクやゲーム音などのボリュームを操作に使います。その下にあるボタンは、MUTEボタン。また、ここにASSIGNと書いてあるように好きな機能を割り振ることも可能。

中央に4つ並んでいる光るツマミでボリュームコントロール

そう実は、BRIDGE CASTアプリというものを使うと、ツマミやボタンの機能を自分好みにカスタマイズすることができるのです。デフォルトの状態でも十分に使いやすいものになっているのですが、カスタマイズして使うことで、自分にとって、より使いやすい機材にすることができるのです。ここでは、デフォルトで設定されている機能で紹介していきますが、「あの機能をツマミで操作したい!」という願望もBRIDGE CASTが叶えてくれるのです。

BRIDGE CASTアプリを使って自分好みにカスタマイズ可能

さて、トップパネルの左上には、MIC EFFECTSと書かれたボタンが配置されています。このボタンをオンにすると、その右にあるSELECTで選べるマイクプリセットやPITCH、FORMANTが有効になります。マイクプリセットでは、リバーブをかけたりすることもできるので、たとえば歌配信といった場面でも利用可能。ゲーミング配信に特化しているBRIDGE CASTですが、実際には歌配信でも雑談配信でも、さまざまな配信にも使える機材だと思います。

リバーブを掛けたり、ピッチ、フォルマントを調整できる

ちなみにBRIDGE CASTのエフェクトは、ボイス・トランスフォーマー VTシリーズゆずりの処理。大人気製品であるVT-4と同機能……とまではいきませんが、そこにある主要機能を抜き出したものがここに搭載されているのです。具体的にはEQ、コンプ、ディエッサー、ノイズサップレッサー、ボイスチェンジャー…などで、すべてハードウェアのDSPが音声処理の負荷を行うので、PCに負荷をかけることもありませんし、レイテンシーが発生することもありません。

VTシリーズゆずりのエフェクトが搭載されている
EQと書かれた、SELECTボタンは、ゲームの音にエフェクトを掛けるもの。これが冒頭に書いた「オーディオのチート・コード」と呼んでいるものであり、ゲーム内の重要なサウンドを強調して、ゲームを有利に進めることができる機能となっています。ゲーム内の敵の足音などの鍵となるサウンドの周波数を強調することができたり、より迫力のある音作りが可能です。

SELECTボタンでプリセットを切り替える

自分でもカスタマイズすることができますが、デフォルトで有名タイトルのVALORANTやApex Legendsのプリセットも搭載。楽器メーカーが作っている機材なので、ほかのゲーミングデバイスよりも一段上のサウンドを体感することができます。

ゲームを有利に進めるためのEQを掛けることができる

最後に右端にあるツマミやボタンは、マスター系の機能が割り振られています。STREAMのツマミは、全体的な配信音量を調整するもので、その右にあるLINE OUTは本体リアパネルにあるLINE OUTに繋いだ機材のボリュームを操作するもの。PHONESは、BRIDGE CASTに繋いだイヤホンやヘッドホンの音量を調整するツマミとなっています。

右端のセクションで、マスター関連の操作を行う

そして、ここにあるSTREAM MIX、PERSONAL MIXボタンを切り替えることで、配信に流す音量とモニターする音量を個別に調整することができます。配信では、ゲーム音と話し声をちょうどいいバランスにしておきつつ、モニターする音はゲーム音のみ大きくする、といったことができるので、よりゲームに集中すること可能なのです。また、MIX LINKをオンにしておけば、STREAM MIXPERSONAL MIXのバランスを保ったまま同時に調整することもできます。

STREAM MIX、PERSONAL MIXボタンを使って、配信用、モニター用のミックスを作れる

さて、リアパネルには、電源供給する端子、デバイスと接続するためのUSB端子、MOBILE/PCのセレクト、LINE OUT、AUX、ファンタム電源対応のMIC端子、PHONES/HEADSET端子が装備されています。

接続端子は、リアパネルに集約されている

PCと接続する際は、バスパワーで駆動しますが、iPhone/iPad、PS4やPS5などと接続する際は、外部から電源供給する必要があります。LINE OUTには、スピーカーを接続したり、AUXは4極端子になっているので、スマホの音を取り込むだけでなく、BRIDGE CASTのマイク音声をスマホに送ることも可能。また、PHONES/HEADSET端子も4極端子なので、書かれているようにヘッドセットにあるマイクを利用することもできます。

さまざまなデバイスを接続可能

なお、PCゲームとなるとWindowsを使うことが多いと思いますが、4月公開予定でRolandはMacでも最適化するドライバーを開発中とのこと。他社の機材でもMacに最適化しているところが少ない中、専用ドライバーを開発中とのことなので、これが公開されればWindowsと同様にMacに最適化された数少ない機材の誕生となりますね。

冒頭でも書いたようにBRIDGE CASTは、本体のトップパネルを外して自分だけのカスタマイズをすることが可能となっています。Rolandが提供しているフェイスプレートのデータを使用して、ゲーマータグやチームロゴデザインの入ったステッカーを作ることができるとのこと。本体機能のみならず、ビジュアルも自分好みにカスタマイズできるのでは、嬉しいところですよね。

チームカラーのBRIDGE CASTにすることもできる

そして、ここからはこのBRIDGE CAST発案者の古賀さんと製品リーダーの渡邊さんにインタビューしてきたので、その模様をお届けします。

Roland BRIDGE CAST開発者インタビュー

ーーまずは、BRIDGE CASTが誕生した経緯について教えてください。
古賀:数年前に、会社の人からレインボーシックス シージというゲームに誘われて、プレイしていました。これはeスポーツタイトルであり、音が勝敗を左右するFPSゲームであると同時に、ボイスチャットも重要な要素でした。当時私が使っていた機材では、聞こえない音があったりしたので、ゲーム用にイヤホンやヘッドホンをいろいろ試していたんです。ですが、満足のいく製品がなく、Rolandであればもっといいものを作れるのでは、と思い、社長にメールしたところがスタートです。市場調査や競合のリーチなどを行い、1年前ほどから開発が始まり、1月28日に発売を迎えることができました。

製品リーダーの渡邊さん(左)とBRIDGE CAST発案者の古賀さん(右)

ーーまさにゲーマーが作った、ゲーミング機材ですね!
古賀:僕もゲームをするからこそ、必要とされる機能を搭載しており、ゲーム配信する上で必要となる、ゲーム音、ボイスチャット、BGM…などを、手元で操作できることにはこだわりました。ゲーム中は忙しいので、物理的なミキサーなしで調整しようと思うと、PCの設定にアクセスしてボリューム調整しなくてはいけないので、ストレスなんですよね。また、Rolandが作る機材なので、音にもこだわっており、ゲームをしているメンバーに明瞭な声を届けることもできます。

ーー操作性のみならず、音も重要視している機材ということですね。
古賀:もちろんゲーム音のモニタリングについても重要と考えて開発しています。実は、ゲームの音を突き詰めていくと、フラットな傾向のモニターヘッドホンやモニターイヤホンを選ぶことになるんですよね。FPSでは、定位感や音の分離感が大切なので、売れ筋はDTMerと同じだったりするんですよ。

ゲーマーのためのオーディオミキサーBRIDGE CAST

ーーゲーム配信する人にとってBRIDGE CASTは夢のような機材だと思うのですが、そうでない人にとってはどうなのでしょうか?
渡邊:もちろん、ゲームをする人全員にとってもおすすめです。たとえば私の場合、それこそPCゲームはしますが、配信はしていないです。私の環境では、BRIDGE CASTをPCに接続したままにしておいて、部屋にあるスピーカーに繋いでゲームをしたりしています。またテレワーク時には、BRIDGE CASTに繋いであるコンデンサマイクを使って話しつつ、スピーカーから相手の声を聞いています。通常のミキサーやオーディオインターフェイスだと、そのままスピーカーから音を返すとハウリングが起きてしまうのですが、BRIDGE CASTは自分が喋った声をスピーカーから返さない設定ができるので、いい音でオンライン会議をしています。すべて必要なインターフェイスが表に出ているので、ゲームでも、オンライン会議でも、ボイスチャットでも、さくっと調整できるのは楽ですよ。

ーー配信者でなくとも、BRIDGE CASTを1台挟むだけで、快適になりますね。
渡邊:ームの世界では、V-MODAのヘッドホンはBOOMPRO Xとの組み合わせで使われていますが、beyerdynamicDT990PROというモニターヘッドホンも人気で、このヘッドホンは250Ωとインピーダンスが高いんですよね。なので、ちゃんとしたヘッドホンアンプでないと鳴らしきれなかったりするのですが、BRIDGE CASTでは完璧に対応しています。またマイクプリに関しても75dBまで対応しているので、たとえばSHURE SM7Bといったゲインが必要なダイナミックマイクでも、最大限のパフォーマンスを発揮させることができます。

ヘッドホンやマイクのパフォーマンスも発揮してくれる

ーー一方、DTM用途としてみた場合、BRIDGE CASTはどうでしょうか?
渡邊:BRIDGE CASTはマイク入力が1系統なので、音を複数録音したい方はRubixシリーズなどを選択された方が満足していただけると思いますが、出力の音質は自信もってつくっていますので、ソフト音源を主体とされている方であれば十分使っていただけると思います。

ーーありがとうございました。

 

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