高品質なA/Dコンバータで知られるLynx Studio Technologyから、デスクトップタイプながらプロフェッショナル仕様の新しいオーディオインターフェイス「Mesa」が登場し、今週7月26日から国内販売が開始されます。Mesaは、同社の最上位機種Aurora(n)と同等の音質を備えながら、デスクトップサイズに収めたThunderbolt 3オーディオインターフェイスとなっています。
最大の特徴は、名機Hilo 2と同じ高コントラストタッチスクリーンを搭載し、スタンドアロンでの操作が可能な点。さらにMicroSDカードスロットを内蔵し、PCなしでの録音にも対応します。4つのアナログ入力と2つのモニター出力、独立コントロール付きデュアルヘッドホン出力を装備し、Thunderbolt 3接続により超低レイテンシを実現。S/PDIF、ADAT、ワードクロックなどプロ仕様のデジタル接続も完備しています。気になる価格についてですが、税込みのメーカー希望小売価格が385,0
プロフェッショナル品質へのこだわりを受け継ぐMesa
Lynx Studio Technologyは、プロフェッショナルスタジオで使われる高品質なデジタルコンバータやオーディオインターフェイスのメーカーとして、世界で高く評価されているブランドです。同社のAurora(n)シリーズやHilo 2は、その透明感あふれる音質と信頼性の高さから、世界中のレコーディングスタジオやマスタリングスタジオで愛用されてきました。
特にA/D、D/A変換の精度の高さには定評があり、まさに音楽制作のプロが求める最高品質のサウンドを追求し続けているメーカーなのです。これまで同社の製品はプロ向けが中心で、価格も高価なものが多かったのが実情。今回のMesaもその系譜を受け継ぎつつ、デスクトップ環境での利便性を追求したモデルとなっています。音質面では一切の妥協なく、最上位機種であるAurora(n)と同等のサウンドクオリティを実現しているのが、大きなポイントとなっています。
デスクトップ筐体に凝縮されたプロ仕様の機能
そんなMesaは、デスクトップでの使用を前提とした筐体に、プロの現場で求められる機能を十分に搭載しています。4つのアナログ入力とモニター出力、さらに独立したレベルコントロールが可能なデュアルヘッドホン出力も装備。合計14入出力を備え、ホームスタジオからプロダクションルームまで、さまざまな環境で活用できる万能性を持っています。
あらゆる操作はタッチスクリーンだけでなく、物理的なボタンやノブとの連携で、より素早く調整することも可能。たとえば、フロントパネルにはユーザーが機能を割り当てられるファンクションボタンが2つ、メニュー操作用のボタン、そして緊急時にすべての出力を止められるミュートボタンが配置されています。ライブレコーディングのような一瞬の判断が求められる場面で、便利に使うことが可能です。
デジタル接続もプロ仕様で、S/PDIF同軸I/O、ADATにも対応する光ポート、そしてスタジオ機材の同期に不可欠なワードクロック入出力を装備。光ポートは最大8チャンネルのADAT接続に対応しており、外部のデジタル機器と連携させた、より大規模なシステムの一部としても活用できるようになっています。
革新的なタッチスクリーン操作システム
Mesa最大の魅力といえるのが、前面に搭載された高品質なタッチスクリーンです。これは同社の名機Hilo 2譲りの静電容量式ディスプレイで、スマートフォンのように軽いタッチに素早く反応し、非常に直感的な操作を可能にしているのです。電源を入れると、まず全入出力の信号状況が一目でわかる「All I/O Meters」ページが表示されます。画面上部にはサンプルレートや各種設定が常に表示され、タッチすれば直接その設定ページにジャンプできるので、録音中でも迷うことなく素早い調整ができます。
メインメニューからは、プリアンプ設定、ルーティング、各種設定など、Mesaのすべての機能にアクセス可能。たとえば「Preamp」ページでは、4つのアナログ入力のゲイン調整やファンタム電源のON/OFF、位相反転などをすべてタッチ操作で完結できるのです。
PCとの連携でさらに広がる操作性、Mesa Remoteソフトウェア
タッチスクリーンでの優れた操作性に加え、MesaにはMac/Windows対応の専用ソフトウェア「Mesa Remote」が付属しています。Mesa Remoteの画面は、本格的なデジタルミキサーのような構成になっており、入力、PCからのプレイバック、SDカードのプレイバック、そして物理出力がそれぞれ独立したチャンネルストリップとして表示され、信号の流れ全体を視覚的に把握できます。
Mesa Remoteはアウトプットドリブンという考え方で設計されており、まず音を送りたい出力先を選択し、次に入力やPCの再生チャンネルなど、そこに送りたい音源のミュートを解除したり、フェーダーで音量を調整したりして、ミックスを作成することが可能。さらに、4つのプリアンプのゲイン調整やファンタム電源のオンオフといった操作も、すべてソフトウェア上から行えます。また、スタンドアロン録音で使ったMicroSDカードの再生や録音といったトランスポート操作も可能です。こうした複雑なルーティング設定は「シーン」としてPCに保存しておくこともでき、レコーディング用、ミキシング用など、用途に応じた設定を瞬時に呼び出すこともできます。
スタンドアロン録音機能
Mesaのユニークな機能の1つが、内蔵のMicroSDカードスロットによるスタンドアロン録音機能です。これにより、PCを必要とせずに高品質な録音が可能となり、ライブ会場やリハーサルスタジオなど、PCの持ち込みが難しい場所でもその性能をフルに発揮できます。
メインの録音としてはもちろん、PCでの録音と同時にMicroSDカードにも録っておくことで、万が一のトラブルに備えたバックアップとしても活用できます。再生機能も備えているため、録音した音源のその場での確認や、イベントでのBGM再生など、幅広い用途に対応できる実用性の高さも魅力です。
録音されたファイルは「セッション」と「テイク」という単位で管理され、タッチスクリーンから簡単に名前を付けたり、再生したいテイクを選んだりできます。これにより、多くの録音テイクがあっても整理しやすく、目的の音源に素早くアクセス可能です。最大192kHzのサンプリングレートで16チャンネルもの同時録音が可能なので、プロの現場でも十分なスペックといえるでしょう。心臓部にはLynxが誇る独自の低ジッタサンプルクロック技術「SynchroLock 2」を搭載。これにより、Aurora(n)と同等の透明感と解像度を持つサウンドを実現しているのです。
Thunderbolt 3接続が実現する超低レイテンシと安定性
現代の音楽制作、特にバーチャルインストゥルメントの使用や録音時のモニタリングにおいて、遅延、つまりレイテンシは避けては通れない課題です。Mesaはこの課題を解決するために、Thunderbolt 3接続を採用し、1msを下回るほどの超低レイテンシを実現しています。なぜ、これほどの高速性能が出せるのかというと、Thunderbolt 3がコンピュータの基幹部分であるPCI Expressへ直接アクセスするような仕組みになっているからです。一般的なUSB接続に比べてデータの通り道がシンプルで短いため、遅延を極限まで減らすことができる、というわけなのです。これにより、演奏と聴こえてくる音のズレをほとんど感じることなく、快適な制作環境を構築できます。
この超低レイテンシによって、たとえばソフトウェアシンセをMIDIキーボードで演奏する際も、発音の遅れをほとんど意識することなく、自然な演奏が可能になります。たとえばDAW上でギターにアンプシミュレータをかけ、リバーブを効かせた状態でモニターしながら録音する、といった現代的なワークフローも、遅延を気にすることなく快適に行えます。またThunderbolt 3の高速かつ安定したデータ転送能力は、多数のチャンネルを同時に扱うような負荷の高いプロジェクトでも、音切れやノイズを心配することなく制作に集中できる、高い安定性を実現しています。
Aurora(n)を受け継ぐ圧倒的サウンド
ちなみにMesaの音質はというと、プリアンプは実際にマイクを接続してみたところ、入力されたソースに余計な色付けをすることなく、非常にクリーンに増幅することができました。THD+Nが-111dBというのもあって、ノイズフロアは極めて低く、ゲインを上げた際もクリア。マイクが捉えた音のニュアンスをありのままにレコーディングすることが可能でした。
またMONITOR OUTに接続したスピーカーから出力されるサウンドは、非常に正確。各楽器の定位やリバーブの深さといった空間表現を明確に把握することができました。さらにヘッドホン出力も優秀で、インピーダンスの高いプロ用ヘッドホンを余裕で駆動できるパワーを備えており、600Ωのヘッドホンに対し68mWの出力を確保 、ダイナミックレンジは120dB。レコーディング時の正確なモニタリングから、シビアなノイズチェック、ミキシングからマスタリングまで、幅広い用途で使用することができますよ。
以上、Lynx Studio TechnologyのMesaについて紹介しました。Mesaは、同社が誇る最高品質の音響技術をデスクトップオーディオインターフェイスに凝縮した、次世代の機材。タッチスクリーンによる直感的な操作、MicroSDカードによるスタンドアロン録音、Thunderbolt 3による高速接続など、従来のオーディオインターフェイスにはない革新的な機能を数多く備えています。ぜひ、チェックしてみてはいかがでしょうか。
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