3月5日、TOKYO6エンターテインメントが展開する歌声合成ライブラリー「小春六花」「夏色花梨」「花隈千冬」の3作品が、Synthesizer V 2 AIとして一斉リリースされました。Synthesizer Vシリーズのメジャーバージョンアップ版にあたるSynthesizer V 2では、AIエンジンの強化に加え、ボーカルスタイルが従来の5つから7つへと拡充。TOKYO6エンターテインメントでは全スタイルのパラメーターを一から見直すとともに、追加収録を実施し、それぞれのキャラクターが持つ個性と表現力のさらなる向上が図られています。
今回DTMステーションでは、TOKYO6エンターテインメント代表の赤迫竜一(アカサコ)さんにインタビューを行いました。3ライブラリーを同時リリースすることになった経緯から、各キャラクターのアップデート内容、開発のこだわりに至るまで詳しくお話しいただいています。2月26日に配信されたAHS公式生放送第222回でも、小春六花のCV担当・青山吉能さんを交えて大いに語られましたが、本稿ではそこでは語りきれなかった開発の裏側も含めてお届けします。
3本まとめての同時リリースを選んだ理由
──今回、小春六花・夏色花梨・花隈千冬の3ライブラリーをSynthesizer V 2として同時にリリースされましたが、その経緯を教えてください。
アカサコ:もともとSynthesizer V 2版が出るというお話をいただいたとき、これまでは小春六花を先頭に順番にリリースしてきましたが、今回はあえて3タイトル同時アップデートという形を取らせていただきました。毎回小春六花をトップバッターとして出してきたのですが、その後発売の夏色花梨、花隈千冬などと比較される構図になりやすい面がありました。アップデートをしっかり行えた場合も最初の印象がどうしても残ってしまうこともあり、今回においては本来の魅力を3人フラットに感じていただきたいという思いもあり、同時展開という形を選びました。
──V2にあたって追加収録も行っているとのことですが、どのような形で進めたのでしょうか?
アカサコ:3ライブラリーとも今回のSynthesizer V2の制作にあたって、2つの強化テーマを持って追加収録を実施しています。Synthesizer V 2ではボーカルスタイルが5つから7つに増えていることもあり、その新しいスタイルに向けた学習素材とライブラリ全体の強化を意識しての収録を行いました。そのため元々、最初のバージョン用に収録した既存素材も含めてV2用に一から再学習させています。学習素材が増え、エンジンもアップデートされたことにより、よりリアルな歌い方になったと思います。ボーカルスタイルについても以前と同じパラメーター名であってもより使いやすい方向にアップデートできたのではないかと考えています。
Synthesizer V 2 小春六花
──小春六花SV2のアップデートの主なテーマを教えてください。
アカサコ:小春六花については、2つのテーマを持ってアップデートしています。1つ目は「大人の表現の強化」、そして2つ目が「元々得意だった明るくて元気なPopsの表現力の強化」です。新たにMellowとAdultという2つのスタイルが加わりましたが、両方とも大人の雰囲気を持っています。Mellowは名前の通り少し柔らかい声質で、Adultはより大人な感じをイメージして制作しました。
──MellowとAdultはどのような使い方を想定されていますか?
アカサコ:それぞれパラメーター単独でも面白いと思うんですが、「もうちょっと柔らかい感じを足したい」「大人な感じを足したい」というときに、他のパラメーターと組み合わせることを意識して制作しています。CV担当の青山吉能さんのスローテンポな楽曲の歌唱が、エモーショナルかつ少し儚げで非常に素晴らしいと前々から思っていたので、それを再現できないかと、今回スローなテンポの曲も追加収録させていただきました。Mellowは特にその良さをよく表現できたかなと思っています。
──小春六花SV2の全体的なアピールポイントも教えてください。
アカサコ:小春六花は弊社の第1弾ソフトということもあり、オールジャンルで歌えるライブラリーを意識して制作しています。現在の音声合成ソフトの中では割と珍しく、声に感情が乗ったエモーショナルな表現が得意なのが一つの特徴だと考えています。それに加えて大人の表現が加わり、よりスローテンポな曲やバラードが得意になりました。また、元々得意な元気で明るいPopsやRockに対する表現力も追加収録によって強化していますので、元気で明るい六花と、それとは対照的な大人のバラードが似合う六花の両方が実現できるようになっています。振り幅の大きいライブラリーになりましたし、純粋にパラメーターを触っていて楽しいライブラリーになったと思っています。
Synthesizer V 2 夏色花梨
──夏色花梨SV2のアップデートテーマを教えてください。
アカサコ:夏色花梨については、元々笑顔で歌う感じの可愛くて明るい表現が得意なライブラリーだったんですが、今回は「クールで力強く歌える表現の強化」と「元々とても得意だったPopsに対してあえてさらなる表現の拡充・強化」、この2つを主なテーマにアップデートを行いました。ボーカルスタイルも大幅な見直しをしていて、あまり使われていないスタイルを廃止し、代わりに王道のPopsをメインに学習したPops、明るい雰囲気のPopsに合うBright Pops、力強いPopsに合うPower Popsを追加しました。これによってアニソン、アイドルソング、キャラソン、どんな系統のPopsでも歌えるようになっています。さらにクールで力強いロックも歌えるRockも加わりました。
──得意分野であるPopsをあえてさらに強化した理由はどこにあるのでしょうか?
アカサコ:音声合成のライブラリーも今はたくさんある時代ですので、ライブラリーとして確固たる特徴を作りたいという思いがまずありました。Popsが強い花梨はライバルになる子がたくさんいると思うんですね。ただ、CV担当の高木美佑さんの高い歌唱力を考えると、まだまだ音声合成として表現できていない部分がたくさんあると感じていました。なので、あえて得意なPopsの部分を強化して、Popsが”超得意”というのを一つの特徴にしたかったんです。同時に、ロック曲でも使っていただく機会が多く、笑顔で歌う感じだけではなく、もっとクールな表現や低音の表現を強化したくて、今回の追加収録でもその点を意識しました。
なお、CoolとRockは声質は似ているものの、特に語尾の抑揚の表現がCoolはPops向け、RockはRock向けになっています。両方のパラメーターを組み合わせて使っていただくのも面白いとのことなので、ぜひ両方触ってみてください。
──夏色花梨のライブで今回の強化のヒントがあったとお伺いしました。
アカサコ:去年、夏色花梨として声優さんがステージに立つ形のライブを行ったんですが、そのライブに向けてCV担当の高木美佑さんがボーカルレッスンを積んでくださっていて、その結果、ロックや低音の表現が以前より得意になったとおっしゃっていたんですね。実際にライブではそのロックや低音の表現がとても素晴らしくて。それをぜひSynthesizer V 2のアップデートに活かしたいと思いまして、ライブ後のタイミングでの収録だったこともあり、その点を強化ポイントの1つとして収録させて頂きました。ですので高木さんとともに成長したライブラリと言えるかもしれません。
Synthesizer V 2 花隈千冬
──花隈千冬SV2のアップデートの方向性を教えてください。
アカサコ:花隈千冬もやはり2つのテーマを持ってアップデートしています。1つ目は「大人の表現力の強化」、もう1つは「声の力強さの強化」です。花隈千冬はVersion 1の時点で、CV担当の奥野香耶さんのブレッシーで艶やかな声質をうまく学習できていて好評をいただいていました。そのブレッシーで艶やかな声質をより魅力的にするにはどうしたらよいかを考えたとき、大人の表現を拡充することでその特徴を活用していただく機会が増えるのではと考えました。
──もう1つのテーマ「力強さの強化」についてはいかがでしょうか?
アカサコ:Version 1の時点で元々ブレッシーでソフト、柔らかい表現に強いライブラリーでしたので、逆に言うとパワーやエモーショナルな表現が苦手だったんですね。そこをエモーショナルで力強い感じに出来たら表現の幅がグンと広がるだろうと考えまして、奥野香耶さんはそういった表現もできる方なので、追加収録で実現しています。結果として、ソフトで可愛い声の部分を持ちつつ、パラメーターによってぐっと大人で力強い表現もできるようになりました。たとえばイントロは静かな歌い出しで、サビはエモーショナルでパワフルに、といった表現が1つの曲の中で可能になっています。花隈千冬は特に各パラメーターの効きが良い感じに仕上がりましたので、よりオールジャンルでも使えるライブラリーになったと思います。
3ライブラリーに共通するこだわり
──3人共通のアピールポイントがあれば教えてください。
アカサコ:当初より、3人の声が重なった時のハーモニーの美しさを意識して制作しています。また、小春六花・夏色花梨・花隈千冬の3人があればどんな曲・どんなジャンルにも対応できることを目指して制作していますので、これからそろえる方にもぜひチェックしていただければ嬉しいですね。Synthesizer V 2では合唱(ユニゾン)機能も新たに追加されていますし、3人の声をさまざまな形で組み合わせて楽しんでいただけると思います。
製品情報と購入方法
Synthesizer V 2 小春六花・夏色花梨・花隈千冬は3月5日発売です。各ライブラリーの販売形態と価格(税込)は以下の通りとなっています。
■ パッケージ版
- 通常版:10,780円
- AHSユーザー特別版:8,580円(AHSストア限定)※1
- SV1ユーザー優待版:6,600円(AHSストア限定)※2
※1:AHSユーザー特別版はAHSストア限定商品です。
※2:各「Synthesizer V」バージョン1ユーザー向けのAHSストア限定商品です。
■ ダウンロード版
- ダウンロード版:9,680円
■ アップグレードコード
- Synthesizer V 2 アップグレードコード:4,950円※
※Dreamtonicsアカウント内からのみ購入可能な、各「Synthesizer V」バージョン1ユーザー専用商品です。
体験版はすでに2月26日より配布されているので、気になる方はぜひ使ってみてください。またデモソングは3月3日〜5日にかけて順次投稿されているので、チェックしてみてください。sのほかにもSleepfreaksによる3本まとめのレビュー動画や、作曲家・yamazoさんによる各ソフトの解説・レビュー動画も投稿予定とのことですので、あわせてチェックしてみてください。
【関連情報】
Synthesizer V 2 小春六花製品情報
Synthesizer V 2 夏色花梨製品情報
Synthesizer V 2 花隈千冬製品情報
【関連リンク】
Synthesizer V 2 小春六花のデモソング・解説動画プレイリスト
Synthesizer V 2 夏色花梨のデモソング・解説動画プレイリスト
Synthesizer V 2 花隈千冬のデモソング・解説動画プレイリスト
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